大会レポート
2025.04.08
来場者は1万人以上! ポケユナアジア王者決定戦レポート! “最高クラス”のステージ演出やサイドイベント
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3月29、30日に、東京の新宿住友ビル 三角広場にて「ポケモンユナイト」の国際大会「ポケモンユナイトアジアチャンピオンリーグ 2025 ファイナルズ(PUACL FINALS)」が開催されました。2日間の激闘の末、優勝したのは、INSOMNIAでした。
(ライター・岡安 学)


2日間で約1万人の来場者を記録
2024年11月から開催しているPUACL日本・アジア・インドの三つの招待制リーグの上位チームに加え、4地域で行われたオープントーナメントのウインタートーナメントの優勝チームがFINALSに進出。ほかにもラテンアメリカ インターナショナル チャンピオンシップの優勝チームであるLuminosity Gamigや深センマスターズ大会上位2チームのLiten Dream FactoryとUtopiaなど、全16チームが招待されています。

日本と東南アジアのプロリーグから4チームずつの8チーム。インドのプロリーグから1チーム。ウインタートーナメントは各地区から1チームずつの4チーム。インターナショナルチャンピオンシップから1チーム。中国大会から2チームが参加しています。
日本からは、INSOMNIA、FENNEL、NAGOYA OJA、ZETA DIVISION、IGZISTの5チームが参加。ZETA DIVISION(大会時のチーム名はかびちゃんず)は前回のPUACLで優勝しており、今大会でも注目されていました。
2025アジア王者誕生までの軌跡
大会はDAY1に四つのグループに4チームが振り分けられ、総当たり戦を行います。上位2チームがDAY2で行われるノックアウトステージに進出し、シングルエリミトーナメントで優勝を争います。優勝したチームは8月に北米アナハイムで開催される「ポケモンワールドチャンピオンシップ(WCS)」への参加権が与えられます。
各グループを突破したのは以下の8チームです。
グループA 1位FN esports、2位INSOMNIA
グループB 1位IGZIST、2位Alter Ego
グループC 1位NAGOYA OJA、2位Paper Rex
グループD 1位Luminosity Gamig、2位ZETA DIVISION




決勝トーナメントはグループBの1位とグループAの2位、グループCの1位とグループDの2位、グループAの1位とグループBの2位、グループDの1位とグループCの2位が対戦します。シングルエリミネーションですが、初戦で負けた4チームが5位と7位を決めるトーナメントに、準決勝で負けた2チームが3位を決める試合が用意されています。
日本チームは8チーム中4チームが決勝トーナメントに進出し、初戦はすべての日本チーム同士、海外チーム同士の対戦となりました。このトーナメントだと、準決勝も日本チーム同士の対戦となり、確実に決勝戦に日本チームが進出することになります。最後まで日本チームが残ることは喜ばしい反面、決勝戦を日本チーム同士で争うことは叶わない展開となりました。


1回戦はINSOMNIAとZETA DIVISION、Alter Ego、Paper Rexが勝利しました。準決勝はINSOMNIA対ZETA DIVISIONと今大会屈指の好カードです。どちらのチームも人気が高く、会場ではもっとも声援が上がった試合でした。勢いのあるINSOMNIAが前年王者のZETA DIVISIONを倒して決勝に進出。決勝はINSOMNIA対Alter Ego。BO5で争われます。
決勝戦 INSOMNIA対Alter Ego
1セット目は序盤優勢だったINSOMNIAでしたが、Alter Egoがレックウザを倒し逆転で勝利します。2セット目もINSOMNIA優勢のままレックウザ戦へ。今度はINSOMNIAがレックウザを倒し、そのまま大差での勝利となりました。
3セット目はAlter Egoが2セット目と同じキャラピックをしてきます。これに対してINSOMNIAも受けて立ち、2セット目と同じ組み合わせでの再戦です。Alter Egoにしてみれば2セット目はたまたま負けただけで、編成自体は悪くないと主張しているようです。その自信の通り、序盤こそAlter Egoがポイント優勢でしたが、中盤でINSOMNIAが逆転。
しかし、点差はあまりつかず膠着状態でレックウザが登場します。このレックウザをINSOMNIAが倒し、一気にポイントを引き離し優勝に王手を掛けました。
4セットはさすがにAlter Egoも編成を変えてきます。Ice選手がプクリン、94選手がゲンガーを選択しました。ところが、それをものともせずに序盤からポイントを稼ぎまくるINSOMNIA。レックウザが出現した残り2分の状況で427対163と大幅なリードを取ります。
このままでは負けじと、Alter Egoはレックウザに狙いを定めてユナイト技を温存。着実に歩を進めましたが、INSOMNIA所属USAKAZU選手のガブリアスがトドメの一撃を喰らわせ、レックウザを倒します。これでAlter Egoは逆転の目はなくなり、INSOMNIAが3-1で優勝を決めました。

