大会レポート

2023.11.19

ゲーミング両国国技館!? 「Red Bull Home Ground」現地レポ&優勝インタビュー

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 11月3~5日に、両国国技館にて、タクティカルシューティング『VALORANT』の公式オフシーズンイベント「Red Bull Home Ground」が開催されました。

会場となった両国国技館。
1万人収容で都心からのアクセスも良い会場
土俵を囲むように配置された客席はeスポーツイベント向き


 Red Bull Home Groundは招待制の大会で、国内外の強豪チームが参加しました。開催国である日本では、招待に加えて本戦出場権を賭けた日本予選を開催し、FENNELが見事優勝。当日、出場したのは、EMEAからFnatic、FUT Esports、AmericasからCloud9、100Thieves、PacificからDRX、FENNEL、SCARZ、ZETA DIVISIONの8チームです。日本から3チーム出場しており、開催国としてはこれまでにない盛り上がりが期待されます。

会場には参加チームのブースを用意し、
オリジナルグッズを物販していた
FENNELのブースの前でFENNELファンのみなさんを撮影
入場ロビーには撮影スポットとして
参加全チームのロゴの入ったパネルを用意
Red Bull主催なので、当然Red Bull販売員も


 Day1の11月3日はスイスドロー方式のトーナメントを開催し、2敗したチームが敗退となります。残念ながら、ここで日本チームのSCARZとFENNELが敗退してしまいます。ただ、ZETA DIVISIONは強豪Cloud9に勝利し、Day2に残ることができました。

 Day2では再びCloud9との対戦。再度勝利を狙いましたが、残念ながら敗退となります。

 最終日のDay3では、セミファイナルでFnaticが圧倒的な力の差を見せつけ、DRXに勝利。決勝戦はCloud9とFnaticの戦いとなりました。決勝戦はBO5で行われ、先に2勝し王手に手を掛けたのはCloud9。しかし、そこから地力の差を見せつけ、Fnaticが逆転勝利を収めています。FnaticはLOCK//IN、Mastersと二つの国際大会で優勝、Championsは5位でした。そして今回のRed Bull Home Groundも優勝し、まさに今年の『VALORANT』の競技シーンはFnaticの為にあったものと言えるでしょう。

決勝戦入場時はスマホのライトを使って、選手を出迎えた
決勝戦はCloud9対Fnatic
優勝したFnatic

まさに“Home Ground”

 さて、今回のRed Bull Home Groundですが、先述した通り、両国国技館で開催されました。大相撲の聖地である両国国技館とeスポーツの融合はなかなか観られるものではなく、それだけで価値があるものと感じました。イベントタイトルのHome Groundが示す通り、日本の国技である相撲の聖地との融合はある種、運命的でもあります。

 また、まったく関わりがなさそうなものですが、実は1993年にスーパーファミコンソフト『ストリートファイターIIターボ』を使った全国大会である「ストリートファイターIIターボ チャンピオンシップ’93 IN 国技館」が開催されています。まだ、eスポーツと言う言葉もない時代ですが、その時にすでに両国国技館はeスポーツの聖地として存在していたわけです。そう、30年振りに両国国技館にeスポーツが帰ってきたと言えるのです。

 会場はところどころに大相撲の佇まいを残しているので、Home Groundもそれに即した演出で親和性を高めています。会場の外には出場チームの幟が立っていましたが、すべて漢字に変換し、日本らしさ、相撲らしさを醸し出しています。1階席はアリーナ席となっていましたが、2階席以上は大相撲でお馴染みの枡席を用意。大相撲を少しでも知っている人であれば、枡席での観戦はそれだけで気持ちが高揚してくるのではないでしょうか。

ステージの上には相撲櫓が吊されているのも確認できた。
2階席の取組表や最上段の歴代横綱の写真などそのままに
両国国技館を堪能できた
両国国技館と言えば枡席
実況と解説を終えたRetloffさん(写真左)と岸大河さん(写真右)も
枡席で試合を観戦
決勝戦の実況を担当したOooDaさん(写真左)と
Yukishiroさん(写真右)


