大会レポート
2023.10.02
福岡・福津のeスポGOMIをレポート! 「楽しい」が社会課題の解決につながる瞬間
- 大会/イベント
- ぷよぷよ
SOCIAL GOOD ENTERTAINMENTとミラeファインが9月30日、福岡県福津市で「海と日本PROJECT eスポGOMI in ふくつ・秋のeco祭り」を開催しました。仲間と楽しみながらごみを拾うことで、街や海のごみ問題を自分ごととして考えるきっかけをつくることが目的です。
eスポGOMIは、3人一組のチームで規定エリア内のごみを拾い、その種類と量をポイントに換算して競うイベントです。制限時間は前半30分、後半30分の合計60分。前半終了後には、後半戦が有利になる“アイテム”をかけたeスポーツ大会があります。今回の競技タイトルは『ぷよぷよeスポーツ』です。
ごみの種類ごとのポイントは、いずれも100gあたり「燃えるごみ」10pt、「燃えないごみ」5pt、「ビン・缶」20pt、「ペットボトル」40pt、「たばこの吸い殻」100ptです。粗大ごみはポイント対象外で、拾わないというルール。競技エリアは福津市まちおこしセンター(津屋崎千軒なごみ)を中心に、大人の足で10分~15分の範囲です。
会場となった福津市は、福岡県の北部、福岡市と北九州市の中間に位置します。海岸線は約22km、ウミガメの産卵地や海水浴場、マリンスポーツなど、海と一体となった街です。干潮時には「かがみの海」と呼ばれる、ウユニ塩湖のように海が空を反射している光景を見ることもできます。
参加したのは20チーム60人。近隣だけでなく、「マリオカート」で世界一に輝いたことがあり、自身で配信も行っている高木光治さん(SOCIAL GOOD ENTERTAINMENT代表)を慕って愛知や大阪から来たファンや、eスポーツに興味があって北九州から来た親子など、さまざまな参加者が集まりました。
開会式に登壇した福津市の原崎智仁市長(※崎は立つ崎)は、同市を紹介しながら「eスポGOMIの開催を楽しみにしていました。街がきれいになる様子を見て、自分たちの身の回りにも目を向けるきっかけにしていただければと思います」とあいさつしました。
前半戦
ルール説明の後は、マップを見ながら作戦会議。9時45分になったら司会者の「ごみ拾いは?」に対し、参加者たちが「スポーツだ!」と応えて前半戦がスタートしました。一斉に散会してごみ拾いを始めます。
道路や歩道の上にある普段から見えているごみだけでなく、道端の茂みに捨てられた吸い殻やペットボトル、海岸線の漂着物など、普段は見えていないごみを積極的に集めます。
途中、北九州から親子で参加しているチーム「ミーや」に話を聞くと、「子どもがeスポーツに興味があって参加しました。イベントを通じて、どのようなものなのか体験してみようと思います。ごみ拾いも一緒になっているということで、楽しく街をキレイにできればと思っています」と参加した経緯を聞くことができました。ただ、「キレイな街なので、あまりごみを見つけることができません」と苦労している様子です。
eスポーツ大会
前半戦が終了したら、各チームでごみの量を計測。途中経過を記録したらeスポーツ大会です。第1から第5ブロックに3~4チームごとに分かれて試合を行う方式で、チームメンバー全員が試合に参加し、それぞれの順位を合計してもっとも順位が高いチームがブロックの代表として決勝じゃんけん大会に挑みます。
大人や子ども、経験者や初心者が入り混じった戦いは、高木さんの軽妙な実況で大いに盛り上がりました。観戦する選手たちも、競技に臨んでいる子どもより前に出て指示を出すお父さんや、貧乏ゆすりをしてしまう大人、必死にプレーする子どもなど、選手の様子を交えた実況に笑いをこぼしながら、時には歓声を上げて一喜一憂します。
eスポーツ大会の最終的な順位と後半で役立つ“サポートアイテムもしくは助っ人”は、1位「グッドニュース」がeスポGOMIに誰よりも参加している山田さん、2位「福津市役所C」がトング人数分、3位「からあげ」が主催者であり福岡について詳しいミラeファイン代表理事の久保春奈さん、となりました。
後半戦
後半戦も、「ごみ拾いは?」「スポーツだ!」の掛け声でスタート。それぞれのチームが前半とは別の方向を目指します。前半は日が照っていましたが、後半戦は若干陰っていたので幾分か動きやすそうです。
終了時間が近づくと、続々と参加者が拠点の「なごみ」に帰ってきます。福津が地元だと話す親子に感想を聞いてみると、子どもたちは「ごみ拾いもeスポーツも楽しかったです」と、ごみ拾いを競技にしたからこその感想を聞くことができました。普段は嫌々やる仕事になってしまいがちなごみ拾いも、ゲーム性を持たせれば楽しめるわけです。また、お母さんは「海はキレイだけど、実はごみがある。このイベントが、子どもたちが環境問題を知るきっかけになれば」と期待を寄せていました。
優勝は主催者(高木光治さん)のファン!?
