大会レポート

2023.10.16

水戸啓明高校主催の中学生eスポーツ大会レポート! イオンモール水戸内原でポケユナ県内No.1決定戦

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 水戸啓明高等学校「CREATE Lab.」といばらきeスポーツ産業創造プロジェクトは10月15日、茨城・水戸のイオンモール水戸内原で、県内中学生を対象としたポケモンユナイト(ポケユナ)の大会「第1回 中学校eスポーツ選手権」を開催しました。当日、会場となったイオンホールには8チーム40人の選手が集まり、ポケユナ県内No.1の座を競いました。

水戸啓明高等学校「CREATE Lab.」と
いばらきeスポーツ産業創造プロジェクト主催の
「第1回 中学校eスポーツ選手権」

高校生による中学生大会

 参加できるのは、茨城県内の同じ中学校に在籍する生徒だけではなく、その生徒の教員や保護者、兄弟姉妹も含みます。チームメンバーは5人ですが、5人が揃わない場合には合同チームを検討するなど、対応策を用意していました。選手の誘導やセッティング、試合画面の投影といった運営はすべてCREATE Lab.のメンバーが担当。まさに“高校生による中学生大会”でした。

選手のセッティングを手伝うCREATE Lab.のメンバー


 大会はトーナメント形式でBO1(1勝で勝ち抜け)。大会の司会は3Dアバターの文肇(かざり はじめ)さん、実況・解説はAREA310のつるみさんと、CREATE.Lab.のそーすけさんが務めます。

実況・解説を務めるAREA310のつるみさん(左)
と、CREATE.Lab.のそーすけさん(右)

一回戦第一試合 CrazyStar 対 パチコ団

 一回戦第一試合は、序盤はパチコ団が着実に中立ポケモンを撃破して経験値で勝る一方、CrazyStarはポイント獲得に注力し、スコアで相手を上回ります。中盤に差し掛かると経験値はイーブンに。一見、CrazyStarが優勢になりましたが、終盤に大きく動きます。強力な強化効果を持つレックウザの登場時、CrazyStarは戦力を分散して相手をかく乱しましたが、パチコ団は冷静に各個撃破しレックウザに到達。人数差を生かして集団戦を制し、そのまま逆転勝利を収めました。

CrazyStar
パチコ団

一回戦第二試合 暴風雨 対 多分います

 第二試合は序盤から衝突が頻発。多分いますチームが撃破を重ねて押し続けます。要所要所で中立モンスターを獲得しているほか、味方や自陣のピンチには必ず駆けつける、倒されないよう引き際を見極めるなど、相手に撃破されない堅実なプレーで暴風雨の追随を許しません。終盤のレックウザも獲得し、400ポイント差で勝利しました。

暴風雨
多分います

一回戦第三試合 ヤドンのしっぽ 対 E団

 第三試合の序盤はお互い育成に注力。中盤に差し掛かった頃に経験値の取り合いになった際に、ヤドンのしっぽが個人技の高さを発揮します。ブラッキーとザシアンの組み合わせが特に強力で、ブラッキーが相手の動きを封じてから高火力のザシアンでトドメをさす、という展開をパターン化。E団はなかなか対策できません。これによりE団はまとまって動くことができず各個撃破され、ヤドンのしっぽがレックウザを防衛し、勝利しました。

ヤドンのしっぽ
E団

TK 対 ビギナーマスター

 第四試合はマスターランクが4人もいるという注目の一戦。会場もざわつきます。TKはラプラスでヌメルゴンを運び、常に有利な位置をキープ。タンクタイプのラプラスが前線に出て相手をおさえつつ視界を確保している間に、中立の野生ポケモンを獲得することで戦力差を広げていきます。ビギナーマスターも連携して攻めますが、どうしてもラプラスとヌメルゴンのコンビを崩せません。最後にレックウザもTKが獲得し、500ポイント近い差で大勝となりました。

TK
ビギナーマスター

エキシビジョンマッチ

 予選終了後、準決勝までの幕間にはエキシビジョンマッチを実施。各チームから5人のメンバーが集い、即興の混合チームで対戦します。対戦相手は、小学生3人とCREATE Lab.のメンバー、顧問の高田健市先生の5人でした。

小学生チーム

準決勝第一試合 パチコ団 対 多分います

 序盤から激しくぶつかり合いますが、お互いに撃破されないように撤退するなど、高度な対戦が繰り広げられます。パチコ団は相手を左右に振ってかく乱しつつ、不意打ちを狙いますが、多分いますも集団で対抗。レックウザを巡る戦いでは、パチコ団が不意打ちで各個撃破に成功。レックウザを獲得するかと思いきや、多分いますがラストヒットを横取り。ゴールも決めて試合の行方が分からなくなりました。結果的にはパチコ団が勝利しましたが、どちらが勝ってもおかしくない戦いでした。

