コラム

2024.04.14

島根県内eスポーツ発祥の地?「教育×eスポーツ」の最前線を知る 島根県江津市で教育関係者のパネルディスカッションを実施

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 島根県江津市と島根県eスポーツ連合は、eスポーツによる教育支援を行う国際教育eスポーツ連盟ネットワーク日本本部(NASEF JAPAN)の協力のもと、3月17日にパレットごうつで「教育×eスポーツ」をテーマとしたイベント「江津eスポーツ大会&フォーラム」を開催しました。会場には、同市の中村 中市長も挨拶に訪れるなど注目のイベントとなりました。中でも教育関係者とのパネルディスカッションは、eスポーツの教育的活用の最先端がよくわかる、親世代にもためになる内容となりました。

実は島根県内eスポーツ発祥の地!?2016年にプロを招いたイベントを開催していた!

 江津市は県の西部、石見地方に位置する県内でも最小面積の市。以前は地理の教科書で「東京から一番遠いまち」と称されたこともあったようです。

 そんな江津市、実は県内eスポーツ発祥の地と言われているのはご存じでしょうか(諸説あります)。これは2016年にこのパレットごうつで元ぷよぷよプロの配信者もこうさんを招いたイベントが開かれていたことに由来します。俗にいう「eスポーツ元年」が2018年とすると、それよりも早くイベントの開催を行っていたことになります。

中には現役高校生の姿も 県内の現役高校教員、eスポーツ関係者がパネリストに

 パネルディスカッションのパネリストとして選ばれたのは、以下の8人。中には江津市内の高校に通う現役高校生の姿もありました。

コミュニティ施設にゲーミングPCと3Dプリンタを設置!デジタル人材育成事業に力を入れる江津市

江津市 大賀さん


 主催の江津市からは、社会教育課課長の大賀昌紀さんが代表として登壇。江津市はこのほど、地域のコミュニティスペース「タウンスペースときわ」にゲーミングノートPC11台と3Dプリンタを設置しました。今後は子ども達がプログラミングや3Dプリントを学ぶことができる講座を定期的に開催し、デジタル人材の育成につなげていくとのこと。そんないきさつがあり、今回この江津の地でeスポーツの教育的活用に関するイベントが開かれることになりました。

↓↓江津市デジタル人材育成事業の紹介動画はコチラから!↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=tuBN2rL1iU4

県内eスポーツの活動推進中!島根県eスポーツ連合

島根県eスポーツ連合 影山さん


 島根県eスポーツ連合からは代表理事を務めている影山 晃弘さんが登壇しました。同連合は、これまであった「出雲eスポーツ有志連合」「島根県eスポーツ協会」「江津理工クラブ」の3団体が合流する形で2020年に発足。「地方創生への貢献」「IT人材育成に寄与」の二つをミッションに掲げ、最近ではイベントの開催だけでなく、国体eスポーツ選手権の県予選の実施や特別支援学校への授業プログラムの提供、島根大学のシニアeスポーツ研究への協力など、その活躍は健康・福祉分野にまで波及しています。

eスポーツを入り口に人材育成や地方創生に取り組む NASEF JAPAN

NASEF JAPAN大浦さん(左)と坪山さん


 NASEF JAPANからは、エバンジェリストの大浦 豊弘さんとスカラスティック ディレクターの坪山 義明さんの2人が登場。大浦さんは、日本マイクロソフトでWindowsやOfficeのマーケティング プロモーションなどに関わるなどの経験もあり、現在は「eスポーツを入り口としたデジタル人材育成と地方創生」の啓発活動に取り組んでいます。坪山さんは、ニューヨークにある日本人学校で10年間保健体育の教員を務めていた元教師。コロナ禍真っ只中の2020年にeスポーツの存在に衝撃を受け、現在ではeスポーツを日本で広める活動を続けています。