8月に北米アナハイムで開催されるWCS2025の出場権を獲得

魅力は大会だけじゃない!
今大会で目を見張ったのは、ステージ構成と各種演出、会場のサイドイベントなどの豪華さと豊富さです。ステージには対戦しているプレー画面を映す大型のメインディスプレイのほかに、それぞれのチームが座る対戦台の正面にチーム名が表示されるディスプレイを設置。さらにステージの両脇には出場する選手の顔と名前、使用するポケモンが表示される縦型ディスプレイを5つ設置しています。どのチームのどの選手がどのポケモンを使っているかが一目瞭然で、どちらの席にどのチームが座っているかもわかります。
さらにメインディスプレイもゲーム画面だけでなく、対戦中の選手の様子が見られるワイプや対戦中に登場する中立ポケモンのレジスチルやレジアイス、レジロックをどちらが倒したのか、この対戦でBAN(使用禁止)になったポケモンを常時表示しており、試合を途中から観たとしてもすぐにどんな状況なのかわかるようになっていました。
BANポケモンやレジ系の表示の部分は、場面によってメイン画面とは違うゲーム画面に切り替わり、2画面構成になることも。上レーンと下レーンの同時で2対2、もしくは3対3の戦いが発生し、同時に表示する必要がある場合に、切り替わっていました。これもMOBAとしてはありうることなので、しっかり両方を見せる演出は画期的な手法だと感じました。

選手の顔と名前、使用ポケモンが表示されていた

チームが選択したBANポケモンを表示。
どちらがレジ系を何体倒したかも一目瞭然
下段に違う場所のゲーム画面が表示される
さらに、選手と使用ポケモンを表示している5枚の縦型ディスプレイは、レジ系やレックウザを倒した時に、どちらのチームが獲得したのかすぐに表示していました。混戦でどちらが倒したのかわからないこともある中、すぐにわかるよう工夫されていました。
現地ならではの観戦が楽しめる“最高クラス”の演出
eスポーツイベントでは、ライブ配信と現場のメインディスプレイの表示が同じ内容になっているケースが多く見られます。とはいえオンラインとオフラインでは視聴環境が違うため、同じ内容で表示するとどちらかが見にくい状態になりがちです。
多くの場合は視聴者数で上回る配信の環境に合わせているので、ディスプレイから50cm以下の距離で観戦できる視聴環境なら確認できる小さな文字も、オフライン会場では視認しにくく、情報を確認できないこともあります。場合によっては、会場に居ながら配信を同時に見ている観客も居るくらいです。
そういった状況の中、PUACL Finalsでは、オフライン会場で観戦する人の為のステージや映像を用意しており、ホスピタリティの高い大会だったと感じました。メインディスプレイのチーム表示が左右逆になる事態が発生する点は気になりましたが、ステージ構成やステージ演出に関しては最高クラスなのではないでしょうか。

