レビュー
2025.07.08
なるお&板ザンが語る、格ゲー上達の極意! 「スト6 特別コーチング・組み手イベント」
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6月22日(日)、エディオン横浜西口本店6F「オクタゴン」にて開催された「ストリートファイター6 特別コーチング・組み手イベント by DFM」。DFM(DetonatioN FocusMe)所属の人気ストリーマー/プロプレイヤーである、なるおさんと板橋ザンギエフさんがゲストとして登場し、参加者にマンツーマンでの指導や真剣勝負を行いました。
イベント終了後、ゲスト二人の独占インタビューが実現。これから強くなりたいプレイヤーへのアドバイスや、プロとしての心構え、日々の練習法まで、トッププレイヤーならではの視点で語っていただきました。「上手くなる」ということの本質に触れる言葉の数々が、きっと皆さんのプレーに新たな気づきをもたらしてくれるはずです。
(取材・文/松永 華佳)

【独占】なるおさん・板橋ザンギエフさんインタビュー
特別コーチング&組み手イベントの終了後、ゲストとして登場したなるおさんと板橋ザンギエフさんにインタビューを実施。トッププレイヤーならではのリアルな言葉を伺いました。
「イベントに行けば、顔なじみがいる」いま格ゲーコミュニティが“ちょうどいい”理由
──まずは、本日のイベント全体の感想をお聞かせください。
なるおさん 今日は、「格闘ゲームシーンの広がり」をすごく感じました。昔は何日もかけてイベントを企画して、やっと今日くらいの人数が集まる……みたいな感じだったと思うんです。でも今は、重たいアケコンを持って、遠くから横浜までわざわざ足を運んでくれる人がいる。その熱量には、本当に驚かされましたし、今までになかった波を感じました。
板橋ザンギエフさん 格闘ゲームは、1対1のシンプルな競技ですが、コミュニティがあって、ファンがいて、そこに人が集まってきて……という「広がり方」が、今すごく見えているなと感じました。
最近では、「今日初めて会った人と仲良くなった」「友達同士で遊びに来て、その輪がさらに広がった」みたいな報告をファンの方から聞くこともあります。僕らプロに会いに来てくれる人もいれば、もともと一緒に来たわけじゃない人たちが、その場で友達になることもある。そういう「自然な広がり」が、今の格ゲーコミュニティにはあるなと感じます。
「ストリートファイター 6」もリリースから2年ほど経ったタイミングで、今ちょうどいい感じにコミュニティが仲良くなってきた時期なんですよ。最初の頃はフレッシュな空気感で、みんな探り探りだったのが、今では「イベントに行けば顔なじみがいる」というような関係性が築かれてきています。すごく温かい雰囲気になってきたと思います。
多分、これがリリースから5年とか経ってくると、少し飽きが来る人も出てくるかもしれない。でも今は、ちちょうど3年目を迎えるタイミングで、まだ新鮮さもあって、関係性は深まってきてる。その「ちょうどいい距離感」が、今の格ゲーシーンの盛り上がりにつながってるのかもしれません。

──こういった格ゲー界隈ならではの雰囲気というのは、どのように根付いたものなのでしょうか。
板橋ザンギエフさん 格ゲー界隈って、ある意味「村社会」的な文化だと思うんです。というのも、一時期は本当に下火になっていて、対戦相手を見つけるのも必死な時代があったんですよ。そういう時代を経験しているからこそ、「輪を広げよう」という意識が、プレイヤーの中に自然と根づいているんだと思います。
それが今のアットホームな空気感や、コミュニティの雰囲気につながっているんじゃないでしょうか。やっぱり、10年、20年という長い時間をかけて築かれてきた文化だからこその温かさがある気がしています。
加えて、格ゲーのプレイヤー層は、比較的年齢が高めなので、イベントに家族連れでも来やすいような雰囲気があります。もしこれが若い世代向けのゲームだったら、もう少し違った空気感になっていたかもしれませんね。
強くなるために「勝率に直結する一手」から伝える
──本日のイベントでは、マンツーマンで20分間のコーチングをされていましたが、参加者の方々に指導するにあたって意識されていたことはありますか。
なるおさん 格闘ゲームは、細かい部分の積み重ねで勝率が結構変わるので、「小さな違和感」や「ちょっとした癖」に気づいてもらえるような指導を意識しました。
ただ、一気にたくさんのことを伝えても混乱すると思うので、まずは勝率に一番影響しそうなポイントから伝えるようにしています。気になることを全部言っても、一気には消化しきれないですからね。だから、一番インパクトの大きい部分から伝えるようにしていました。
板橋ザンギエフさん 参加者によって「何を得たいか」は本当にまちまちなので、まずはその人が求めているものにちゃんとアジャストすることを意識しています。また、せっかく参加してもらったからには、学びがあって、やる気が湧いて、帰ってからまたゲームに取り組みたくなる、そんな好循環を作れるよう心がけていました。
参加者ごとのニーズは、まず、「勝ちたいのか」「うまくなりたいのか」「特定のキャラに勝ちたいのか」といった、目的を探るところから入ります。例えば、「ランクを上げたい」という人であれば、勝率に直結するような即効性のあるアドバイスを選びます。「友達に勝ちたい」「特定のキャラ対策がしたい」といった目的であれば、その人の目的に合わせて指導の内容を変えるようにしています。
中には「このキャラとの地上戦がうまくいかない」「この行動をどう誘えばいいかわからない」といったピンポイントな関心を持っている人もいます。そういったちょっと「オタク的な話」にも、遠慮なくがっつり応じていました。

