大会レポート

2025.02.06

年に一度のお祭りRiot Games One2024レポート! 注目ポイントと今後への期待

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 12月14、15日にKアリーナ横浜にて、Riot Gamesによるゲーム&ファンイベントである「Riot Games One」が開催されました。Riot Games Oneは今回で3回目を数えます。オフラインイベントに加え、11月4日から12月13日までオンラインイベントも行う、1ヶ月以上の長期イベントです。今回はオフライン開催のDay1(12月14日)に現地取材に行ってきました。

(ライター・岡安学/編集・BCN eスポーツ部)

オフラインイベントの会場の写真
12月14、15日のオフラインイベントが開催されたKアリーナ

ストリーマーにプロゲーマー、盛りだくさんのプログラム

 プログラムは大きく分けて4つ。

 「League of Legends」の世界的有名プレイヤーを招待し、ストリーマーチームとFukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)との対戦を行う「Legendary Legends Showmatch」。

 高校生向けeスポーツ大会「STAGE:0」で優勝したルネサンス高校がストリーマーチームと対戦する「NEXT GENERATION’S CHALLENGE」。

 家庭用ゲーム機版の「VALORANT」でストリーマー同士が対決する「PLAY WITH US」。そして、「VALORANT」の地域リーグであるVCT AMERICAからLEVIATAN(LEV)、VCT EMEAよりFnatic(FNC)を迎え、VCT PACIFICに参加する日本のDetonatiN FocusMe(DFM)とZETA DIVISION(ZETA)が4チームの総当たり戦を行う「PRO INVITATIONAL」です。

 ちなみにDay2は、NEXT GENERATION’S CHALLENGEはSTAGE:0の「VALORANT」部門の優勝チームであるルネサンス豊田高校が出場します。残りのプログラムは基本的に同じでPRO INVITATIONALは対戦相手が変わっています。

来場したプロゲーマーのファンの写真
豊富なプログラムと出演者に、来場したファンも応援する相手が多岐に渡っていた


 Legendary Legends Showmatchは、Dyrus選手、inSec選手、Perkz選手、Bang選手、MadLife選手がLEGENDSとして招待されています。

レジェンドチームの写真
まさにレジェンド揃いのLEGENDS


 1戦目はZerostさん、Yutapon選手、葛葉さん、うるかさん、Cerosさんによるストリーマーチームとの対戦。1戦目はストリーマーが相手と言うことでハンデ戦が行われます。LEGENDSはそれぞれの選手が事前に決められた3体からのみ使用が可能で、完成アイテムの一括購入のみ可能、ストリーマーチームのチャンピオンへのBAN枠がありません。もし、間違って素材アイテムを購入した場合は、相手チームが気づいた時点でポーズをかけ、購入したアイテムを破棄することになっています。

ストリーマーチームの写真
元プロも多く参加しているストリーマーチーム
ハンデの詳細スライド
LEGENDSにはかなり厳しめのハンデが与えられた


 2戦目はSHGとの対戦となりますが、こちらはハンデ無しでの対戦となります。1戦目はハンデを物ともせずLEGENDSが勝利。2戦目は現役プロの意地を見せSHGが勝利しました。

 次に行われたのはNEXT GENERATION’S CHALLENGE。強豪がひしめき合うSTAGE:0を勝ち抜いたルネサンス高校とストリーマーチーム(らいじん/しゃるる/たかやスペシャル/ケイン・コスギ/たぬき忍者)による一戦です。

対戦チームの様子
ストリーマーチーム(左側)とルネサンス高校


 LoLを日常的にプレーしていながらも急造で結成したストリーマー集団が、高校生大会の優勝チームにどのような戦いを見せるかが見どころです。中盤までは互角の状況でしたが、ルネサンス高校が徐々に優位となっていきます。しかし、集団戦でストリーマーチームが勝利すると形成逆転。バロンを倒したあとの集団戦でもストリーマーチームが勝利し、そのままネクサスタワーを破壊しました。

 結果的にはストリーマーチームが勝利しましたが、競技シーンを目指している選手が多いSTAGE:0の優勝チームとしては、プロチームとの対戦の方が定石のような気もします。興業としてはストリーマーチームとの対戦が安定とは言えますが。

