コラム
2024.05.22
eスポーツ×教育を単発で終わらせないためには? 課題も見えた富山県のパネルディスカッションレポート
- 大会/イベント
富山県でeスポーツ関連事業を展開するZORGEは3月、「eスポーツを通じたデジタル人材育成の可能性」について、パネルディスカッションを実施しました。2023年から24年にかけて富山県の事業として県内のモデル校で実施していた「eスポーツを通じたDX人材育成プログラム」の内容を中心に、モデル校の教諭やプログラムを担当した講師、効果検証に関わった大学院生など6人が話し合いました。
取材・文・司会/南雲 亮平 写真/NASEF JAPAN、ZORGE
eスポーツを通じたデジタル人材育成の可能性
プロジェクトのモデル校となったのは、富山県の荒井学園 高岡向陵高校。同校の希望者を対象に、eスポーツに関連したプログラミングや映像配信などに関する講座を実施しました。あわせて受講前と後、生徒たちにITへの理解や興味関心の変化を聞き、その内容をデータとしてまとめて分析するという効果検証を行いました。調査や分析を担当したのが富山県立大学の大学院生です。
登壇者プロフィール
モデル校:高岡向陵高校 副校長 宮袋誠さん(現:校長)
同校のeスポーツ部は3月現在で部員数30人ほど。「うちの学校でプログラムを実施したらどうなるのか」という興味から参加。公立高校で長年野球部の顧問を務めていた。
事例紹介:富山県立 砺波工業高校 電子工学部(eスポーツ班) 顧問 藤田宗功さん
2018年からリーグ・オブ・レジェンドを中心に活動。当初は、周囲から学校でゲームをプレーすることに対し懐疑的な目を向けられていたが、規則を設けたり、地域の活動に参加したりして、今では認められているとのこと。
企画プロデュース及び講師:ZORGE COO 大巻翔さん
プログラムでは、「映像編集/映像配信講座」「デザイン講座」「eスポーツ合同練習会」「高校生企画運営eスポーツ大会」の講師を務めた。講座の一環で生徒が作った大会告知ポスターのデザインが素晴らしく、驚いたそう。
講師:NASEF JAPAN デジタル教育スペシャリスト 下村幸広さん
「組込エンジニアリング講座」「デザインアニメーション講座」「PC組込講座(ドスパラと共同)」を担当。北海道・旭川で長年、工業高校の教員やeスポーツ部顧問を務めた。プログラミング教育のスペシャリストとして、数々の事業に関わっている。
企画プロデュース:NASEF JAPAN エバンジェリスト 大浦豊弘さん
全国各地を練り歩き、「eスポーツを入り口としたデジタル人材育成と地方創生」の啓発活動を行っている。
調査:富山県立大学 大学院 電子・情報工学専攻 岩本研究室 山北謙信さん
今回のプロジェクトでは、受講生の聞き取りと観察、分析を担当。
人気講義の内容とは
── 講師のお二人はどのような授業をしていたのか、具体的にお願いします。
下村さん(以下、敬称略) ゲームに使われている技術を細分化して教材に落とし込み、プログラミングや組込エンジニアリングの学習に取り組みました。javaを使ったプログラミングで三角関数を使ったアニメーションを作ったり、小さなコンピューターとモーター、数字の書かれた紙を組み合わせて、電動のサイコロのような装置を作ったりしました。コンピューターに入力された数字に応じてモーターが動き、モーターの先に取り付けられた指針が紙面に書かれた同じ数字を指し示すんです。
── かなり高度なことをしているように思いますが、そういった作品をつくるためには、どのくらいの期間、講座を実施したのでしょうか。
下村 講座自体は2週間ほど、10日にも満たないくらいです。制作期間は1週間くらいかと思います。
── それだけのわずかな期間で、このような高度なことができるようになるんですね。
下村 なにかを学ぶというのはインプットが主流ではありますが、私は最初からアウトプットを目標にやってきたので、生徒たちはしっかりゴールすることができました。
生徒自身は、興味があることには積極的です。例えば、ゲームやeスポーツはほとんどの学生が興味を持っていますよね。これを入り口にすれば、いくらでも発展させることができます。もっとも、どうやって昇華させていくのか、といった部分で大人の力量が問われます。闇雲に「ダメ」って言ってたら、発展もなにもないですよね。
── 興味は学習の入り口になるということですね。具体例としてあがっていたeスポーツについての講座で講師を務めた大巻さんもそう感じますか。
大巻さん(以下、敬称略) 私たちZORGEが主に担当したのは、映像編集やデザイン、合同練習会といったeスポーツシーンに関連した講座です。講座を実施して終わりではなく、最後は生徒たち自身が企画した大会を開催・運営しました。
大会企画では、学んだことを活かして必要なものを一つずつ考えるところから始めてもらいました。レギュレーションを定めたり、参加募集のフォームを作ったり、配信素材なども生徒がつくっていますから、学んだことを多少は定着させることもできたと思います。
