大会レポート
2023.12.11
意外なデッキが活躍! 鹿児島開催「全国eスポーツ選手権2023 KAGOSHIMA 学生の部」決勝レポート&インタビュー
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日本中から集まってきた選手が頂点を競う「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」。今年も『Shadowverse』の学生日本一の座をかけた「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2023 KAGOSHIMA Shadowverse 学生の部」本大会決勝が開催されました。『Shadowverse』に詳しくなくても楽しめるよう、大会の見所を中心にまとめました!

決勝を戦ったおいたく選手(左)と空白選手(右)
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2023 KAGOSHIMA Shadowverse 学生の部」とは
同大会は、中学、高校、高等専門学校、大学またはこれらに準ずる教育機関の生徒・学生 が参加できる『Shadowverse』の大会。2023年11月25日に鹿児島県のセンテラス天文館で開催された、5度目の「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の一部門として開催されました。
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2023 KAGOSHIMA Shadowverse 学生の部 本大会決勝」の舞台に立つためには、複数回の予選を通過する必要があります。8月1日~9月3日に全国各地でオフライン予選が行われ、さらにその通過者のみで9月9日~9月10日にオンラインにてブロック予選と決勝トーナメントが実施されました。


厳しい予選とトーナメントを勝ち抜いたのは下記の2人です。
・おいたく選手(北海道・札幌 北海道・東北ブロック)
・空白選手(神奈川県A 関東ブロック)
決勝戦のフォーマットはローテーション、形式はBO5で行われます。
当日、解説の海老原悠さん、実況のソーさんが来場して戦いを盛り上げました。
『Shadowverse』の会場は屋根付きの屋外で実施されました。近くに商店街があり、立ち止まって観戦する通行人の方もいました。
優勝者と準優勝者のスペシャルインタビュー
試合直後のおいたく選手、空白選手にお話を伺いました。
優勝:おいたく選手(北海道)

──環境が変化してから間もないタイミングでの大会でしたが、各クラスのデッキを全種類組んで試したのでしょうか。それとも予め3~4個の候補に絞り込んで集中して練習していたのでしょうか。
おいたく選手 3日前の能力変更(※1)以前にすでに三つのデッキを決めていたのですが、直前にナーフが入っちゃったので「あと一つどうしようかなぁ……空白さんが使いそうなデッキに勝てるデッキにしよう!」という経緯で考えました。
※1:カードの能力調整のこと
──今回の練習で最も楽しかったことを教えてください。
おいたく選手 いつもはRAGEなどのBO3の競技大会に出ることが多く、二つのデッキを練習するのですが、今回は三つのデッキを用意する必要があったので、普段と違う練習ができて新鮮で良かったです。
──決勝に進出したことで周囲からなにか反応はありましたか。
おいたく選手 学校内で一緒に『Shadowverse』をやっている友人の間では「うまい人」と元からよく言ってもらっていたのですが、今回出ることについても「すごいね」と応援してくれました。
──今大会以外にも目標はありますか。
おいたく選手 「Shadowverse Invitational 2024」で優勝です。またRAGEのDay2シードも獲得したので、それを活かしてできる限り勝ちたいです。
準優勝:空白選手(神奈川県)

