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2023.05.29

ASUSのゲーミングハンドヘルドPC「ROG ALLY」レビュー ?重量約608gで、据え置きコンソール機に迫る性能を実現

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 2023年5月29日、ASUSがゲーミングハンドヘルドPC「ROG ALLY」を日本で正式発表しました。ROG ALLYは、ASUS初のゲーミングハンドヘルドPCとして、4月1日の予告以来、注目を集めていた製品。今回、ROG ALLYを試用することができたので、早速レビューしていきます。

ASUS「ROG ALLY」

あらゆるゲームを1台でプレーできる

 ゲーミングハンドヘルドPCとは、Nintendo Switchのように両手で持ってプレーするゲーミングPCです。ゲーミングハンドヘルドPCとしては、GPDの「GPD WIN」シリーズが有名ですが、昨年あたりからOne-Netbookの「ONEXPLAYER 2」やValveの「Steam Deck」、AOKZOEの「AOKZOE A1」など参入メーカーも増え、性能も向上したことで注目が集まっています。ASUSは、2023年4月1日に「ROG ALLY」についてのツイートを行い、5月11日には海外で「ROG ALLY」を発表しましたが、日本での正式発表は5月29日と予告されていました。

 ALLYは、エイライと発音し、ALL Yourgames(あなたのゲームの全て)をプレーできるということを意味しています。ROG ALLYは、「あらゆるゲームを1台でプレイしたいユーザー」や「初めてPCゲームに挑戦するライトゲーマー」、「既にゲーミングPCを持っておりセカンドPCを探しているヘビーゲーマー」、「Windows OSを屋外に持ち歩きたいユーザー」を主なターゲットとして想定しており、他社のゲーミングハンドヘルドPCやハンドヘルドコンソール機よりも高い性能を実現していることが魅力。他社のゲーミングハンドヘルドPCやハンドヘルドコンソール機では720pで25?30fps程度しか出せないことが多いのですが、ROG ALLYは1080pで50?60fps出せると謳っています。

上位モデルはAMDの最新CPU「Ryzen Z1 Extreme」を搭載

 ROG ALLYは、CPUとしてAMDの「Ryzen Z1 Extreme」を搭載した上位モデルと「Ryzen Z1」を搭載した下位モデルの2モデルが用意。6月2日から予約が開始されるのは上位モデルであり、下位モデルはやや遅れて2023年夏に予約開始となります。

 Ryzen Z1 Extreme/Ryzen Z1は、AMDから2023年4月25日に発表されたばかりのCPU。ROG ALLYのようなゲーミングハンドヘルドPCをターゲットにした製品です。Ryzen Z1 Extreme/Ryzen Z1は、Zen 4アーキテクチャの8コアCPUとRDNA 3アーキテクチャのGPUを統合したCPUで、4nmプロセスで製造されています。Ryzen Z1 ExtremeのGPUの処理性能は8.6TFLOPSに達し、Nintendo Switchの約17倍、SteamDeckの約5倍。ハンドヘルドゲーム機として現時点で最強であり、PlayStation 5の10.2TFLOPSに近い性能を誇ります。メモリは16GB搭載、ストレージは512GB SSD(PCIe 4.0接続)であり、こちらも十分なスペックでしょう。

 ディスプレイは7型IPS液晶で解像度はフルHD、リフレッシュレートは120Hz。タッチパネルも搭載しているほか、最大輝度も500nitsと明るい。表面は強化ガラス「GORILLA GLASS VICTUS」で保護されており、傷や衝撃にも強い。ハンドヘルドゲーミングPCの課題が、バッテリー持続時間が短いことですが、ROG ALLYはGPUをフルに活用するヘビーなゲームだと最大約2時間、クラウドゲームや動画再生なら最大約6.8時間のバッテリー持続時間を実現しており、及第点といえます。

 ROG ALLYのサイズは、高さ280×幅111.38×奥行き21.22?32.43mm、重量は約608gで、同じ7型ディスプレイを搭載するNintendo Switch 有機ELモデルの242×102×13.9mm、重量約420gに比べると一回りちょっと大きく、重量も188g重い。しかし、Steam Deckのサイズは298×117×49mm、重量は約669gであり、ROG ALLYのほうがよりコンパクトで軽いです。

ディスプレイとして7型IPS液晶を採用。解像度もフルHDと高く、リフレッシュレート120Hzに対応

デュアルファンとヒートパイプの採用によりノイズを低減

 ROG ALLYは、これまでROGノートPCでASUSが培ってきた冷却技術「ROGインテリジェントクーリングシステム」を搭載。デュアルファンと本体の向きにかかわらず効率良く水を循環できるアンチグラビティヒートパイプの採用により、Turboモードでも30dB、パフォーマンス/サイレントモードでは20dBというノイズレベルが低いこともポイントです。

ROG ALLYの背面。マクロボタンが2つ用意されている


 インターフェースとして、USB 3.2 Gen2 Type-Cポートとヘッドセット端子を備えるほか、microSDカードスロットを備えているほか、オプションの外付けGPUユニット「ROG XG Mobile」を接続するための端子も用意されています。ROG XG Mobileは、「GeForce RTX 4090 Laptop」または「Radeon RX 6850M XT」を搭載しており、インターフェースハブとしての役割を果たすほか、ROG ALLYへの電源供給も可能です。

