大会レポート

2024.08.16

特殊ルールで見ごたえある「ポケユナ甲子園 2024」決勝大会! 仲間と一緒に出場するために猛勉強して受験

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 8月4日に『ポケモンユナイト』の高校生大会「ポケモンユナイト甲子園 2024(ポケユナ甲子園) 全国大会」決勝大会が開催されました。6月15・16日にオンラインにて地区予選大会が開催され、各地区の代表者が日本テレビの会場に集結しました。地区予選は四つの地区に分けられており、北海道・東北・北陸・甲信越、関東、東海・関西、中国・四国・九州・沖縄からそれぞれ1校が代表となります。

優勝したS3の面々


 今年のポケユナ甲子園の全国大会に出場したのは、北海道・東北・北陸・甲信越地区代表の「JP Apricot」(福島県・県立福島高等学校)、関東地区代表「Solo S School(S3)」(茨城県・S高等学校)、東海・関西地区「Unic」(京都府・京都橘高等学校)、中国・四国・九州・沖縄地区代表「瑠璃波愛(ルリハート)」(岡山県・県立瀬戸高等学校)の4校で、見事に優勝したのはS高校のS3でした。

司会進行の山本博さん(写真中央)、
応援リーダーの藤田ニコルさん(写真左)、
応援マネージャーの小國舞羽さん
実況は篠原光さん、解説はObuyanさん


 ポケユナ甲子園は、今年で3回目を迎え、2年連続で関東地区代表校が優勝しています。参加資格は高校生(全日制、通信制、定時制、高等専門学校)のみで、同一高校でチームを組む必要があります。

 『ポケモンユナイト』はNintendo SwitchとモバイルアプリでリリースされているMOBAで、基本無料で遊べるタイトルです。クロスプレーが可能で、どちらでプレーしていても対戦することが可能となっています。

 1回戦と準決勝、3位決定戦はオンラインと同じくBO3(2勝先取)で、決勝戦はBO5(3勝先取)。EXポケモンの使用は常時禁止。第2ゲームは第1ゲームで使用したポケモンの使用も禁止され、第3ゲームでは第1・2ゲームで使用したポケモンも使用禁止となります。決勝戦のBO5では、BO3のルールに加え、第4ゲームは第1・2・3ゲームで使用したポケモンが使用禁止。第5ゲームまでもつれ込んだ場合は、制限が解除され、EXポケモン以外のすべてのポケモンの使用が可能になります。

全国大会のルール


 BO3の場合は最大で3戦するので、最低でも3体のポケモンを使える必要があります。BO5は最終戦のみ使用制限が解除されますが、4戦目以降があることを考慮すると、4体は使えるようになっておく必要があります。得意ポケモンと同じ練度でほかのポケモンを使いこなすことはかなりの難易度で、練習量も必要となってきますし、ベストメンバーから順に弱いチームを構成するのか、平均的なチームで戦い続けるのかなど、高度な戦略が必要になってきます。


 キャラクターピックはドラフト制ではなく、ブラインドピックとなり、お互いにポケモンを選んだあと、相手の編成がわかるようになっています。


 1回戦はJP ApricotとUnic、S3と瑠璃波愛が対戦。それぞれ、JP ApricotとS3がカウント2-0で勝利します。岡山県の瑠璃波愛は予選無敗で全国大会に挑んでおり、全勝での優勝を目論んでいましたが、3Sが分厚い壁として登場し、その野望を打ち砕きました。3位決定戦ではその瑠璃波愛がUnicを下し、3位となりました。

JP Apricot対Unic
瑠璃波愛対S3


 決勝戦はJP ApricotとS3の対戦。試合前のインタビューでは、JP Apricotが練習試合では一度もS3に勝利したことがないと発言。明らかに格上の相手との対戦となります。第1ゲームは実力差を見せつけるように圧倒的な強さでS3が大幅リードを取ります。しかし、レックウザが登場してからの集団戦でJP Apricotが勝利すると、そのままレックウザを倒し、一気に逆転を決めました。

 その敗北によって気を引き締め直したか第2ゲームは512対0と完封。第3ゲームはS3のmomor1su選手のヨクバリスが大暴れ。複数の相手からの攻撃を耐えきり、倒しまくる姿はまさに無双と言えます。序盤こそ拮抗していましたが、最終的には750対82の大差で勝利しました。S3のマッチポイントで迎えた第4ゲーム。JP Apricotは、ブラッキー、ドードリオ、ハピナス、バシャーモ、エーフィと最強の布陣。おそらく、第1ゲームを取れたことで、第4ゲームまで残しておいたと思われます。JP Apricotはここで勝利し、使用キャラクターがリセットされる第5ゲームでの勝負に持ち込みたいところです。

 しかし、第4ゲームもS3のペース。S3の学習ドリ王選手のフーパが攻守において活躍し、JP Apricotの猛攻を防ぎます。結果、620対93でS3が勝利し、優勝を決めました。

 ポケユナ甲子園も今年で3回目、第1回や第2回の大会の様子を中学生時代にみて、高校生になったら参加したいと言うプレイヤーも出てきます。決勝戦で争ったS3とJP Apricotはまさにそういった選手たちでした。S3のmomor1su選手は昨年優勝チームのエオスの民のねりー選手に憧れ、ポケユナ甲子園を目指すようになりました。そのねりー選手の存在を教えてくれたのは、母親とのことです。

