大会レポート

2023.02.23

極限の緊張感! 「シャドウバース大学生リーグ 22-23 GRAND FINALS」決勝戦レポート

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 2023年2月4日に、学生限定の賞金総額300万円を懸けたeスポーツ大会「Shadowverse University League 22-23 GRAND FINALS」が開催されました。そこで繰り広げられた白熱の決勝戦の全試合をレポートします。また今回のルールは団体戦としては特殊なルールです。どうしてこのようなルールになったのか関係者に話を聞くことができました。

 『Shadowverse』は、Cygamesが開発・運営するデジタルカードゲーム(DCG)です。プレイヤーはカードを使ってバトルを行い、相手の体力ポイントをゼロにすることを目指します。

決勝戦 3つの見どころ

出典:Shadowverse公式YouTube

 決勝戦は京都大学vs北海道大学の戦いになりました。連覇を狙う京都大学と前年度のGRAND FINALS準決勝で惜しくも敗れた北海道大学とのリベンジマッチです。まずはこの戦いを楽しむための見どころを2つ紹介します。

1:避けられないミラーマッチ

 『Shadowverse』のゲーム内に存在する、全8クラスの中から5クラスを選んでデッキを用意して戦うルール。決勝は全く同じ5クラスを選んだチーム同士の戦いとなりました。

 どのクラス・選手を戦いに送り出すかは、チームの判断に寄りますが、当然のことながら同じクラスの戦い(ミラーマッチ)が起こることはあります。お互いのデッキの戦術が同じとなる以上、プレイングの差が如実に現れるため難易度の高い試合になることが多いとされ、厳しい戦いが想定されます。

2:全員が勝たないといけないルール

 今回の団体戦で特徴的なのが、5vs5でのBO9(最大9回戦が行われる勝ち抜けのルール)というものです。各チームから1人が代表して戦い、勝った選手は応援に回り、負ければ控え選手として戻り、次回以降の戦いに備えなければなりません。それを繰り返して5人全員が勝ったチームが勝利となります。つまり、自チームのメンバー全員が1勝しなければチームの勝利になりません。このルールが今回の大会最大のポイントであり、選手たちに大きなプレッシャーと試練を与えることになります。

1分でわかる!決勝レポートまとめ

 決勝戦は約3時間にも及ぶ激闘になりました。その決勝戦の全試合をお伝えします。誰が1番最初にいくかという投げ順を絞るのはかなり難しいですが、強いていうならば「ロイヤル」「ウィッチ」「ネクロマンサー」ではないかと予想されました。

1試合目

 1試合目は、shu-cat選手vsえるし選手となりました。序盤からラストワードのカウントを増やすのに苦労したえるし選手に対して、shu-cat選手は鮮やかに16点を叩き込みました。準決勝では連戦を強いられ、苦しい状況をどうにか切り抜けたshu-cat選手でしたが、決勝では1試合目にして1発で抜けるという鋼のメンタルを見せつけました。

2試合目

 1試合目に勝利した北海道大学は畳みかけるように、「RAGE Shadowverse PRO TOUR」でも活躍するプロチーム、レバンガ☆SAPPORO所属のpazuu選手を送り出します。pazuu選手はデッキに1枚だけ入っている、秘密兵器の≪ダンスクラブ≫のエンハンス効果を使いダンスクラブを場に3体繰り出し会場を沸かしましたが、まお/CxC選手がさらに上回るプレーを繰り出し、スコアを1-1のイーブンに戻しました。

3試合目

 かなり良い手札を冒頭から引き当てた北海道大学のAncer選手に対して、京都大学のげんぶ/SSS選手は強気の≪竜の託宣≫2枚キープを選択します。潤滑油にしかならないカードだけの手札でスタートするのは勇気が必要ですが、その後はしっかりとフィニッシャーとなるカードにアクセスすることができ、見事にげんぶ/SSS選手が勝利。1年生ながら堂々の戦いぶりをみせました。

4試合目

 北海道大学のAncer選手が続投しますが、京都大学の95選手は先攻から「ロイヤル」クラスが得意とする横並べ展開でアグレッシブに攻めます。盤面に触る手段に乏しい「ネクロマンサー」では95選手側の盤面に常にフォロワーが残ってしまい終始苦しい展開になりました。そのまま95選手が素早い盤面展開を繰り広げ勝利、京都大学の3連勝になりました。

5試合目

 「エルフ」「ネクロマンサー」を残す京都大学に対して、北海道大学はどちらのクラスにも勝機がありそうな「ドラゴン」を担当するpazuu選手が再登場、京都大学側は「ネクロマンサー」のえるし選手が出陣します。序盤から強力なドローを続けたpazuu選手が落ち着いたプレイで勝利。京都大学の勢いを止めることに成功します。

6試合目

 京都大学は「エルフ」「ネクロマンサー」、北海道大学は「エルフ」「ロイヤル」「ネクロマンサー」を残している状態になりました。こうなると北海道大学は選び方が難しくなります。「ネクロマンサー」を通すのが安定に思えますが、仮に京都大学側も「ネクロマンサー」を選んできた場合、そこに「ロイヤル」をぶつけることができれば優勝にグッと近くなります。

 目の前の1勝を取りに行くか、攻めた選択で優勝を狙うか。注目の選択です。結果として、京都大学は「エルフ」、北海道大学は「ロイヤル」を選択しました。京都大学が読み勝った形となり、下馬評通りに北海道大学のcharl選手は苦しい展開に。京都大学のあらとも選手は仕事をしっかりと果たしました。