競技時間終了後、ごみの量と質を集計した結果、1位に輝いたのは愛知県から来たしーたさんと大阪から来たノスワンさんの2人チーム「お兄ちゃんズ」でした。ごみ重量は7.38kg、ポイントは1164ポイントと、2位とは474ポイントもの大差です。「ぷよぷよeスポーツ」では周りが2、3連鎖で沸くなか、6連鎖を決めて圧勝。しかし、じゃんけんで負けてサポートは得られませんでした。それにも関わらず、大量のごみを拾い優勝しました。
ノスワンさんは、「私たちはもともと高木光治さんのファンで、配信でこのイベントを知って、オフ会の感覚で参加しました」と参加のきっかけについて話しました。
しーたさんは、「キレイな街でごみがないかと思ったのですが、前回、宗像で開催された時に参加した経験を生かして、コンビニの近くや駐車場で吸い殻などを探しました。後半は、前半に行かなかった、みんながまだ行っていないであろう遠くに狙いを定めたところ、道端の茂みで一升瓶や大きなごみを見つけることができてラッキーでした」と、勝因を語りました。
また、本イベントで参加者が集めたごみの総量は40.52kgでした。
楽しいが原動力
大会終了後は「遊びから地球環境を考える」をテーマにしたトークショーや、環境問題に関連するワークショップなどを実施。子どもたちは初対面同士でも仲良く「ぷよぷよeスポーツ」をプレーしたり、なごみの中を散策したりと思い思いに過ごしていました。
トークショーには、引き続き高木さんとごみ拾い活動グループ「Good News」の代表を務める中島重人さんが登壇。高木さんはこれまでのeスポGOMIを振り返りながらeスポーツが社会課題を楽しく解決するきっかけになることを強調。中島さんは大好きな川遊びを通じて川のすばらしさを伝え、キレイな川を残す活動につなげる「リバークリーン活動」を紹介しました。共通しているのは「楽しさ」が社会課題を解決するカギになるということです。
楽しい体験がいつの間にか社会課題の解決に
同イベントの中で印象に残ったのは、eスポーツ大会中、「おじゃまぷよ」が幼い子どものフィールドに降ってきた際に、実況の高木さんが発した「大人の生んだごみ問題が子どもに重くのしかかっています!」というフレーズでした。そもそも高木さんが「ぷよぷよeスポーツ」を競技に選んだのは、同じ色の「ぷよ」を集めて消す、というルールがごみ拾いを連想させたことがきっかけとのこと。試合の何気ない一幕は、会場を笑いで包むのと同時に、eスポーツとごみ問題をつなげる瞬間でした。
10月9日には、沖縄・浦添でeスポGOMIは「eスポGOMI with 琉球コラソン2023 AUTUMN」が開催されます。競技ごみ拾いとeスポーツの組み合わせは、それ自体でも思わず夢中になってしまうイベントです。参加してみたら、楽しいイベントに参加した結果、社会課題について考えるようになる、という体験をするはずです。(BCN・南雲 亮平)
書いた人
南雲 亮平
一児のパパ。生まれて初めてプレーしたゲームはマリオカート64。中学生の頃、アーマードコアの魅力に目覚める。このほか、アクションやRPG、シューティングを中心にさまざまなゲームが大好き。FF14ではガンブレイカー。
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外部リンク
Life Reversal Gaming.
https://life-reversal-gaming.co.jp/
MeFミラeファイン
https://www.mira-e-fine.org/
津屋崎なごみ
https://tsuyazaki-nagomi.com/