大会レポート
2023.11.23
無料でプロゲーマー体験! 将来の選択肢が広がる『職業体験フェスタ2023』現地レポート
- 高校eスポーツ
なりたい職業ランキングに「YouTuber」や「ゲームクリエイター」がランクインするなど、好きなことを仕事にしたいと考える子供たちが近年増えてきています。
職業選択の幅が広がったことで自分の好きを極めることができるようになった一方、何を目指せばいいのか分からなくなる学生も増えています。そんな学生たちに向けて、滋慶学園グループ主催の『職業体験フェスタ2023』が今年も開催されました。
日本最大規模の『職業体験フェスタ2023』とは
『職業体験フェスタ2023』とは、11月11日(金)、12日(土)の2日間、幕張メッセ国際展示場展示ホール1にて開催された滋慶学園COMグループが主催するイベントです。今回は、プロゲーマーやVTuber、声優、パティシエなど、数々の職業体験イベントが用意されていました。会場では、学生を中心とした多くの人たちが、自分の興味のある職業について楽しく学んでいる姿が印象的でした。
また同時開催された『2023 JIKEI COM Game & e-Sports SHOW・若きクリエーター展』では、デジタルエンタテインメント業界を目指す若きクリエーターの産学連携プロジェクトで磨かれた作品・パフォーマンスが展示されていました。
同会場は学生限定のeスポーツ大会である『JIKEI COM CUP』『JIKEI COM CUP U18大会』も開催されており、大会観戦、展示会、職業体験が楽しめる空間でした。
プロの環境でeスポーツを学べる「プロゲーマー体験」
プロゲーマー体験のブースでは『Apex Legends』『VALORANT』の二つのタイトルの体験会を行っていました。メインターゲットは高校3年生で、PCゲームに慣れている学生はもちろんのこと、パソコンに触れたことがない初心者まで、幅広い層が来場したそうです。中には、PlayStationやNintendo Switchで遊んだことはあっても、ゲーミングPCは未経験という学生もいたそうです。
同ブースの最大の特徴は、なんと言っても「プレー環境」です。ハイスペックなゲーミングPC、安定した有線回線、防音性を備えたヘッドセットという、実際にプロゲーマーが使用する最高の設備でゲームが体験できるというものでした。
ブースには各タイトルに知見のあるスタッフがいるので安心して体験することができます。体験時間は1人30分、実際の授業のような指導を受けられるようになっていました。担当者に話を聞いたところ「普段なかなか体験できない本格的なゲーミングPCに触れてもらい、eスポーツに興味を持ってほしい」とのことでした。
その他、注目の体験ブースを紹介
プロゲーマー体験以外にも面白そうな体験ブースがありました。今回は特別編として、その他の気になったブースを紹介します。
VTuber体験
VTuber体験ブースでは、VRゴーグルを着用してコントローラーを操作してと、自らが画面上のキャラクターを操作してVTuberになるという体験ができました。
VTuberの操作には専用のコントローラーを用いており、慣れるまではやや操作が難しそうでしたが、普段からゲームに親しんでいる学生はすぐにコツを掴み、上手に動かしていたとのことです。
ブース入り口には、TSMオリジナルのVTuberのパネルが立てられており、ひと際目を引きました。VTuber好きな学生だけでなく、アニメ好きな学生も来場したとのこと。なお、VTuber体験のブースは、音楽・ダンス 映像 エンターテイメント分野に属しており、ゲーム・IT分野と隣接していたため、そちらのブースが目的で来た学生が流れてくることもありました。
ゲームキャラクターデザイン体験
ゲームキャラクターデザイン体験では、プロのデザイナーが使用するペンタブを使って、デジタル技術を駆使した絵描き体験が行われていました。デジタル機器を使って絵を描いたことがある学生は少なく、普段から紙に絵を描いていても、描き心地など、感覚の違いに苦戦していたそうです。