7試合目

 残すは「ネクロマンサー」で勝つだけとなった京都大学は、えるし選手に全てを託します。一方、北海道大学側はここでさらに強気の選択をします。「エルフ」のまどか選手を送り出しました。今環境においてデッキの出し時が限定されるとされる「エルフ」ですが、いつかは出さないといけないと考えての攻めの選択なのかもしれません。

 決して有利とはいえない状況の中、なんとかまどか選手が不利なマッチを覆す美しいリーサルを決めて勝利。鬼門の「エルフ」で勝利した北海道大学の控室は大歓喜、残り2勝に向けて勢いがつきます。

8試合目

 勢いに乗った北海道大学からは「ロイヤル」クラスを担うcharl選手が再び登場。連戦にも関わらず正確なプレーを続ける京都大学のえるし選手ではありますが、リベンジに燃えるcharl選手がそれを上回ります。決勝戦はまだ終わりません。charl選手が北海道大学を救いました。

9試合目

 フルセットとなった9試合目。この1戦で全てが決まります。この状況になると、2試合前のマッチポイントから決めきれずにいる、京都大学のえるし選手の方がプレッシャーを感じているはずです。

 運命の最終戦「ネクロマンサー」同士の戦いを制したのは、京都大学のえるし選手でした。最後の場面、この舞台での緊張感と疲労、ここまでの試合で受けたプレッシャーを考えると、リーサルを見逃さずに落ち着いたプレイングを続けたえるし選手の勝利は賞賛されるべきものでしょう。

「なぜ勝ち抜けのルールにしたか?」関係者にインタビュー


──大学生リーグを発足した背景について教えてください。

担当者 大学生リーグが始まったのが2019年なのですが、当時『Shadowverse』を中心とした様々なコミュニティを作っていきたいと考えていました。

 その中でも、特に大学生の方々は、サークルを中心にコミュニティを作る力が強いと考えていました。そこで、サークル設立のきっかけの一つとしてもらえればと思い「Shadowverse大学生リーグ」という形で、大学生だけが参加できるリーグを設立しました。

──大学生リーグスタートの時期とコロナの時期が重なっているので、なかなか思うようにオフライン大会を開催できなかったのは歯がゆかったのではないでしょうか。

担当者 そうですね、率直に長かったなという感じです。2019年からスタートして今年で4年目になるのですが、有観客の大会として開催できたのは初なので、やっと思い描いていた大会を実現できた感覚があります。

 今日のイベントで、選手のご友人の大学生や保護者の方々が、観客として応援されている姿を目の当たりにしたとき「これが私たちが思い描いていたコミュニティの一つの形なんだ」と再認識させられました。学生の皆さんから求められていたもの、そして我々が形にしたいと思っていたものを実現できて嬉しく思いますね。

──大学生リーグを開催していく中で得られた気づきや知見はありますか。

担当者 チームとしての一体感というか、チーム戦ならではの面白さというのは、他の公式イベントだけでは気づけなかったことですね。

 また大学生の方々には、卒業という避けられないゴールもあるので、そこはプロリーグ・プロツアーなどとは異なった独特の緊張感や感動があります。

 学生さんも学業やアルバイトがある限られた時間の中で、サークル活動の一環として大学生リーグの優勝を目指して頑張ってくれているので、この大学生リーグが、学生時代に打ち込んだことの1つとして社会人になったときの自信になってくれれば嬉しいですし、青春の1ページとして思い出に刻んでもらえるといいなと思います。

──チーム戦は人間関係も学べるのでとても良いですね。

担当者 そうですね。チーム戦のルールについても、大学生の方々に取り組んでいただきやすいよう、毎年少しずつ調整しています。

 今年度(22-23Season)からは、人数限定ではありますが、他の大学からの助っ人を入れることも認めました。それによって大学を横断しての人間関係が築かれたり、より大学生同士が『Shadowverse』をしやすい環境になっているかなと思います。

──対戦中は個人戦になる『Shadowverse』において、チーム戦であることの意義を生み出すためにどのような工夫をされましたか。

担当者 大学生リーグ限定のルールですが、勝ち抜けの5vs5を採用しています。つまり自チームの5人全員が勝たないとチームが勝つことはできません。チームに1人強い人がいたとしてもチームとして勝てるわけではないので、事前にチーム全体が結束して準備する必要があります。

 「全員が勝つことで喜べる達成感」ってあると思っていて、「誰か1人負けても次の人が勝てばいいや」とかではなく、全員が勝つためにそれぞれの試合へのアドバイスや集中力が高まっていくのも1つの魅力だと思います。

チームの力で勝つ戦い


 「Shadowverse University League 22-23 GRAND FINALS」は京都大学の2連覇で幕をおろしました。4年目にして初となる、悲願の観客ありでのオフライン大会。会場の熱気を浴びながら『Shadowverse』の大学生コミュニティの盛り上がりを感じました。

 勝ち抜けの5vs5ということで、チームの誰か1人が強いだけでは勝てません。控え室でチームメンバーと情報を整理して戦いに臨む姿を何度も見ました。試合をするのは1人だけどチーム全体で戦っている団結力を感じた戦いでした。

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■外部リンク

Shadowverse University League 22-23 GRAND FINALS
https://shadowversecampus.jp/archive/

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