インタビュー
2024.04.30
多くの人とコミュニケーションを取りたい!イベント企画が目的の太田工業高校eスポーツ部の活動とは NASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権の感想も聞いてみた!
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eスポーツの大会に参加するのではなく、eスポーツイベントを開催・運営することをメインに活動する群馬県立太田工業高等学校のeスポーツ部。まだ2023年4月に発足したばかりの部活動ですが、同年7月にはイオンモール太田で「グランツーリスモ7」のイベント「太工 Super Drive」を開き、好調な滑り出しを見せました。実は、同部は24年1月に開催されたNASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権(NHEC)フォートナイト部門に出場していました。そのあたりの詳しい話も聞きながら、活動内容について取材しました。(取材日:2024年3月14日)(取材・文/寺澤 克)
メインはeスポーツイベントの企画!?ちょっと特殊なeスポーツ部
筆者が23年7月のイベントを取材した際、顧問の金子先生から「イベントの企画運営がメインの部活動です」と聞かされて、驚いたのを覚えています。
「部の中でも一番年上なので部長をやらせてもらっています(笑)」と語るのは、部内唯一の2年生、吉田 慎吾さん。今回の取材では、普段の活動内容について話してくれました。
吉田さん(以下敬称略) 今は1年生9人、2年生1人、の10人というメンバー構成です。普段は、放課後から大体17時30分くらいまで活動していて、大会運営やイベントのサポートの依頼が外部からあった場合には、会議を開いて意見を出し合っています。依頼としては、「こういう活動やイベントがあるんだけど」と県や市の方からお話を頂くことが多いですね。基本的には部員主導で活動を進めます。話し合いが終わればみんなでゲームをして遊んでいます。
──7月のイベントを例に出すと、どんなことをしていたのですか。
吉田 部内で立てた企画を、ご協力いただいていたスバルの担当の方や県、市の方に確認していただき、アドバイスをいただきながら、出てきた問題の解決策を部員同士で連日話し合う、といったことを繰り返していました。当日は進行表をつくって運営にあたりました。貴重な経験になりました。
──その中で部長はどんな役割だったのでしょうか。
吉田 話し合いの場では議長を務めます。誰か一人がしゃべり続けるのではなく、全員が会議に参加できるようにというのを心がけています。
──イベントではグランツーリスモを使っていましたが、普段もグランツーリスモで遊んでいるのですか?
吉田 はい、いつもはそうですね。
──ほかのタイトルもプレーするのでしょうか。
吉田 今は「フォートナイト」を学校でもプレーできるように調整しているところです。新しいタイトルをプレーするとなると、県の教育センターに申請をして、通信環境を整備しないといけないので、ハードルが高いんですよね。
──そこは学校ならではの問題があるのですね。ところで、なぜ部活動では主にグランツーリスモをプレーすることになったんですか。
吉田 これはやはり7月のイベントでグランツーリスモを採用したというのが大きいです。企画の段階から「太田市はクルマの町だからグランツーリスモがいいよね」という話があって、そこからですね。機材なども地元企業から寄付していただきました。
──実際プレーしてみて難しくなかったですか。
吉田 難しいです。ただ最初は初心者なのでアシストを沢山設定していたんですけど、だんだん慣れてくるうちに中級~上級者設定にできるようになって、上達を感じられて楽しくなってきました。
人とのコミュニケーションを大切に 今後もイベントを企画予定
次にインタビューは「どうしてこの部活動に入部したのか」という話題に。吉田さんに加えて、同部に所属する高木 玲緒さん、浅沼 佑弥さん、赤石 陽太さんの3人にも話を聞くことができました(以下敬称略)。
──イオンのイベントを取材した時、顧問の金子先生は「eスポーツイベントをやります」といって部員を集めたとおっしゃっていました。皆さんもイベントがやりたいと思ってここに入部したのですか。
吉田 そうですね。イベントの企画や運営をしたいと思って入りました。
赤石 自分はゲームがやりたくて入ったんですけど、そのついでにイベント運営とかの経験もできて良いなと思っていました。
浅沼 たくさんの人とコミュニケーションが取りたいと思って入りました。
高木 自分はコミュニケーションを取るのが苦手なので、それを克服したくて入りました。
──高木さんは太工 Super Driveでもプロジェクトリーダーという役割でしたね。毎回イベントでこういった役割を決めているのですか。
高木 校内外問わず、イベントでは1~2人のリーダーを決めて活動します。毎回違う人が担当して、みんなで経験を積んでいく形をとっています。
──創部から1年ほどですが、どれぐらいイベントをこなしたんですか。
高木 自分たちで企画運営したものは四つです。手伝いなどを含めると六つです。
吉田 7月に太工 Super Driveがあって、8月には学校説明会、10月には文化祭で体験会を企画しました。
特に説明会では、グランツーリスモの体験会をしたんですが、小さい子どもは壁にぶつかったりコースアウトしたりと難しそうだったので、そこはいろいろサポートに入りました。ただ小学校高学年、中学生になると、マリオカートとかで慣れているのか、かなり楽しんでもらえましたね。開催して良かったです。
──ということはイベントが立て続けだったのですね。大変ではなかったですか。
吉田 そのほかにも体験入部のイベントがあって複数のイベントを掛け持っていたのですが、そこは分担してリーダー、副リーダーを決めて、それぞれでプロジェクトを進めました。
──なるほど。マルチタスクもしっかりこなしたんですね。では最後に、部活動の今後の目標について教えてください。
吉田 太工 Super Driveの会場となったイオンモール太田が4月19日にリニューアルします。それを記念したイベントを開いてほしいと太田市から共同開催の話が来ているんです。今はその準備を進めているところで、無事にこのイベントを成功させることが当面の目標です。あとは新学期ですし、新入部員も入ってくれるとうれしいですね。
──なるほど、新入部員がたくさん入って活動の幅も広がるといいですね。
フォートナイトでNHECに出場 来年こそはリベンジ!オフライン会場でプレーしてみたい!