島根県 西の益田東、東の立正大淞南 高校eスポーツ部の両顧問が登場

益田東高校 進藤さん(左)、立正大学淞南高校 畑山さん


 eスポーツ部を創部し活動している現場関係者として、いずれも顧問を務める立正大学淞南高等学校の畑山 友朗さん、益田東高等学校の進藤 大希さんの2人が招かれました。畑山さんはeスポーツ部を県内で初めて創設した先駆者で、進藤さんはその活動に共感し、部活を立ち上げたという経緯があります。両校はフィジカルスポーツの分野にも力を入れているのが特徴で、立正大淞南に至っては、プロサッカー選手などを多数輩出していることでも知られています。それぞれ高校eスポーツの全国大会で好成績を残しており、eスポーツ分野でもその実力は折り紙付きです。

eスポーツで地域課題解決に取り組む2校 現役高校生も大人に混ざってパネリストに

江津工業高校 花崎さん(左)、浜田商業高校 岡藤さん


 江津市内の江津工業高等学校からは建築・電気科の現役高校2年生 花崎 和也さん(崎はたつさき)が登壇。eスポーツを通して年代の異なる人同士のコミュニケーションを促進したいとの思いから、市内の古民家活用イベント「つぬさんぽ」に参加。古民家を会場にeスポーツ大会を開催した実績があります。花崎さんは部活動ではボート部に所属。江津工業ボート部は2023年にはインターハイに出場するなど強豪だそう。将来は地元に就職し、地元の役に立てる仕事がしたいと話していました。

 隣の浜田市からは浜田商業高等学校 教諭の岡藤 寛恵さんが駆けつけました。同校では地域課題解決を考える授業「課題研究」に取り組んでいます。人口減少により増える空き家の活用法に、eスポーツの大会会場としての利用を生徒が考案。実際に大会も開催しました。岡藤さんは、生徒たちの積極的な姿勢に驚かされたそうです。

eスポーツの教育的側面 主体性や才能を引き出し、社会性を身に付けるきっかけにもなる!

 最初のトピックは「eスポーツは教育に有効か?」。ここについては、各パネリストたちから「有効」との声が聞かれました。中には生徒がeスポーツをきっかけに社会性を身に付け、表彰を受けるなど感動的な話も。

パネルディスカッションの様子


畑山 結論として有効だと思います。島根県で最初に創部したこともあって、色々分からないことがありました。そこで校内でも有名なくらいゲームが好きなある生徒が創部に協力してくれたんです。彼は「プロゲーマーになりたい」という夢を持っていました。しかし周りに否定されるんじゃないかという不安があり、半ば諦めていたというんです。
ですが、eスポーツ部への入部を機にまたその夢に向かって頑張り始めました。彼はすごく真面目な性格で、私がeスポーツについて根掘り葉掘り聞くと、目を輝かせながらいろいろと教えてくれました。「eスポーツの基礎」は彼から学んだといっても過言ではありません。今は専門学校に進学し、その夢を叶えるために頑張っています。こうした生徒がゲームを一つの「フック(hook)」として成長するのがeスポーツの最大の特徴です。この点だけでも教育に十分に有効だと言えます。あとゲームの一番良いところは楽しみながらできること。この特徴も生徒たちに主体的な学びを促すのに非常に効果があると思います。

進藤 創部1年目の2021年、全国高校eスポーツ選手権に出場しフォートナイト部門で19位の結果を残せたのですが、その中に塩安 祐という生徒がおりました。彼は、中学では部活をやっていない、テストでも0点や1点しか取れない、そんな状態で入学しました。家に帰ったらずっとゲームをする生活を送っていた彼をeスポーツ部に勧誘した時の返事は「うん」の一言。敬語が使えず目を見て話せなかったんです。
しかしeスポーツに取り組むと徐々に変化が表れてきたんです。敬語も使えるようになって、人としっかり目を合わせながら話せるようになりました。さらに他の部員たちをまとめ上げられるまでになったんです。校内ではスポーツ功労賞を受賞し、「初めて表彰された!」と喜んでいました。2023年12月のNASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権では予選敗退となり、モニターの前で涙を流しましたが、塩安は気持ちを切り替えて後輩の為に競技のコーチングを行いました。そのおかげもあって後輩が決勝大会に進出し、全国25位という結果を残しました。プレイヤーとしても、コーチとしても、人間としても成長したと感じます。
 また、校内で行われる「弁論大会」では「eスポーツ部に入って変わった自分」というテーマで全校生徒の前で発表し、特別賞も受賞したんですよ。
 私からしてみれば本当にドラマのような人生を歩んでいるなと驚いています。生徒って「勉強ができる子」「運動ができる子」の二極だと思っていましたが、今の時代はスマートフォンやPCがあって当たり前。そういう背景からeスポーツで輝く子が出てくるのは良いことだと思いますし、改めて教育的な効果も絶大だと実感しています。