ROG ALLYのインターフェース
ROG ALLYの上面。USB 3.2 Gen2 Type-Cポートとヘッドセット端子、microSDカードスロット、音量ボタンなどが用意されている


 ゲームなどを操作するためのデバイスとしては、左右アナログスティックと方向ボタン、A/B/X/Yボタンのほか、左右にバンパーとトリガーが用意されている。背面には2つのマクロボタンが用意されています。さらに、画面の左右に表示ボタン、コマンドセンターボタン、メニューボタン、Armoury Crateボタンが用意されていることも魅力の一つ。コマンドセンターボタンを押すことで、いつでも設定ツールの「コマンドセンター」を呼び出すことができます。コマンドセンターでは、動作モードや仮想キーボードの表示、CPUやGPUの負荷や動作クロック、FPSなどをオーバレイでリアルタイム表示できるリアルタイムモニターのオンオフなどの設定が可能です。

コマンドセンターボタンを押すことで、いつでも「コマンドセンター」を呼び出せる。コマンドセンターでは、オペレーティングモードやコントロールモードの設定変更や、リアルタイムモニターのオンオフなどが可能

 また、Armoury Crateボタンを押すことで、Armoury Crateが起動し、インストールされているゲームの起動やキーマップのカスタマイズなどができます。Armoury Createの機能の一つであるGame Libraryもとても便利。PCに慣れていない人でも、コンソール機感覚でゲームの起動できます。また、左右スティックやトリガーボタンのデッドゾーンやスレッショルドの値もカスタマイズでき、自分好みの操作感にできることも高く評価したい点です。

Armoury CrateのGame Libraryを利用すれば、インストールされているゲームを簡単に起動できる


 さらに、左右スティックの周りにフルカラーLEDが搭載されており、発光パターンを自由に変更可能。サウンドに関しては、ステレオスピーカーとアレイマイクを搭載し、ドルビーアトモスに対応。また、ヘッドセット出力はハイレゾ対応です。

ROG ALLYの側面。手に馴染むエルゴノミックデザインを採用
試用機の重量は実測で612gであった
付属のACアダプター。端子はUSB Tpye-C(USB PD対応)である

手に持った感触もプレイ感覚も素晴らしい

 実際に、ROG ALLYでいくつかのゲームをプレイしてみました。数字の上ではNintendo Switch 有機ELモデルに比べると188gほど重いのですが、手に持った感じでは両手で持つとそこまで重いとは感じません。膝の上に置いてプレーしたり、寝転んで気軽にプレーしたりするには最適です。ディスプレイの解像度はフルHDで、Nintendo SwitchやSteam Deckなどより高精細でキレイです。

 「Apex Legends」をデフォルト設定でプレーしたところ(モードはTurboモード)、フレームレートは50?60fps程度出ており、快適にプレーすることができました。左右スティックやボタンの操作感や、本体のホールド感なども良好で、ノイズレベルも低いです。「原神」や「ホグワーツ・レガシー」といった話題のタイトルも問題なくプレーでき、性能の高さが実感できました。

 また、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を「高品質(ノートPC)」に設定し、フルHD解像度で計測したところ、スコアは6412で「やや快適」という評価。ハンドヘルドゲーミングPCとしては満足できるパフォーマンスといえます。本体の温度もあまり上がらず、持っていて不快に感じることもありません。専用ボタンによりワンタッチで呼び出せるコマンドセンターやArmoury Crateも便利で、コンソール機感覚でゲームの起動や設定の変更が可能です。

リアルタイムモニターをオンにすると、右上にオーバーレイでCPUやGPUの負荷や動作クロック、FPSなどが表示される

完成度、コスパともに優れたハンドヘルドゲーミングPC

 Ryzen Z1 Extreme搭載の上位モデルの価格は10万9800円、下位モデルの価格は8万9800円。下位モデルに搭載されるRyzen Z1のGPUの処理能力は2.8TFLOPSであり、Ryzen Z1 Extremeの3分の1以下となるため、コストパフォーマンス的には上位モデルのほうが上です。このほか、トラベルケースやインターフェースを拡張できるチャージャーなどの専用アクセサリーも用意されています。

 さらに、ROG ALLYを購入すると「Xbox Game Pass Ultimate」が3カ月分ついてくるほか、ROG ALLYを購入してレビューサイトに投稿すると全員「トラベルケース」がもらえるキャンペーンも実施します。

 ROG ALLYは、ハンドヘルドゲーミングPCとしては後発ですが、開発に5年もの歳月をかけたとのことで、使い勝手や完成度は非常に高い印象です。ハンドヘルドゲーミングPCとしてトップレベルの性能を誇るだけでなく価格的にもリーズナブルであり、コストパフォーマンスも高い。最新のPCゲームをいつでもどこでも気軽にプレイしたいという人に、ぴったりの製品です。(ライター・石井 英男)

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■外部リンク

ROG Ally
https://rog.asus.com/jp/gaming-handhelds/rog-ally/rog-ally-2023/

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