大会レポート
2024.04.06
ストリーマーのセコンドに“プロ”!? 「RAGE STREET FIGHTER 6」の新たな大会スタイルに注目
- 大会/イベント
3月24日に有明GYM-EXにて、『ストリートファイター6(スト6)』のイベント「RAGE STREET FIGHTER 6」が開催されました。eスポーツイベントを多々主催するRAGEですが、『ストリートファイター』シリーズを題材にするのは、2019年に開催した『ストリートファイターV』のチーム戦「ストリートファイターリーグ powered by RAGE」以来かと思われます。


開場前から長蛇の列ができていた
今回のRAGEはストリーマーによるインビテーショナル(招待制)大会です。これまでも多くのストリーマーによる大会やイベントが開催されてきましたが、今回は個人戦のダブルエリミネーショントーナメント。カプコンプロツアーやカプコンカップとほぼ同じレギュレーションで、不敗ならウィナーズ、1回負けるとルーザーズになり、2回負けると敗退となるトーナメントです。

参加するストリーマーも、赤見かるびさん以外の15選手は最高位であるMasterランクに到達しており、その実力の高さは折り紙付きです。その中でも注目なのは、たいじ選手、Ceros選手、ザクレイ選手、ドンピシャ選手です。
たいじ選手は数々の『スト6』のイベントや大会で活躍しており、その実力はハイアマチュアからプロレベルと言えるほど。
Ceros選手はMasterランク専用ポイントのMRが2000を超えており、Masterの中でも上位数%の人しか与えられない称号「Legend」を取得しています。
ザクレイ選手は『大乱闘スマッシュブラザーズ(スマブラ)』のプロ選手で、『スト6』でもその実力を発揮してくれそうです。
ドンピシャ選手もストリーマー屈指のガイル使いとして名をはせています。
ほかにも実力者揃いなので、トーナメントの組み合わせやその日の調子の如何によっては誰が優勝するかはわからない状態です。

大会自体は、やはり優勝候補であるたいじ選手(JP)とCeros選手(ラシード)が勝ち上がり、ウイナーズファイナルで対戦。ここではたいじ選手に軍配があがり、Ceros選手はルーザーズから再起をはかります。ルーザーズはダルシム使いのありけん選手が勝ち抜け、Ceros選手とルーザーズファイナルを戦います。ありけんさんは善戦するものの、キャラクター相性の悪さもあり、Ceros選手に敗れてしまいました。
これによりグランドファイナルは、ふたたびたいじ選手対Ceros選手に。グランドファイナルはCeros選手の猛攻によりストレート勝ちを収めます。これでたいじ選手もルーザーズ落ちとなり、グランドファイナルリセットで勝敗が決することに。直前の試合で勝利したCeros選手が波に乗って勝利するかと思いきや、ここでたいじ選手の対応力が爆発。直前の戦いの敗因を克服し、なんとストレートでグランドファイナルリセットを取り返し、優勝を決めました。



今回の大会は、これまでのエンタメを重視するストリーマーの招待制大会とは若干趣が異なり、本格的で競技性が高く、ストリーマーを起用したイベントの新機軸を打ち立てました。それ以外にも、eスポーツ大会としても新たな試みをいくつかしており、斬新な大会だと感じました。
そのひとつが、会場内に設置された三つのステージを同時に使っての大会進行です。オープントーナメントの大会であれば、複数のステージで対戦を行い、同時進行で大会が進んでいくことはありますが、招待制の大会においてはほとんどありません。
今回はレッドステージ、ブルーステージ、メインステージの三つのステージを用意し、レッドステージとブルーステージで同時に対戦が行われます。レッドステージとブルーステージは、会場内のメインステージに向かって後方左右に用意されており、それぞれの試合を周辺から観戦することができます。メインステージではレッドかブルーのどちらかで行われている試合をメインスクリーンに映すので、指定席で観戦することもできます。

