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2024.08.28

大友美有さんに聞く学生時代とキャリア 「学校は“会話”をする場所」

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 練習を重ねた選手たちが熱い試合を繰り広げ、たくさんの観客が熱狂するeスポーツシーンは、さまざまな人によって支えられています。連載企画「ゲームの進路相談室」では、そんな“eスポーツに関わる職業”と“その職業に就いた経緯”を紹介。将来の仕事をぼんやり考えるきっかけを提供します。

 今回は、さまざまな高校生大会で活躍し、LoLのプロ選手を経て、現在はタレントとして活動する大友美有さんに学生時代のことや、eスポーツを頑張る学生たちへのメッセージなど伺いました。

取材・文/小川翔太

スターダストプロモーション所属のタレント
大友美有さん
(Shakespeare選手)

自身の学生時代について

──学生時代はどのように過ごしていたのでしょうか。

大友さん(以下、敬称略) 中学生の時は結構やんちゃで、素行が良いタイプの学生ではなかったかもしれません(笑)。高校1年生では全日制の学校に通っていて、高校2年生でN高等学校に入りました。

 高校在学時には「第2回、第3回全国高校eスポーツ選手権 リーグ・オブ・レジェンド部門」「Coca-Cola STAGE:0 2020 リーグ・オブ・レジェンド部門」に出場して優勝。「女子高生ミスコン2019」に出場してファイナリストに残るなど、ほかのことを置き去りにするぐらい一つのことに熱中していた学生でした。

 我が強かったのでチームメイトとぶつかることもありましたが、今でも当時のチームメイトとは話すことが多く、自分にとってとても良い2年間になっています。

第2回全国高校eスポーツ選手権 優勝の瞬間
(写真最前列)

学生の頃やっておいてよかったこと

──学生時代にやっておいてよかったと思うことはありますか。

大友 自分のやりたいことに真剣に取り組んだことです。私の場合は、それが運良く成功体験になり、今の活動につながっています。

 また『リーグ・オブ・レジェンド』を熱心にやっていたことで、何かを行う際に、まず考えてから取り組む癖がつきました。それはゲーム以外にも応用できることだと思います。

──ゲームに取り組むために、周りを説得する必要もあったのではないでしょうか?

大友 そうですね。私は中学2年生の時から考え方がはっきりしていて「やりたくないことはやりたくない」「やりたいことだけをやりたい」と考えていました。

 その考えのせいで当時、母親と揉めたこともありました。できるだけ納得してもらえるように、少しずつ環境を整えるように意識していたんです。

 最初はあまり応援されていませんでしたが、本気であるという姿勢を見せながら、実際に結果を積み重ねることで、少しずつ認めてもらえるようになりました。

 最初のころの母は、私のゲームへの本気度も知らず、私も結果を出せていなかったので不安だったと思います。

 最終的には、一度真剣にぶつかったことと、私のゲームに対する熱意や実績が伝わり、「一回やってみなさい」と応援してくれるようになりました。

学生の頃やっておきたかったこと

──学生時代にもっとやっておけばよかったと思うことはありますか。

大友 もっといろんな人とコミュニケーションを積極的に取れば良かったと後悔しています。

 中学校の2年間を不登校で過ごし、高校2~3年生も通信制の学校に通っていたので、コミュニケーションの頻度は多くありませんでした。

 当時、学校は「勉強だけをする場所」だと思い込んでいて「勉強は家でもできるし、これを学んで将来の何につながるの?」と、積極的には学校に行きたがりませんでした。

 ただ、20歳を過ぎてから「学校は人との会話を通して、コミュニケーション能力を磨く場所だったんだ」と考えるようになりました。

──社会人になって働くようになってから、そう感じるようになったと。

大友 そうですね。例えば、タレントの仕事をやっていると、私が所属している事務所のほかの方々は、現場に入る際にはハキハキ挨拶をして、撮影の待ち時間では積極的に雑談をしています。

 一方、仕事を始めた当初の私は「その会話に意味があるのか」と疑問に思ってしまい、なかなか雑談に混ざれなかったんです。幸いにも現場では、皆さん優しくて、話を振ってくれるのですが「自分のことがあまりよく思われていないのではないか」と不安にもなりました。

 最近では、コミュニケーションは自分の知識を増やす良い機会だと感じるようになりました。

 私は『リーグ・オブ・レジェンド』の知識こそ人よりも豊富ですが、周りの方は洋服やお酒の話など、自分にない知識をたくさん持っているので、お話を聞くのが楽しいんです。

 中学生~高校生の多感な時期に、ほかの人とのコミュニケーションを避けてきたので、今になって「学生時代にもっとたくさん会話をすべきだったな」、と。

eスポーツを頑張る学生にメッセージ

大友 真剣にeスポーツに取り組みたいのであれば、周りの反対を押し切ってでもチャレンジしてよいと思います。私も親の反対を押し切ってこの道に進みました。

 ただ、厳しい言い方かもしれませんが、「なんとなくプロゲーマーを目指したい」や「とりあえずゲームでお金を稼いでみたい」といった漠然とした考えであれば、プロを目指すべきではないでしょう。

 「自分のゴールを定めて、そのゴールに向けて何をすべきか」を考えた上で、それでも本気で実行する気があるのであれば、一旦は反対は押し切って、何かしらの結果を出してから、もう一度、話し合いをすべきです。

 プロゲーマーには「ゲームへの情熱」と「メンタルの強さ」が必要です。

 私もプロチームでの活動を通して「ゲームは上手いけどメンタルをやられて継続できなくなった人」や「メンタルは強いけど練習量が足りなくて上手くならない人」を見てきました。

 その二つを兼ね備えていないと、プロゲーマーという仕事に就くのは難しいです。

 また、プロゲーマーを目指すとしても、ほかに興味のあることにつては活動を続けておくべきです。

 私もプロを目指しながら、学業やタレント活動に取り組んでいました。

 実際に壁に当たった時に初めて「自分にプロゲーマーの適性があるか」がわかるはずなので、たくさんのことを続けながらプロを目指すのが良いと思います。

 プロの適性が無いとわかった時に、今までの努力が無駄にならないように。

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外部リンク

スターダストプロモーション|大友美有さん
https://www.stardust.co.jp/talent/stardust-gg/otomomiyuu/

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