──環境が変化してから間もないタイミングでの大会でしたが、各クラスのデッキを全種類組んで試したのでしょうか。それとも予め3~4個の候補に絞り込んで集中して練習していたのでしょうか。
空白選手 決勝だけでしたので、得意なデッキを持ち込むというよりも、相手の持ちそうなクラスを考えて、対策しようと思っていました。
ナーフが入る前は、相手のデッキが【エルフ】【ロイヤル】【ドラゴン】であると読んでいたのですが、3日前のナーフによって【ドラゴン】が候補から消えたので、自分もデッキを変えることになりました。
前日までは自信のある【ビショップ】を持ちこもうと考えていたのですが、一緒に練習していた人に「それは対戦相手に読まれているのでは」と指摘され、締め切りの6時間前くらいにデッキを組みなおして最終決定をしました。
──今回の練習で最も楽しかったことを教えてください。
空白選手 いつも練習している人たちと調整ができたことです。先ほどの試合が終わってからも、すぐにその仲間と電話で話をしました。
──決勝に進出したことで周囲からなにか反応はありましたか。
空白選手 昔はほかのカードゲームをプレーしていたのですが、その時の友人たちが気づいてくれて「『Shadowverse』でも勝っていてすごい!」と言ってくれました。
──今大会以外にも目標はありますか。
空白選手 「Shadowverse Invitational 2024」は(本大会のような)1発勝負ではないので(※2)、着実に勝ちを積み上げたいと思っています。ほかの大会も含めて継続して実績を残していきたいです。
※2 予選はスイスドロー形式を予定
決勝の見どころを三つのポイントで紹介
決勝戦なので見どころしかない戦いではありましたが、その中でも特に注目のシーンを三つのポイントにまとめました。
決勝に進んだ2名はともに実力派の強豪プレイヤー
おいたく選手、空白選手ともに『Shadowverse』界隈では有名な強豪プレイヤーです。
おいたく選手は、リアルカードゲーム『シャドウバース EVOLVE』においても、北海道のエリアランク1位を獲得したプレイヤー。空白選手も、直近の「Shadowverse Challenge Qualifier」の優勝を始め、RAGEでも安定した成績を残し続ける実力派のプレイヤーです。
学生限定大会とはいえ、トップレベルのプレイヤー同士の戦いであり、全ての『Shadowverse』プレイヤーが注目する一戦でした。
▼神奈川A予選大会での「空白選手」のインタビューはこちら▼
https://esports.bcnretail.com/tournament/tournament-report/230817_001345.html
秘術ウィッチではなく進化ネメシスという選択
両者が持ち込んだデッキには違いがありました。

今環境で強力なデッキである【秘術ウィッチ】は、両者とも持ち込んでくると思われていましたが、おいたく選手は【秘術ウィッチ】ではなく【進化ネメシス】を選択しました。
前述したインタビューにもあるとおり、【進化ネメシス】は空白選手が持ち込むであろうデッキの対策として、用意されたもののようです。王道の【秘術ウィッチ】と意外性のある【進化ネメシス】の戦いがポイントです。
終始展開が苦しかった空白選手&着実に勝利を掴んだおいたく選手
1戦目は空白選手【エルフ】とおいたく選手【ロイヤル】の戦い。本来であれば【エルフ】が有利なマッチアップですが、ここで空白選手の【エルフ】のドローが芳しくなく、まさかのおいたく選手の【ロイヤル】が勝つ展開に。

嫌な1敗をしてしまった空白選手ですが、おいたく選手の【エルフ】に対して【秘術ウィッチ】を当てて、冷静に2戦目を取り返しました。
1対1で迎えた3戦目は【エルフ】対決になります。ただここでも動きが良いのはおいたく選手。後攻での進化ポイントの多さを活かしたプレーで勝利をおさめました。
4戦目はおいたく選手の【進化ネメシス】が登場、空白選手は3度目の正直で【エルフ】を決勝の舞台に送り出しますが、おいたく選手の【進化ネメシス】の動きがそれを上回ります。優勝はおいたく選手となりました。
▼決勝戦の模様はこちら▼
https://www.youtube.com/watch?v=8SEQxf8t6C8&ab_channel=ShadowverseChannel
最後まで諦めなかった空白選手の姿
今大会、優勝したおいたく選手のプレーが素晴らしかったのは言うまでもありません。

ただ、個人的に心を撃たれたのは、空白選手の戦う姿でした。ついに辿りついた決勝の舞台ではありますが、空白選手のデッキは応えてくれませんでした。
彼にとっては、決して満足のいく戦いができたわけではないでしょう。それでも空白選手は、勝利の可能性を諦めずに最後まで思考を巡らし、堂々と戦い抜きました。
過去のインタビューで空白選手が答えてくれた「僕は『継続して勝つ』というのを周りに宣言しています」という言葉がとても印象に残っています。今回は惜しくも敗れましたが、次の戦いをすでに見据えているのかもしれません。

おいたく選手と空白選手は「Shadowverse Invitational 2024」にも招待選手として出場します。今大会優勝というタイトルを掲げるおいたく選手と悔しさを胸に闘志を燃やす空白選手。2人が「Shadowverse Invitational 2024」の舞台で暴れまわってくれることが、今から楽しみです。(eスポーツジャーナリスト・小川)
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外部リンク
全国都道府県対抗eスポーツ選手権2023 KAGOSHIMA
https://jesu.or.jp/2023kagoshima/

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