実際に授業を担当している講師にどんな人がデザイナーに向いているかを伺ったところ、「何でも描こうとする子が強い」とのこと。デザイナーは、自分の好きな絵ばかりを描けるわけではないので、クライアントからの依頼に合わせて、自分の好みと異なる絵も描けるような人物が向いているのだそうです。
AI制作・Web制作体験
プロゲーマーを目指していた人の中には、キャリアチェンジでプログラマーを志す人も多いそうです。AI制作・Web制作体験のブースでは、身近で使われているAIの紹介や、実際にコードを書いて簡単なWebページをつくるという体験会が行われていました。来場者の大半が高校生ですが、中には企業の代表者といったような人も体験に来たそうです。
AI制作で体験できたのは、Zoom、検温、スマートフォンのロック画面など、日頃よく使用しているAI技術。デジタルに関する知識はおろか、タイピングをしたことがない学生も来場したそうですが、普段から目にする馴染み深いAI技術ということもあり、楽しみながら学びを深めていたそうです。
今回のブースで気づいたこと
実際にブースを回ってみて、二つの気づきがありました。
学生たちが様々な職業を意識するきっかけとなる
本稿ではゲーム・IT分野に注目しましたが、会場では製菓・調理・美容などの職業体験も行われていました。
それぞれのブースが壁で仕切られているわけでなく、とてもオープンな空間なのが印象的でした。お目当てのブースで体験をしたあとに、隣のブースが気になって、そのまま流れるように体験する人もいたようです。
最近ではアニメ作品とカフェを融合した「コラボカフェ」のような試みもあるため、将来就きたいと考えている職業とは異なる業界についても知見を深めることは大きな意味を持つでしょう。
将来の夢が定まっていない学生たちが、職業体験を通して自分の興味や適性を知ることで、やりたいことが見えてくるという可能性もあります。さまざまな職業を知ることができるので、普段意識していなかった職業について知識と経験を得られるというのが最大の開催意義ではないでしょうか。
プロゲーマーを目指した学生の可能性は無限大
プロゲーマーを目指す学生が増えており、本イベントでも「プロゲーマー体験」のブースは大盛況でした。
周知の事実ではありますが、プロゲーマーを志したとしても、最終的に生計を立てられるようになるのは、ほんの一握りです。現実的に、多くのプロゲーマー志望者が最終的には他の職業に就くことになります。
しかし、プロゲーマーの夢が叶わなかったとしても、eスポーツに熱中した日々はムダにはなりません。各ブースで担当者にインタビューしたところ「eスポーツに取り組んできた学生は、エンタメ分野やIT分野への関心とリテラシーが高い傾向があり、各分野の勘所を押さえているので、順応も早い」とのことでした。
先述の通り、キーボード&マウスやコントローラーの操作になれている学生は、Web制作やVTuberの操作は得意な傾向にあります。プロゲーマーを目指しながらも、他の職業も体験しておくことで、さまざまな可能性を伸ばしながらeスポーツに没頭できるので、本イベントには、eスポーツに取り組む学生の背中を押すような役割もあったといえるでしょう。
まとめ:夢を見つけるにはまず知ることから
コロナ禍を経て働き方に大きな変化が生じ、従来では考えられなかった職業も増えています。
選択肢が広がる一方で、普段の生活の中では想像がつかない職業も多く、実際に学生たちが視野に入れる職業は、まだまだ増えていないのかもしれません。今回のイベントのような職業体験は、若者たちがさまざまな職業を知り、自分の将来について真剣に考える機会になります。
プロゲーマー体験ブースのスタッフは「本イベントをきっかけに、eスポーツを学びたいと思ってくれた学生が実際にプロゲーマーになったら嬉しいですね」と話します。
今回の職業体験をきっかけに進路を決めた学生が、数年後にはブースにて講師の立場でイベントを盛り上げているかもしれません。(eスポーツジャーナリスト・小川)
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外部リンク
滋慶学園 職業体験フェスタ2023
https://www.tokyosyokutai.jp/
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