0から作った大会ポスターは出来栄えが良すぎて驚きました。配信設備の使い方やシナリオの作り方など、足りない部分は大人が補いましたが、大会までのスケジュールや大会の日程の調整なども含め、1歩ずつ進めていました。
── 企画から運営まですべて主導しているとなると、もはや仕事として報酬が発生してもおかしくない体験ですね。一連の講座を間近で見て、調査もされていた山北さんに感想を伺いたいです。
山北さん(以下、敬称略) プログラミングの授業を最初に見たとき、こんな難しいことできるのかな、と思いました。そのあと、1日1時間ほどの講座を約2週間続けていったら、どんどんできるようになって、本当にスキルアップしている、というのが自分の感想です。ファイルの置き場所が分からない生徒もいたなかで、大きく成長していました。
eスポーツが起こした変化
── 生徒たちはeスポーツや関連した要素を通じて変化しているんですね。
宮袋さん(以下、敬称略) 私はもともと公立高校の野球部顧問ということもあってガチガチの体育会系で、「『リーグ・オブ・レジェンド』って何?」といった、いわゆるeスポーツにネガティブな印象を持っていた代表です。でも、以前の学校でeスポーツの活動を見てみたら、コミュニケーションは取るし、リーダーは必要だし、3年生の最後の大会には引き継ぎの儀式がありますし、リアルスポーツと同じことが起きていたのを見て、考えが変わりました。
以前の私のようにネガティブに見みてしまう方が少なくないからか、まだeスポーツは世の中から肯定的には見られていません。生徒たちもそれを感じ取っているからか、こんなエピソードがあります。
前の学校で突然、外部の方から「eスポーツ大会にエントリーしてくださってありがとうございます」と言われたことがありました。私は初耳だったのですが、外部の方にお礼を言われたので、生徒たちをほめようかと呼びだしたんです。職員室に来た3人に「この前、eスポーツの大会に出たらしいね」と言ったら、即座に「すみませんでした! 参加するには、どうしても学校の名前を書く必要があって、部もなかったので勝手に書きました!」と謝られました。
私は「頑張ったね」と続けようとしたのですが、学校現場でeスポーツの大会に出るということ自体が、生徒たちからもわかるくらいネガティブに捉えられているんだと、よくわかる出来事でした。
ポジティブとネガティブのどちらにも立ったことがあるからこそ、わかることがあります。eスポーツはケガもないですし、大きな危険もないので、ルールさえしっかり守れるよう指導すれば、練習顧問が必ず見ている必要もありません。そのなかで人間関係を結ぶきっかけが生まれたり、部活をやりたいから学校に来たりと、好影響が期待できます。大会運営も、eスポーツだからこそ生徒が企画・運営することができました。ほかの競技ですべてを生徒が担当しているというのは聞いたことがありません。
もちろん、家で遅くまで練習し過ぎて、学業に影響がでることもあるでしょう。でも、野球やサッカーも練習ばかり頑張って、授業中居眠りしているとか、部活動内の人間関係でいろいろあって学校に出て来られなくなるとか、マイナス要素はあります。こうした面ばかりに注目が集まってプラスの面が見えにくくなるのは、もったいないことです。
藤田さん(以下、敬称略) 本校でもeスポーツに取り組み始めた当初は、「ゲームのせいで成績が悪い」といった批判的な意見が多くありました。でも、しっかりとルールを作り、大会出場や地域のイベントに参加するなどの活動を続けていたら、印象が少しずつ変わったようです。
中学校の時から不登校だった生徒が学校に来るようになった、などの好影響もありました。クラスに馴染むのが難しくても、部活に来るとみんなでコミュニケーションを取りながら楽しく過ごしているんです。こうした居場所をつくることも、学校に楽しく来ることができる環境づくりの一つだと思っています。
あと、一つ印象深いお話があります。2月くらいだったのですが、リーグ・オブ・レジェンドのランクを回すという宿題を出していました。それがなかなか達成できなくて、部活から足が遠のいてしまった生徒がいたんです。5人のチーム戦ですから、一人欠けて4人になってしまうと、大会には参加できません。そこで、「君が必要なんだ」と丁寧に話したら、「やります」と言って宿題をやり遂げ、無事に大会に参加することができました。eスポーツの活動が、責任感を育むきかっけになったのかなと思っています。
── ゲームをプレーしなきゃいけない宿題というのは、珍しい取り組みではないでしょうか。
藤田 私もあまり聞きませんが、今の実力を測ってもらうことは、ポジションを決めるためにも必要なことでした。嫌なことから目を背けずに頑張るようになったので、eスポーツが変化をもたらしたと言えるのではないかと思います。
── eスポーツ部の顧問を務めたこともある下村さんも、eスポーツを通して生徒の変化があったと感じますか。