──今日のコーチングにおいて、特に印象に残っている場面を教えてください。
なるおさん 全体的に皆さん熱心で印象的でしたが、特に覚えているのは、相手を画面端に追い詰めるチャンスを、少し怖がって活かしきれていなかった方がいたことですね。
「ストリートファイター 6」は、端に追いやった側が有利になるゲームなんですが、その方は前に出るのをためらってしまっていたんです。それで、「もっと前に出て自分から主導権を取りに行ったほうがいい」とアドバイスしました。そこが変わるだけで、勝率にも直結して大きく変わってくると思います。
ご本人はその課題にあまり自覚がなかったようですが、プレーを見て「ちょっとビビってるな」と感じたので、言語化して伝えました。
板橋ザンギエフさん 僕に聞きたいことを明確にまとめてきてくださった方がいました。それについて話していたら、コーチング時間の20分があっという間でしたね。目的意識がしっかりしていて、「できるだけ持ち帰ろう」という姿勢が強い方もいて、とても印象に残っています。
逆に「なんとなく勝てない」「何が悪いのかわからない」という状態の人には、まず課題を明確にするところから一緒にやっていきました。問題の認識から言語化して、次の一手を一緒に導いていくことは、普段の指導でも意識しています。
女性プレイヤーがアケコン片手に格ゲーイベントに集う時代へ
──今日は組み手イベントにて、一般参加者との交流の時間もたくさんありましたが、いかがでしたか。
なるおさん 女性プレイヤーがすごく増えてきたなと感じましたね。しかも、自分のアケコン(アーケードコントローラー)を持って来ている女性もいて、今やそういう方がいるんだなと、ちょっと驚きました。ゲームセンターにあるような、昔ながらのアケコンを持ってきている方もいましたね。
FPS系のタイトルではもともと女性プレイヤーが多かった印象ですが、ストリーマーなどの影響で、そうした方々が格ゲーにも関心を持つようになってきたんですかね。イベントが増えたことで接点も広がって、興味を持ってくださった方が増えているのかもしれません。
板橋ザンギエフさん ハンディキャップ戦は、非常にわかりやすく盛り上がって、いい試みだったと思います。対戦中も、近い距離で喋りながらワイワイ楽しんでもらえたと思います。僕自身の練習となるくらい、手は抜かず、普通に楽しんでもらえるよう意識しました(笑)。

「なんとなくをなくせ」プロが意識する1プレーごとの意味づけ
──格ゲーで伸び悩んでいる方に向けて、練習のコツやご自身がスランプのときにやっていたことを教えてください。
なるおさん 僕は今でも、対戦動画をめちゃくちゃ見ています。YouTubeなどで上手いプレイヤーの試合を見ながら、「なぜこの場面でこの技を打つのか?」「なぜここで相手が技を食らってしまったのか?」といった原因や理由を考えるようにしています。
一つひとつのやりとりに理由があるはずなので、それを分析していくと、すごく勉強になるんですよ。自分でプレーしていても「なんとなく」で動いてしまうことって多いですが、それを減らす意識が大事だと思います。
「この行動はなぜ?」を突き詰めて考えることで、真似してみたくなる部分が見つかるし、それを取り入れていくと、プレーに芯が通ってきて、明確に強くなる実感があります。
板橋ザンギエフさん 僕は学生時代水球部にいて、体育会系の指導の中で、雑なプレーは怒られる環境だったんです。適当にパスを投げたり、なんとなくでシュートを打ったりすると、めちゃくちゃ怒られる(笑)。でもその経験があるから、格ゲーでも「なんとなく技を振る」というのは避けたいと思っています。
当たると思って、気持ちを込めて出す技じゃないと、やっぱり弱くなる。一つひとつのプレーに意味を持たせることで、ブレイクスルーにつながるんじゃないかと感じています。
僕は自分の課題を見つけるのは、得意な方なんです。でも、それを自分のものにするのには時間がかかるタイプで……そこが弱点だなと思うことはあります。
例えば、大会が近づいていて、急いで仕上げないといけないときなんかは特に焦りますね。課題は見えているのに、身体が追いつかないというか……。学生で言えば締め切り間近の宿題と似ているかもしれません(笑)。
だから最近は、プレー面だけじゃなくて、どうスケジュールを組んで、自分のリズムで練習をこなしていくかみたいな、タイムマネジメントの重要性をすごく感じています。もはや社会人スキルといえるかもしれません。
今は界隈の攻略スピードもとんでもなく速くて、「ただ時間をかければ強くなれる」という時代でもなくなってきているんです。大会も次々にあるし、求められる水準も高い。だから、「早く」「高く」「正確に」というサイクルにどうやってついていくか。そのためには、スケジューリングも含めた「自己管理力」が問われてると思います。
──なるおさん・板橋ザンギエフさん、本日はありがとうございました!
エディオン横浜西口本店
住所:神奈川県横浜市西区南幸2-16-1(CeeU Yokohama内)
営業時間:10:00~21:00
電話番号:045-410-2511
URL:https://www.edion.com/ito/contents/special/lp/231214_yokohamanishiguchi/
店舗公式X:https://x.com/edion_yoko_nisi
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外部リンク
DetonatioN FocusMe(DFM)
https://team-detonation.net/
エディオン横浜西口本店
https://www.edion.com/ito/contents/special/lp/231214_yokohamanishiguchi/index.html

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