会場の様子
多くの観客がいる大舞台での対戦は高校生にとってハンデであり、
ストリーマーには追い風になったかもしれない


 次のプログラムは「PLAY WITH US」です。ストリーマーの兄者弟者を中心としたストリーマー同士の家庭用ゲーム機版「VALORANT」での対戦が行われました。「VALORANT」の家庭用ゲーム機版は今年8月にローンチしたばかりで、ゲーミングPCを持っていないが為にプレーを諦めていた人にとって注目のタイトルです。今回の一戦を観て、家庭用ゲーム機版の存在を知った人も多いのではないでしょうか。

6BROの写真
兄者弟者率いる6BRO
まざさんぽりおんチームの写真
対するは三人称、まざー3さん、kinakoさんのまざさんぽりおん


 そして次はいよいよ「VALORANT」の地域リーグで戦うTier1のプロゲーミングチームによる対戦です。Day1は初戦がLEV対DFM、2戦目がLEV対ZETA、3戦目はFNC対ZETAとなります。ちなみにDay2はFNC対LEV、FNC対DFM、ZETA対DFMが行われました。

 日本チームも海外招待チームもロースターの入れ替えなどがあり、ベストコンディションとは言いがたい状態であるのは、シーズンオフに開催されるRiot Games Oneの宿命。それでもいずれのチームも多くのファンを唸らせるプレーを見せました。

 特にDay1はDFMのArt選手が体調不良のため、出場を見送り、IGL不在というアクシデントに見舞われました。それでもLEVに勝利したのは、現状のDFMがまとまってきている証拠とも言えます。

対戦前の様子
LEV対DFM


 2試合目はZETAがLEVを下し、3試合目は惜しくもZETAがFNCに敗北しました。Day2の1試合目はLEVがオーバータイムの末、FNCに勝利。3試合目はDFMが追いかけるかたちになりましたが僅差で届かず、FNCが勝利をおさめました。最後の試合はZETA対DFMの日本チーム対決。来季のVCT PACIFICの前哨戦となる一戦では、ZETAが大差でDFMを退けました。結果的にはFNCとZETAが2勝1敗、DFMとLEVが1勝2敗で終わりました。どのチームも本調子ではないとはいえ、日本チームが実力をつけているように感じとれた試合でした。

ZETA DIVISIONの写真
ZETA DIVISION

魅力はステージイベントだけじゃない!

 Riot Games Oneは会場の内外でもさまざまなイベントを行っています。ステージに登場したコスプレイヤーたちが集まる撮影スポットやファンによるアートギャラリー、協賛メーカーのデバイスを手に触れることができる企業ブース、ここでしか手に入らない公式物販ブース、「LoL」や「VALORANT」のキャラクターとコラボしたフードメニューなどさまざまなものを用意していました。

さまざまなブースの写真
中央階段で行われた撮影会(左上)、公式物販ブース(右上)、アートギャラリー(左下)、コスプレイヤーとフォトスポット(右下)
ふもっふのお店のブースの写真
企業ブースのふもっふのお店。人気のガラスマウスパッドが展示してあり、来場者はそのなめらかさを体験していた
ガレリアブースの写真
企業ブースのガレリア。アンケートに答えるとステッカーが貰えた


 ただ、ステージイベントも含め、例年のRiot Games Oneに比べ、少しお祭り感がなかったようにも感じました。昨年に比べ企業ブースは圧倒的に少なくなっていましたし、コラボフードも第1回、第2回と連続してあった、Riot Games Oneカラーのソースを絡めたものもなく、コラボ感が薄いようにも思えました。

キッチンカーの写真
フードエリアにあったコラボメニューを展開するキッチンカー
昨年のコラボメニューの写真
昨年のRiot Games Oneのコラボメニュー
来場者アンケートの結果の写真
来場者アンケート。思ったより大差がついたVANDALとPHANTOM


 突発的にファンミーティングも行われていました。事前にSNSなどで告知しており、気づいた人のみが参加できるものでした。それであれば、しっかりとチームブースを用意し、ファンミーティングのスケジュールも発表して、多くの人にファンミーティングに参加できるようにする方法もありましたが、今回は感度の高いファンを対象にしていたようです。

 選手が花道から入場するなど、ファンイベントらしく、選手やストリーマーを近くに感じられる施策があっただけに、ファンミーティングに参加できなかった人は悔しい思いをしたことと思います。推しのチームがある場合は、今後のチャンスを逃さないためにも、チームのSNSは細かくチェックした方がよさそうです。