準決勝第二試合 パチコ団 対 多分います

 準決勝第二試合でも、TKがラプラスのユナイトワザによるヌメルゴンの運搬でマップを縦横無尽に駆け回ります。いつラプラスとヌメルゴンが来るかわからない状況から、ヤドンのしっぽは慎重になり、中立の野生ポケモンを巡る戦いでは、まずはにらみ合いからという展開。終盤、レックウザ争奪戦では、TKがヤドンのしっぽの各個撃破に成功。TKが前線を押し上げ、レックウザは放置状態に。お互いが相手のゴールを狙って動きます。ヤドンのしっぽは攻める姿勢を崩しませんでしたが、ついにラプラスとヌメルゴンの壁を越えることができず、TKが決勝に進みました。

洗練されたラプラスとヌメルゴンのコンビネーション

決勝戦 パチコ団 対 TK

 決勝戦でもTKのヌメルゴンが光りました。耐久力を生かして相手の攻撃に耐え、そのうちに味方のザシアンが背後から奇襲。作戦が功を奏し、TKは撃破を重ねます。パチコ団もできるだけ人数差で負けないように動き、相手のヌメルゴンに集中して攻撃しますが、あまりの耐久力と連携力の前に戦力・スコアともに差が開いていきます。終盤はTKがパチコ団を全滅させる展開が続き、そのままTKが優勝に輝きました。

優勝したチーム「TK」


 優勝したTKのメンバーは石岡市立八郷中学校から集まったメンバー。それぞれに表彰状とトロフィーが授与されました。

 インタビューではキャプテンが「最初は遊びのつもりだったんですが、ほぼ毎日みんなで集まって練習していたので、勝つことができてよかったです。ラプラスとヌメルゴンのコンビネーションは絆のちからで上手くいきました」とコメント。チームの矛となったザシアン担当のメンバーも「2人が引きつけているうちに、後ろからの奇襲を心掛けました」と作戦が上手くいったことを喜びました。

 準優勝したパチコ団メンバーの保護者に話を聞くと、「大会に向けてチームで練習している姿を見ていました。ゲームをしていると、どうしても勉強のことが心配になりますが、今日、こうして大会に出場している様子を見ると、アツいものなんだなと感じました。普段、見ることができない一面を見ることができたので、来てよかったです。高校生が運営しているのもいいですね。eスポーツは若い人が詳しいので、若者が活躍できるいいスポーツだと思います」と話していました。

子どもの雄姿を撮影するパチコ団メンバーの保護者

高校生による中学生のための運営

 水戸啓明高校が準備を始めたのは2~3カ月前。顧問の高田先生から話を持ち掛けられて、eスポーツ大会の運営に興味のあった生徒たちが賛同しました。実況・解説を担当したCREATE.Lab.のそーすけさんこと山崎惣介さんは「実況を担当することになって、今日、最初は緊張したのですが、最後は話せるようになりました。でも思っていたより難しかったです」とコメントしました。

イオンモール水戸内原2階のイオンホールが会場


 当日は設営のために朝から会場に入り、リハーサルまで行ったとのこと。ネットワークトラブルがあったものの、来場者に事情を説明して開始を遅らせるなど冷静に対処。大会が始まるとトラブルもなく、高田先生のサポートを受けながらスムーズに進行しました。

 会場での運営以外にも、生徒自らが集客のためにイオンモールのメイン動線に立って観戦を呼び掛けたり、会場後方に設置した「スマブラ体験コーナー」に参加を呼び掛けたりと、自主的に動く生徒が多く、顧問の高田先生も「普段から考えて行動するよう指導しているので、それが生きてよかったです」と喜びながら「でも、運営や参加者の募集が大変だということもよくわかりました」と苦労を語ります。

道行く人に大会の観戦を呼び掛ける生徒たち


 同校は今後もこうしたイベントを開催していく方針。山崎さんは「いろいろ大変でしたが、実況・解説席を経験することができてよかったです。今回は第一回なので、今回経験したことを生かして、第二回、第三回と続けていきたいです」と意欲を示します。

 高校生主催の中学校大会は、運営の高校生にとってはキャリア教育につながります。また、高校生の前段階となる中学生のうちからeスポーツ大会に参加することで、大会への思い入れが生まれ、高校生以降も大会に参加することが期待されます。今回の大会は、ユース世代のeスポーツを活性化させるきっかけになるかもしれません。

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外部リンク

水戸啓明高等学校
https://www.mito-keimei.ed.jp/

【訂正】
本稿初出時、優勝したチーム「TK」は水戸市立第四中学校から集まったメンバーと記載しておりましたが、正しくは石岡市立八郷中学校でした。水戸市立第四中学校は準優勝「パチコ団」です。訂正してお詫びいたします。

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