総合格闘技のオクタゴンリングのようになっており、ステージの周辺で観戦ができた
より間近で選手を観たいのであれば自席ではなくそれぞれのステージに移動し、試合をじっくり観戦したいのであれば、自席で座って観る、という楽しみ方の選択肢があるわけです。レッドとブルーはどちらも自由に行き来することができ、先着順でスタンディング観戦するようになっています。いわゆる音楽フェスで同時に演奏が行われて、好きなバンドを見に行くような感じです。

そしてベスト6からはメインステージで試合が行われ、ここからは通常通りの観戦形式となります。観戦チケットは指定席付き入場券と立ち見入場券の2種類があり、レッド、ブルーでの観戦を中心に考えているのであれば、立ち見入場券でも十分に楽しめるようになっていました。また、配信台ではないステージで観戦していれば、自分が観ているステージが試合前のセッティングやインターバルで試合が行われていなくても、メインステージの配信画面を観て楽しめるので、待ち時間も楽しめるという利点がありました。

レッド、ブルーステージに駆けつけていた
大会自体は競技性の高いダブルエリミネーショントーナメントであることは前述しましたが、新たなシステムとしてセコンドシステムが導入されています。今回参加したストリーマーの多くは、プロ選手やハイアマチュアの選手にコーチングしてもらっており、今やその流れは定番となりつつあります。そのコーチが試合中も一緒にステージにあがり、いつでもアドバイスを受けられる状態になっていました。
プロアマ問わずチーム戦であれば、試合と試合のインターバルで仲間のアドバイスを聞くことができますが、試合中は基本的にひとりです。一方、今回のセコンドは試合中も隣にいて声をかけることができるので、まさにボクシングのセコンドに近い状態で応援やアドバイスを送ることができます。大会では緊張したり、あがったりすることで、いつもの実力が出せない場合が多いですが、客観的に判断できるセコンドがつくことで、精神的には少し安心して対戦できるようになるわけです。これはかなり効果がありそうなので、プロシーンなどでも取り入れても良いかもしれません。



ステージにはセコンドの翔選手のみが登壇
会場にはストリートファイターリーグ(SFL)に参加しているいくつかのチームがブースを出展。チームグッズの販売やファンミーティングなどを行っていました。ブースの近くにはプロ選手交流エリアがもうけられており、プロ選手との対戦、そして対戦終了後にアドバイスをもらえるイベントも終始開催されていました。こちらも大会と並行して行われており、対戦したい選手の席に並ぶだけで、参加することができました。対戦台にはアーケードコントローラー、パッド、レバーレスコントローラーも用意しており、手ぶらで会場に来ていた人でも気軽に参加することができていました。

朝一にはネモ選手がおり、写真撮影に対応していた

いけんく!のステッカーはちょっと欲しい

(写真左)、ナウマン選手(中央)、竹内ジョン選手(右)がいた

アパレル製品を中心にラインアップ


チョコブランカさん、ももち選手、ジョニィ選手、ヤマグチ選手が代わる代わる店番をしていた

マフラータオルとステッカーのセットを販売。
春麗の鳳翼扇のすべてをジャストパリィで受け止める「背水の逆転劇」チャレンジをやっており、制限時間内にジャストパリィを2回以上決めれば、グッズが半額になった

サインや写真撮影の対応をしていた




同時に3人が登場

かべ選手などプロゲーマーと対戦できる機会もあった
好きな試合を好きな場所で観られる3ステージ制やプロ選手との交流エリアの存在は、eスポーツ観戦をただの観戦だけで終わらせることなく、イベントに参加する感が増え、多様な楽しみ方に対応した観戦方法を実現したのではないでしょうか。

これは試合数の多い、個人戦のダブルエリミネーショントーナメントならではのシステムだからこそではないでしょうか。今後もより観戦の自由度の高いイベントへの昇華に期待します。キッチンカーも会場内に出ていましたし、いっそのこと、ビアフェスと大会を融合するなんて言うのもありかも知れません。(ライター・岡安 学)
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外部リンク
RAGE STREET FIGHTER
https://rage-esports.jp/street-fighter/2024/

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