岡藤 「課題研究」の時間で思うのは生徒たちが「大人たちはこういうのやってほしいんでしょ?」みたいな決まりきった題材を挙げてしまいがちなこと。しかしゲームが題材になると、どんどん自分たちから自発的に取り組むようになるんです。これを皮切りに「そんな形があるんだ」って生徒たちが刺激を受けて面白い地域課題解決策が出てくるのではと期待もしています。生徒の主体的な部分を引き出してくれますよね、eスポーツって。学習面ではプラスになっていると思います。

花崎 自分もそう思います。eスポーツはみんなと協力してプレーするからコミュニケーション能力が身に付くという点で教育にも生かせるのではないかと考えています。あとは初対面の人ともゲームやeスポーツの話題を出すと簡単に打ち解けることができるのも良いところだと思います。

大浦 ゲームでコミュニケーションといえば。海外高校生と「英語ビデオレター交換」のやり取りをしている高校があります。当団体が仲立ちしたこの取り組みですが、学校や部活動の紹介、好きなゲームについての話題などを英語でプレゼンテーションして、生徒たちが全て撮影編集して送り合っているのです。彼らにとっては言葉の壁を越えて、ゲームこそが共通言語でありモチベーションになっているんですね。そして驚くことに、海外の高校生の中で日本語でメッセージを送ってくれる生徒もいるんです。日本はゲームやアニメなど、世界的なコンテンツがたくさんあるので、海外の人からは、とてもリスペクトされているようですね。

デジタル教育につながるeスポーツ 既に教育的価値を証明する事例も生まれている

 さらにテーマは一歩踏み込んだものに。eスポーツはデジタル分野と親和性があるのが特徴の一つですが、昨今では生徒たちのデジタル教育にもつながるのではないかと期待されています。そんな中で、各登壇者が事例を挙げながらその可能性に迫ります。

畑山 2021年の全国高校eスポーツ選手権ではロケットリーグ部門で二年連続ベスト16に入ったんですが、正直もう一つ上に行きたいという悔しさがありました。その気持ちをそのままにしておくのはもったいない。だから大会を自分たちで開こうと思いました。ちょうど島根県eスポーツ連合さんからの打診もあり、福岡県で活動するデルタeスポーツさんの主催するチャリティーイベントに参加し、大会を企画、運営、開催しました。生徒は大会を運営するために配信方法や動画編集を一から勉強したんですね。ある生徒は全然PCに詳しくなかったのですが、日頃から大会を開催し実況や解説をしている知人から手取り足取り教えてもらいながら、無事に大会を開催できました。この経験は、私自身eスポーツの活動を考えるきっかけとなりました。自分たちでイベントを企画し実行する力を身に付けることができ、eスポーツの活動の幅の広さや学びの多さを実感しました。これは立派なデジタル教育です。しかも今回は、イベント全体で110万円ほどの募金が集まり、全国11カ所の児童福祉施設に寄付することができました。島根県では、松江緑が丘養護学校にNintendo Switchなどのゲーム機材を寄付できました。自分たちの「好き」が誰かの為になる。そういうことが出来る点でeスポーツは他の部活動にはない学びがあり、デジタル教育につながっていると考えています。

進藤 本校のeスポーツ部の活動理念はそもそも「eスポーツを通した人間形成と次世代ICT人材の育成」です。大会への参加だけでなく、生徒たちが企画・運営して小中学生向けのeスポーツ体験イベントを開いたりもしています。イベントへの参加も活動の一つで、この前は益田市内で開かれた「IT Boot Camp」に参加しプログラミングを教わりました。今後はそこで学んだものを生徒たちが小中学生に教える取り組みを展開します。こうした活動は一般的な運動部ではできません。学校から許可を得てプログラミングを学べる、これってeスポーツ部にしかできないようなことだと考えています。