入場する選手たちの写真
花道から入場する選手たち

もっと楽しくなるはず! 今後への期待

 ステージイベントはDay1では、ずっと画面と選手が座る位置が逆になっていた試合がいくつかあり、気になりました。「LoL」の場合、プレイヤー側から見ると左側にブルーサイド、右側にレッドサイドになるのですが、大会やイベントで、観客と正対して座る場合、観客側から見ると、立ち位置が逆になります。バスガイドが右手をご覧くださいと言って左手を挙げるのと一緒です。

 Legendary Legends Showmatchでは第1戦が逆になっており、PRO INVITATIONALは第2戦のZETA対LEVが逆になっていました。画面上では右のチームを応援したいのに、実際に右側に居るのは相手チームであり、混乱を招く配置となってしまいました。正しい表示の時もあるため、なおさら困惑した来場者もいたかもしれません。

左右で情報が入り乱れ、混乱を招く状況だった
左右で情報が入り乱れ、混乱を招く状況だった


 例えば、ステージ右側の対戦台に葛葉さんのパネルがある場合は、そちらがストリーマーの席だとわかります。このとき、中央画面を見ると上部には左側にSTREAMER TEAM、右側にLEGENDS TEAMの文字があり、そのほかのゲーム情報も左がSTREAMER TEAM、右がLEGENDS TEAMになってしまう場合があったわけです。加えて、画面下のワイプでは、左側にLEGENDSの選手が、右側にSTREAMER TEAMのCEROS選手が移っていて、ここでは左右逆転している状況。混乱必至です。

 また、ステージ上には大きなモニターが3つ用意されていましたが、どれも同じ画面を映し出していたのも、もったいなかったかもしれません。左右のモニターはそれぞれのチームの情報や選手の姿などを大写しする選択肢もありました。

 昨年は3つのモニターが同じ画面でしたが、左右の画面の前にはサブモニターがあり、そこには選手の映像が映し出されていました。アリーナ席の左右端に座った人も正面で観られる配慮と思われますが、中央のモニターを見るのととさほど変わらない印象でした。それであれば、2階席、3階席の近くにモニターを用意する方がより多くの人に試合の内容がわかったのではないかと考えます。

 2023年に行われた「VALORANT」の世界大会であるMastersでは、ステージ上の4面モニター以外に、後方の席用にもモニターを用意していました。今回はそのときと運営が違うとは言え、同じタイトルを扱うイベントなので、参考にすることはできたかもしれません。

 野球場などでは、喫煙所や飲食エリアなどにもモニターがあり、試合中に休憩に出ても、試合を見続けることができる配慮がなされているところもあります。長丁場なので、試合と試合のインターバル以外でも飲食や喫煙をしたい人は居ますし、一斉に多くの人が駆け込むインターバルを避けて休憩を取る人も少なくはないと思います。個人のスマートフォンなどで一部の配信を見ることができるとはいえ、もう少し来場者に配慮する余地はあったように感じました。

Masters(2023年)の会場の写真
Masters(2023年)の会場。後方にもモニターが用意されていた


 Riot Games Oneはプログラムが多くコンテンツも満載で、総合的には満足感の高いイベントと言えます。それゆえにスケジュールも厳しかったため、少しの進行の遅れが後々大きく影響していました。

 eスポーツイベントは、機材トラブルやゲーム進行によって予定時間を超過することが多々あります。ここ数年eスポーツイベントを経験してきた運営会社であれば、その対策としてプログラムとプログラムの間に十分なバッファをとって、早く終わることはあったとしても、予定時間を超えるようなことは避けることができるはずです。

 さらに、機材トラブルやセッティング時の間を持たせるのも、実況解説陣の場つなぎ以外にありませんでした。キャスターに負担を強いている状況なので、時間が空いた時に活用できるのコンテンツを考えておくことも重要になります。

 今回のRiot Games Oneはかなり時間が押しており、横浜から帰宅するには遅すぎる時間になった人も見受けられました。Kアリーナ横浜は来場者が一気に帰ってしまうと渋滞が起きてしまうという立地の課題があるので、規制退場を実施する必要があり、すぐに帰れないと言うハードルもあります。プログラムが後ろに行くほど観たいものがあるのであれば、それを諦めて途中で帰るようなことになっては残念なので、その辺りも考慮すべき点だと感じました。せっかく年に一度の楽しいお祭りなので、今後に期待したいです。

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外部リンク

【公式サイト】Riot Games ONE 2024
https://fistbump-news.jp/riotgamesone2024/

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