 JP Apricotは、全員2年生チームで6人中4人が同じ中学の同級生でした。リーダーであるJAC_白昼夢/選手は、中学生時代にポケユナ甲子園のことを知り、同じ中学で『ポケモンユナイト』をプレーしていたメンバーで出場したいと思ったそうです。白昼夢/選手以外の3人は福島高等学校を志望校としていたため、同一高校での参加が条件のポケユナ甲子園に出場するために、白昼夢/選手も福島高等学校の受験を目指しました。

 しかし、合格が怪しい成績だったので、仲間と一緒にポケユナ甲子園に出場するため、猛勉強したと言います。もし、ポケユナ甲子園の存在がなければ、当時の学力で入れる高校に入った可能性もあるわけです。まさにゲームが進路を変えたと言えるでしょう。月並みな言い方ですが、ゲームで学力を落とす人もいれば、伸ばす人もいると言うことです。

第4ゲームに勝利し、優勝の喜びをあらわにするS3

優勝チームS3 直撃取材!

 最後に、優勝したS3にインタビューをしてきました。

――優勝おめでとうございます。

sisi2gata(シシニガタ)選手 まじ最高でした。それ以上は言葉がでないです。

☆》・_~☆選手(ドキコ)選手 めっちゃ頑張ったので勝てて嬉しいです。ガラガラになるまで声出して、やれることやって勝てたので、嬉しいです。

学習ドリ王!!選手 練習通りの力が出せて良かったです。

momor1su(モモリス)選手 ヨクバリスという一番好きなポケモンで勝てたんでめっちゃ嬉しいです。

夢ノ桜_nicoP(ニコポン)選手 まず言いたいのは、名前は25ポンでもニコピーでもなくニコポンです。

――ヨクバリスが大活躍しましたが、momor1su選手はどの点がヨクバリスの魅力だと思いますか。

momor1su選手 ヨクバリスは頑張れば1対5で勝てるんですよね。僕は1対5で勝てるポケモンが大好きでソウブレイズもストライクも1対5で勝てるポケモンで使っていたんですけど、ヨクバリスも勝てるかもってなって、ずっと使ってきました。練度が上がればうまく使いこなせると思いますので、使ってみたい人は頑張ってみてください。

――今回は複数のポケモンを使いこなす必要があるルールでした。すべての持ちポケモンを最高練度にするのは難しいと思います。その練度に差があるなか、どういった意図でチームを構成したのでしょうか。

sisi2gata選手 ヨクバリスが出た時の編成は自信がありましたが、それ以外の編成は平均的な強さになるように考えました。

――第4ゲームでは、JP Apricotがメインの編成で挑んできて、かなり強い布陣だったと思いますが、その点はいかがでしたか。

momor1su選手 そこはサポートの学習ドリ王!!が踏ん張ってくれて、レックウザに優位で挑めた感じです。

学習ドリ王!!選手 本戦だとEXが使えないので、ちょっとキャリーできないなと思いながらサポートをしていました。

――今回のチームは3年生ひとり、2年生ふたり、1年生ふたりの構成ですが、来年も挑戦されるのであれば豊富を。3年生のsisi2gata選手はエールをお願いします。

sisi2gata選手 こいつらであれば、絶対勝てると思うので、まじ頑張って欲しいです。

学習ドリ王!!選手 2連覇目標です。

☆》・_~☆選手 来年も出るので、勝ちたい人、S高に来てください!

momor1su選手 来年はまだ考えていませんが、ウインタートーナメントとWCSの予選は出る予定なので、その流れでポケユナ甲子園も頑張って出られるようにします。

夢ノ桜_nicoP選手 自分も受験とか様子をみながらではありますけど、来年また出たいと思っています。今回みたいな感じで勝っていきたいです。

特別ルールが生む楽しさと課題

 全国大会のルールとして採用された1度使用したポケモンが次の試合で使用できないルールは、メリットとデメリットの両方を感じました。

 どのeスポーツ大会においても、勝利を目指す以上、強いキャラクターを選ぶことが常套手段となっています。そのため、どのチームも似たり寄ったりの編成になることが多く、毎回同じ組み合わせでの対戦となることも珍しくありません。

 一方、今回のルールでは多くのポケモンが出場するため、多様な戦いを見せてくれると言う点ではかなり好印象でした。また、編成の仕方やどの順番で使っていくのかなど、戦う前での戦略も重要になっており、腕前が劣っていても逆転できるルールとも言えました。

 ただ、選手にとっては、使用するポケモンの数が増えれば、それだけ負担を強いられます。特に全国大会のみに適用されたルールとなれば、最大で2戦のために準備をしてこなくてはならないのは負荷をかけすぎではないかとも思えました。BO3でも第3ゲームは制限を解禁したり、BO5であれば、第3ゲームと第5ゲームの制限を解禁するなど、もう少し緩和しても良いような気がします。そのあたりは来年以降に期待しています。(ライター・岡安 学)

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外部リンク

ポケモンユナイト
https://www.pokemonunite.jp/ja/

ポケユナ甲子園 2024
https://www.pokemonunite.jp/ja/news/216/

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