益田東高校もイベントを開催するなど活動を広げている


岡藤 本校にも「IT商業研究部」という部活動があります。元々はeスポーツ大会などにも出場していたのですが、最近はeスポーツを取り巻くもの、配信や動画編集とか、そういった方向に活動をシフトさせています。「eスポーツをデジタルの入り口に」という点では、eスポーツから始まり、じゃあ次は配信やってみようか、動画編集しようかって自発的に調べていくようになっているので、まさにその通りなんだなとすごく納得しています。

花崎 高校生からすると「デジタル教育につながるのか」というのは難しい質問ですね。実際に「ぷよぷよプログラミング」をやったことがあります。プログラミング自体は難しいんですが、楽しく学べて面白いなと思った印象がありました。生徒としての意見ですけど、eスポーツを通して将来ゲームを作りたいって人が増えてきたりしたら、デジタル教育と言えるんじゃないかなと個人的には思っています。


大浦 NASEFアメリカと米国国務省が共同開催している「NASEF Farmcraft」という国際プログラミングコンテストがあります。世界68カ国から1152チームが参加した2022年大会で、世界第3位に輝いた山口県 立修館高等専修学校の女子高生は、その功績が認められ、関東の大学のeスポーツ部枠特待生として進学が決まりました。彼女の保護者も「ゲームと出会って娘の人生が大きく変わった」と涙するほどの変化が見られたそうです。
Farmcraftはマインクラフトというゲームタイトルを使ったものですが、「世界の食糧危機を救うために、理想の農場を創造する」というテーマを与えられたアイデア勝負のコンテストです。仲間と一緒に農業について考え調査し、協力し合ってマインクラフトで理想の農場を創り上げ、英語でプレゼンテーションした映像を撮影編集し提出するというもの。ゲームを入口としながら、生徒達の興味関心を引き出し、自ら考え仲間と協力ながら行動する。この大会は分かりやすい事例だとは思いますが、こうした教育的価値が認められた事例が全国各地で生まれ始めています。島根県も、立正大学淞南高校や益田東高校などが行っている活動は全国的に見ても先進的な事例ですので、島根県は今、eスポーツを入り口に、どんどんデジタル人材が生まれる、その土壌が整いつつあるんじゃないかなと思いますね。

eスポーツで学位が取れる!?eスポーツ教育的活用の本場 アメリカの現状

 数々の事例からeスポーツに教育的価値が認められることがわかってきたところで、今度はNASEF JAPANの坪山さんと立正大学淞南高校の畑山さんから海外事例についての紹介です。畑山さんは同団体のフェロー教員としても活動しており、NASEF JAPANの研究やイベント活動に協力しています。その関係で、坪山さん、同校の校長北村 直樹さんの3人で、12月9日~19日に海外の教育現場を視察。アメリカ・アトランタにある中学校、高校、大学などを訪問しました。

ここからは二人がアメリカのeスポーツの教育的活用について熱く語る


畑山 発端は昨年NASEFアメリカの最高教育責任者ケビン・ブラウンさんが来日、来校したことです。交流する中で分からないことが多くあり質問したところ、ケビンさんは「アメリカに実際に見においで。歓迎するよ」言われて、アメリカに視察に行くことになりました。その際にアテンドしてくれたのがYOSHIさん(坪山さん)。YOSHIさんってすごいんですよ。NASEF アメリカのメンバーからの歓迎が熱くて。「Hi YOSHI~!!」ってハイタッチやハグなど日本にはない歓迎でした。アメリカのアトランタを視察したのですが、中学、高校、大学や、サミット・イベントを視察させてもらいました。
ここはMorris Brown Collegeという大学なんですけど、eスポーツが学べます。国際ビジネス科があって、国際ビジネスの単位が取れるのですが、eスポーツを履修した学生は、それとは別にeスポーツで学位がもらえるとのことです。

Morris Brown Collegeのeスポーツ施設


坪山 ここは公立のForsyth Academyという高校です。通常の通学コース、通信制のバーチャルコース、更生を目的としたGatewayコースの三つがあるのが特徴で、全てのコースでeスポーツが出来ます。