 そもそも大会が開催されること自体に大きな意味があります。『VALORANT』の競技シーンであるVCTは8月に2023年でシーズンが終了。来シーズンまで大きな大会はありません。各方面で長すぎるオフシーズンに対してクレームが出ていたほどです。そこで、VCT OFF//SEASON OFFICIAL EVENTとして、各チームやeスポーツ団体に大会のコンペティションを開催。Home GroundはそのVCT OFF//SEASON OFFICIAL EVENTの公認大会として開催されているわけです。

試合と試合の合間にあるPCチェックの時間はステージに入り、
撮影することができた。
eスポーツイベントの撮影エリアが厳しくなりつつある中、
こういった施策をしてくれるは嬉しいところ
PCチェックをするZETA DIVISIONのYuran選手
相撲櫓を真下から撮影

イベント開催を待ち焦がれていたのはファンも一緒。
Fnaticのファンが多く駆けつけていた


 ただ、最初から予定されていた大会ではなかったので、チームとしてはオフシーズン真っ只中の状態であり、多くのチームがロースターを確定していなかったり、さまざまな準備ができていなかったりと、慌ただしい大会だったと言えます。そんな中、高いパフォーマンスをみせたFnaticはさすがと言えました。ロースターがほぼ変わっていない点が、他のチームより抜きん出た結果を出したのかもしれません。

 そんなFnaticの優勝コメントが得られているので、最後にご一読していただければ。

優勝インタビュー:Fnatic

――優勝おめでとうございます。Fnaticは今年もっとも安定したチームだと思いますが、チーム作りのコツはなんでしょうか。

Boaster選手 初心に立ち返ることが大事ですね。今年初めのLOCK//INで優勝できたわけですけど、それだからと言って我々はこの業界の神となるわけでもなく、何者でもないってことを認識することです。次のトーナメントに向けてやっていくしかないですね。あとは、子供の頃に憧れていた人物像に今の自分がなれているかということです。そのことを忘れずにいることですね。

コーチやスタッフと一緒に優勝記念撮影


――コーチはFnaticに入ったばかりですが、チームを率いてみて感じた強みはなんでしょうか。

Elmapuddyコーチ チームワークというか、コミュニケーション力ですね。ゲームのスキルについて教えることは簡単にできるんですけど、自分たちがどれだけ正直に心の底から語り合えるかどうかと言うのはなかなかできることではなく、そこが強さだと感じました。

――今日の大会の決勝戦では3対2と言う接戦での決着となりましたが、対戦相手のCloud9にどのような印象を持たれましたでしょうか。

Boaster選手 自分たちの弱いところを突くのが上手いチームでした。火力も彼らの方があったと思います。そういった面も含めて、自分にとってはすごく面白い試合でした。

――シーズン終了から約3か月経っての大会で、高いパフォーマンスを維持できているように思えましたが、大会の前に特訓をしたのでしょうか。もしくはオフシーズン中もシーズン中と同じくらい練習を積み重ねていたのでしょうか。

Chronicle選手 特に何もしていないです。

Boaster選手 ブートキャンプをしただろ(笑)。

Chronicle選手 それは冗談でオフシーズンなので特に何もしていませんでした。大会前に少し練習をしようかと言う話もありましたが、みんな違う場所に住んでいるので、あまり練習する時間が取れませんでした。数日前に来日して、そこで練習しようと思っていたんですけど、別のことで忙しくて、ここでも時間は取れませんでした。それでも一緒にプレーしていみるとシーズン中のプレーを思い出すことができたり、チームワークと言うのもしっかりと発揮できたり、高いパフォーマンスを示せたかと思います。

Boaster選手 Fnaticはロースターが変わらないだけじゃなく、エージェント構成も変えずにプレーしています。そこは自分たちにとって楽でした。今大会ではコミュニケーションをしっかり取るというのが焦点だったのでそこができたのは良かったですね。

和気藹々とインタビューに対応するFnaticのメンバー


 来シーズンのVCTがどのようなスケジュールの詳細は発表されていないので、今シーズンのような長期のオフシーズンが発生するかわからないですが、Red Bull Home Groundは来シーズンも日本での開催を是非とも検討して欲しいところです。昨年はイギリスのマンチェスターで開催し、2021年はロンドンでした。Red Bull Home Groundは元々、ヨーロッパNo.1を決める大会だったので、日本での開催はイレギュラーではあるのですが、日本での定期開催となることを願います。(ライター・岡安 学)

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外部リンク

Red Bull Home Ground
https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-home-ground

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