先ほど話を聞いた高木さん、赤石さん、浅沼さんの3人は太工eスポーツ部として、24年2月に行われたNHECのフォートナイト部門に出場しました。高木さんと赤石さん、浅沼さんともう一人の部員の原田 響希さんのそれぞれ2組で出場したデュオ大会。その感想について聞いてみました。
──大会に出場してみた感想は。
高木 みんな中学の頃はフォートナイトが流行していたので、歴は長いんです。僕は趣味で友人とプレーするくらいだったのですが、大会に参加してみるとすごい実力の人がたくさんいたので、憧れちゃいました。自分もそういうところを目指していけたら良いなと考えています。
赤石 僕も本当に趣味程度でやっていました。初めて大会に参加して頑張ったんですけど、ほとんど結果を残すことができませんでした。これからもこういった大会には出場していきたいですね。
浅沼 インターネットの回線の関係上、学校では練習できなかったんですが、ベストは尽くせたかなと思います。
──大会に向けてはどんな練習をしてきたんですか。
浅沼 やっぱり声かけでした。
赤石 役割分担もしっかり練習したよね。
高木 ガツガツ攻めるようなチームではなかったので、安全地帯(安地)への移動のために敵にダメージを与える担当と、先に安地に進んでいく担当っていう分担をしていました。
──ほかに大会について要望とか、頑張ったことはありますか。
浅沼 僕らは「こうしてほしい」ってことはあまりなかったですかね。むしろ良くしていただいたっていう感じです。ちゃんとこういう活躍の舞台を用意してもらったわけですし(笑)。
一同 (笑)
浅沼 でも頑張ったことならあります。フォートナイトではプラットフォームの違いでかなり動きに差が出てきます。例えば、自分はPCで大会に出たのですが、相方はNintendo Switchで、チーム内でも動きや映像に差が出てしまいました。相手はみんなPCなのでガンガン攻めてくるし大変です。でも、そこで声掛けをしたり、状況をしっかり判断したりすることで、結果的に相手の状況も仲間の状態も上手く把握することができて動きやすかったんです。
──大会で印象的なシーンはありましたか。
浅沼 1試合目にお互い焦りすぎちゃって、木に登ったら落ちて自滅しちゃったっていう出来事がありました。すごく緊張しちゃったんですよね。
──オンラインとはいえ大会は緊張しますよね。皆さんはオフラインの会場でもプレーしてみたいと思いますか。
赤石 行けるものなら行きたいですね。
浅沼 オンラインになるとどうしても回線環境とかで地域差が出ちゃうので、オフライン会場で戦えるような世界大会に行きたいですね。
──実力差を感じたとのことで、これから練習を積み重ねていくのだとは思いますが、フォートナイトではどんなことに力を入れたいですか。
浅沼 公式大会が定期的に開催されているタイトルじゃないですか。そこで経験を積んでいって、次の大会に出場したいと思います。
高木 もちろん、次回の同じ大会でリベンジしたいという思いはあります。あとは、早く学校で練習できるようになるのが一番ですかね。ゲーミングPCも校内に欲しいと言えばほしいですね。
それと、今後のイベントとかでも、メーカーから許諾が取れればフォートナイトを採用タイトルにしてみたいなとも思いました。
──ゲーミングPCがあればイベントで使うタイトルをいろいろ検証できそうですよね。
高木 そうですよね。一応、ストリートファイター、鉄拳などが部内から案として挙がっているので、あると嬉しいですね。
──他のタイトルを活用したイベントも楽しみです。今回はありがとうございました!
今回同席していた顧問の三田村先生は「最初は右も左もわからない状態だったのが、この1年を通してすごく成長したなと思います。仲間が大変な思いをしているとそれを気遣っていろいろ手伝えるようになったりして、すごく頼もしくなりました」と生徒たちの成長を心強く思っているようでした。太工eスポーツ部の企画する今後のイベントにも注目しましょう。
関連記事
群馬・太田の“高校主催”eスポーツ大会! 太田工業「太工 SuperDrive」レポート
イベント運営を通して社会人の意識を学ぶ 太田工業「太工 SuperDrive」レポート後編
知事も驚く大盛況ぶり! 群馬・太田の「ぐんまeスポーツフェスタ」レポート
外部リンク
群馬県立太田工業高等学校
https://tako-hs.gsn.ed.jp/
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