Forsyth Virtual Academyでは先生の教室まで配信部屋のよう


畑山 見てください。こんな学校あるんだって衝撃だったんですが、教室が配信部屋みたいですよね。授業では既にゲームを使った教材もあって、それも見せてもらいました。
 Alliance Academy for Innovationっていう日本の高専にあたる学校も視察しました。ここでは航空機の製作技術について学べます。そこに全米のチェスチャンピオンの子がいました。その生徒に「勉強が忙しいとゲームする時間がないんじゃないですか?」って少し意地悪な質問をしてみたんですよ。そしたら「自分のやるべき事は決まっていて、スケジュールはタイムマネジメントするのは当たり前でしょ?だからどっちも出来るよ。」ってさらっと言われてしまいました。なんと言うか、すごく意識が高いと思いました。

 中学校では「高校に進学の際に、eスポーツ部の有無が学校を選ぶ理由になりますか?」と質問してみました。すると生徒たちに「何言ってんだお前は」みたいな顔をされました。というのもアトランタでは、eスポーツが根付いているようで、どの高校に進学してもeスポーツが出来るらしいです。だから、eスポーツ部があることは選択の理由にはならないと。その辺の温度感の違いから「アメリカって先進的だな」と思いました。

坪山 確かに、日本よりも先に行っているものは多いかもしれませんが、一方で変わらない部分もあるんですよね。アメリカの教員も同じようにハード面で悩んでいます。「PCの予算をどこから持ってこようか」とか「インターネットの回線はどう引こうか」とか、これは日本の教員の方々と同じですよね。

畑山 確かにそうですね。向こうで視察したeスポーツサミットでは、ちょうど各国の先生方が教育問題について議論していました。聞いていると日本で議論されている内容と一緒で、そこは万国共通だと思いました。保護者への説明の仕方とか、ゲーム依存の問題など、やってることは同じだなと。ここに坪山さんも登壇したんですよね。アツい討論を交わしていましたが、どんな内容だったんですか。

各国の教員と議論を交わすNASEF JAPAN坪山さん(右から3人目)


坪山 これ、イギリス人、日本人、トリニダード・トバゴ人、アメリカ人って並びなんですけど、各国の教育的eスポーツの事情について議論していました。「NASEF JAPANには加盟校が500以上あるんですよ」とこちらが話すと「日本ってすごいんですね!」って言われて、なかなか自国のことなので分からなかったですが、日本って世界的に見ても教育的リソースでは先を行っているんだなって思わされる場面もありましたね。
 そう考えると日本って優れている点もあるということじゃないですか。何がアメリカと違うかというとソフト面なんですよね。アメリカはコミュニティを作って、そこから活動を起こしていこうという意識が強いように感じました。国籍に関係なく「世界って変えられる」と考えているし、私自身もそう実感しています。視察に行って畑山先生もそういう思いを抱いたんじゃないですか。

畑山 そういう意味では、人同士の「つながり」はすごく大事だ気づかされました。英語はまだわからない部分が多いですが、彼らの熱量は言語の枠を超えて伝わってきました。
 今日は私と坪山さんの二人のコミュニティですが、特に人数は関係ありません。この話を聞いて一人でも「一緒に活動したいな」と思ってくれる人がいれば、ぜひ積極的につながりを持ちたいと思いますし、私もいくらでも協力したいと思います。

坪山 あとは先生方、部活動としてeスポーツ部を立ち上げなきゃいけない、というわけではありません。PCのハード整備や最近の部活動の縮小傾向などいろいろと課題がありますから。先生方は先に行くわけではなく、むしろ生徒たちと「伴走」してもらいたいと思っています。生徒や学生さんたちが主体的に行動しようと思えば、先生たちが一緒になってサポートしてあげる。逆に生徒の方が詳しいのなら先生が生徒から教わるのもアリです。我々もみんなで伴走者になってこの教育的eスポーツの普及に携わっていきたいので、何か困ったことがあればできる限りサポートしたいと思っています。

変わらなくてはいけないのは大人たち 若者の可能性を引き出すことが何より大切

 最後には、影山さん、大浦さんが登壇し、パネルディスカッションの最後を締めくくります。特に大浦さんは、島根県の隣、山口県の事例を挙げながら、熱のこもった言葉で語りかけ、会場も引き締まりました。