雲の中からレックウザが登場
右がAlter Egoで左がFN Esports。
しかし、メインディスプレイは左右が逆転してプレイヤー目線に。
観客目線では逆なので混乱を招く
大会観戦以外も楽しめる工夫
サイドイベントも豊富で、競技シーン以外の「ポケモン」ファンにとっても、競技シーンが好きな「ポケモン」ファンにとっても満足度の高いものでした。
多くの観客が使う、新宿駅から地下通路を通って住友ビルに入る、というルートから入ると、最初に目につくのがポケモンのグリーティングです。ピカチュウ、ミミッキュ、カビゴンが20分おきに登場し、それぞれが6回、全部で18回のミートアンドグリートの機会がありました。もちろん参加するには整理券が必要で、配布早々に整理券はなくなりましたが、ポケモン好きの子どもたちや家族連れが多く訪れ、楽しんでいました。
その奥には「ポケモンユナイト」をプレーしたことがない人の為に、体験することができる試遊エリアを用意。スタッフが丁寧にプレーの仕方を教えていました。
そこをさらに奥に進むと大会会場です。会場内の右サイドにはREJECT、INSOMNIA、FENNEL、ZETA DIVISIONのチームブースがあり、物販が行われていました。ブースによっては選手もおり、グリーティングも行われました。左サイドでは「ポケモンユナイト」対戦会が行われています。Nintedo Switchやスマートフォンを持ち寄り、ほかの参加者とチームを組んだり、対戦したりすることができます。並び直すことで何度も挑戦することができ、勝利数によって貰える景品も変わっていました。




勝利数によって貰える賞品が変わった

ピカチュウのキーホルダーをゲットした猛者を撮影させていただいた

京王アプリインストールで大会公式アクリルスタンドが貰えた

そこから入口側に戻るとサブステージを用意。グループリーグ予選や3位決定戦トーナメントなどが、メインステージと同時進行で行われていました。その正面には住友ビルのテナントである飲食店があったので、そこで食事や飲み物を飲みながら、サブステージを観ている人もおり、対戦カードによっては優雅な環境で観戦ができたとも言えます。

対戦するチームのファンにとっては
メインステージよりも近くで観戦できる好立地

スポンサーのきのこの山とたけのこの里を販売していた
観戦自体は無料となっており、LINEアカウントから友達追加で整理券の発行ができました。ただ、予想以上の数の観客が訪れたのか、会場に入るための待機列がかなりできていました。すでに会場入りした観客が帰って空きができないと、待機している観客が入れないので、いつ入れるかわからない状態です。場合によっては入場できずに終わる可能性すらありました。
DAY1の午前中までは再入場を可能にしていましたが、午後からは再入場は再度整理券の発行が必要となり、待機列を循環させる措置をとったり、DAY2の決勝戦前くらいからはそれまで入れていた観客数よりも多くの観客を入れたりするなど、できるだけ多くの人が会場内で観戦できるようにしていました。
「ポケモン」のIPを使ったイベントでは入場料を基本的に取らないという話はありますが、これほどの来場者数と混乱が予想されるとなると、今後は低価格でもチケット制にするなどの対策が必要かもしれません。会期前に入場者数をできるだけ正確に把握できる仕組みがあれば、もう少し混乱を抑えて、快適に入場できる環境が作れるはずです。
思った以上に来場した観客が多かったと言える
チームの物販はありましたが、公式の物販がなかったのもちょっと残念でした。PUACL公式のグッズは入場時に先着5000人に配られる缶バッジと京王電鉄が配布していたアクリルスタンドだけでした。2023年に行われたWCS2023横浜みなとみらいでは、ラーメンどんぶりを持ったピカチュウのぬいぐるみなどの公式グッズが用意されていました。
PUACL FINALSは「ポケモン」自体の人気から子どもや女性の観客も目立っていました。eスポーツの観戦、プレー層を広げるタイトルとしての役割を十分に果たしているのではないでしょうか。観客の多くがぬいぐるみを持参していたのも、ほかの大会では見ない光景です。そういった意味を考慮したうえでも、公式グッズの充実は今後期待したいところです。

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外部リンク
「Pokemon UNITE Asia Champions League 2025 FINALS」のお知らせ
https://www.pokemonunite.jp/ja/news/313/

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