影山 皆さん素晴らしい話を聞かせていただいて本当に何も言うことはありません。ただ畑山先生がおっしゃった「熱量」、これは我々も大事にしていきたいところです。県内では松江市や川本町、出雲市で生徒や学生たちが活発に活動し、eスポーツを活用した地方創生や国際交流に取り組んでいます。私たちもこうしたeスポーツに積極的な拠点をつないで、一緒に島根県を盛り上げていきたいと思います。


大浦 山口県柳井市では、2023年6月から国立 大島商船高専、県立 周防大島高校、私立 聖光高校の3校が互いにデジタルスキルを教え合う取り組みがスタートしました。この3校は、国立、県立、私立高校ということもあり、同じ地域にいながら交流がありませんでした。その3校を結びつけたのが「eスポーツ」なのです。eスポーツ合同練習会を通して3校が集まり、学校の垣根を越えて互いに知識やスキルを教え合っています。この輪は少しずつ広がり周辺高校が新たに加わり始めています。さらにこの取り組みに共感した地元企業も集まり、1月には地元高校3校と地元企業5社による「学生と企業のeスポーツ交流会」が開催されました。地元学生と地元企業が繋がり地域を盛り上げていこうという機運が、この半年間という短期間で生まれつつあります。
今回江津市でもデジタル人材育成事業に力を入れていくということで、ゲーミングPCや3Dプリンタが導入されました。ただここで終わってしまうとただの「箱モノ行政」で終わってしまいます。これをどう使うかは江津市の皆さんにかかっているんですよ。先ほどのアメリカの事例でもありましたが、若者達の可能性を引き出し、どういった方向性に導いていくかは我々大人の役割なんです。

 ここに来られた学生の皆さん、大人たちの顔色をうかがう必要はないですよ!大人が理解してくれないから…ではなく、まずは君たちに動いて欲しい。君たちが動けば、その後ろ姿を大人たちは必ず見ているから。君たちがeスポーツってこんなに素晴らしい、PCを使ったらこんなことができる、そんな自分たちがやりたい事をどんどんやって見せてほしい。

 この大浦さんの言葉には、大津市の社会教育課の大川課長も反応します。

大川 非常にたくさんの話を聞かせていただき坪山さん、畑山さんのアツい話を聞かせてもらって「自分は何もできていないな」と襟を正すような気持ちになりました。さらに大浦さんにげきを飛ばしてもらい、我々も気が引き締まる思いです。

 今回いろいろなヒントやご意見もいただき、eスポーツを通じた学びがあるというのがわかってきました。eスポーツの教育的効果を実感できる取り組みを今後進めていきたいと思います。

 パネルディスカッションの後には、ぷよぷよeスポーツの大会も開かれ、盛り上がりました。江津市のデジタル人材育成事業はまだ始まったばかり。高齢化・人口減少に悩まされる中、デジタル人材が育ち、地元企業で産業を活性化させることができれば、これらの問題を解決する糸口にもなるはず。江津市内の企業や学生、生徒たちの動きにも今後注目が集まります。

ぷよぷよ大会も大盛り上がり!

■お詫びと訂正(4月15日)

小見出し「中には現役高校生の姿も 県内の現役高校教員、eスポーツ関係者がパネリストに」の冒頭部分、「パネルディスカッションのパネリストとして選ばれたのは、以下の7人」とありましたが、正しくは「8人」ですお詫びして訂正いたします。

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外部リンク

国際教育eスポーツ連盟ネットワーク日本本部(NASEF JAPAN) 公式サイト
https://nasef.jp/

島根県eスポーツ連合 公式サイト
https://www.izumo-esports.com/

立正大淞南高等学校 eスポーツ部 公式サイト
https://www.shonangakuen-h.ed.jp/club/e%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E9%83%A8/

益田東高等学校 公式サイト
https://masuda-higashi.com/

江津工業高等学校 公式サイト
https://www.gotsu-th.ed.jp/

浜田商業高等学校 公式サイト
https://shimane-hamasho.ed.jp/

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