下村 eスポーツ、ひいてはゲームというと、学校現場や教育に近い立場の人たちから見ると、勉強を阻害する要素みたいなイメージがあるのは確かです。でも私は、ゲーム自体はそこに関連する技術の入り口と捉えています。
もっとPCの処理性能を上げて快適にゲームしたい、滑らかなゲーム映像にするにはどうすればいいのか、とか。いろんな気付きや挑戦を通して、テクノロジーに興味が出てくるんだと思います。
どんなものにも功罪の両面があるんですけれども、大人の役割は功の部分を活かしつつ、罪の部分としっかり向き合うよう、子どもたちを指導することでしょう。
あと、私がつくる側の方が面白いと思っているので、生徒たちにはよく「つくる側も楽しいよ!こっちおいで!」と話しています。
── “つくる側”という意味では開発者以外にも、プロゲーマーや配信者になって面白いものをつくる、という将来もありそうです。ゲームでキャリアを築きやすくするためには、もっと大人の認識も変えていく必要がありそうですね。
大浦さん(以下、敬称略) eスポーツは大会などに焦点を当てられがちですが、今回の講座でもあったように、キャリアの面では映像編集やデザイン、広報など、アスリート以外の要素もたくさんあります。そういった方面で生徒が活躍できる場所、スポットライトが当たる場所をドンドンつくっていくことで、周りの大人からの理解を促していければと考えています。
すでにeスポーツの好影響に気が付いて、動いているところもあります。例えば、eスポーツ推薦やeスポーツ奨学金制度を設ける大学が現れています。先ほど挙げたeスポーツ関連の仕事はeスポーツ以外でも活かせますから、大学が「学生たちが興味を持っているeスポーツをきっかけに優秀な人を集めていきたい」と狙っているわけです。
eスポーツはデジタル人材育成につながるのか
── eスポーツやゲームを通じて生徒に変化がある、というお話でしたが、今回のプロジェクトは「eスポーツを通じたデジタル人材育成」というテーマでした。理想的ではありますが、このテーマが実現する可能性はあるのでしょうか。プロジェクトのモデル校となった高岡向陵高校の宮袋さんに伺います。
宮袋 今回のような講座は入り口にはなったと思います。今の知識では難しいかもしれませんが、講座を継続して人材を育てることができれば、例えば地域のワークショップでアシスタントを務めたり、プログラミングを教えたりといったことができるようになるはずです。講座を受けた生徒たちが今度は教える側に回っていく、という循環をつくることができたら、もっとレベルアップしていくと思います。
── 次世代のデジタル人材を育成することも、現役デジタル世代の役目ですね。
藤田 私も、eスポーツはデジタル教育の入り口になり得ると思っています。活動のなかで自作PCを組み立てた際には、どのような部品が必要か、予算に納まるかなど、生徒が全部一から調べていました。初期設定なども自分たちで調べて進めていました。このほか、今回の講座のようにプログラミングも学べるとなれば、十分にデジタル人材になり得る可能性はあります。
── 生徒たち自らが組み立てや初期設定をしたとなると、お店で依頼したら数千円から数万円ほどかかる作業を、やり遂げたということですね。商売になるような体験は、大きな収穫になりそうです。
下村 そもそも、今の子どもたちは生まれながらにスマホやタブレット端末、PCが身の回りにありますから、画面の向こうに興味があるのは間違いありません。とすると、デジタル技術について学ぶ素地は十分にあります。
あとは、画面の向こうにあるものが「どうして動いているのか」というところにまで大人が適切に導くことができれば、実力につながると思います。禁止とか制限をかけるのではなく、子どもたちが健全に技術に向き合える環境をつくることが大切です。
eスポーツ×教育の課題
山北 皆さんがお話する通り、eスポーツ部の生徒は特にPC組み立て、それ以外の生徒もeスポーツ大会の企画・運営などに楽しそうに取り組んでいたので、デジタル人材育成に繋がりそうだと思います。
しかし一方で、eスポーツに関わりの薄い講座もありました。生徒の中には、興味のある内容ではないためにやる気が下がってしまった、というケースも多少あったので、“eスポーツ”を掲げるのであれば、「講座とeスポーツをどのように絡めていくのか」が、今後の課題になっていくかと思います。
大浦 それについては、引き続き考えていかなければいけない部分だと思っています。今回も時間内にできることを考えて実施してみましたが、やりたいことがすべて出来たかと言うと、そうでもありません。
例えば、組み込みエンジニアリングの講座では、最終的に自作のキーボードを作ってみようとしていました。ゲームなどで使っているコントローラーやキーボードの裏には、講座で学んだ技術が使われている、というところまでつながれば、デジタル技術をもっと身近に感じることができたのではないかと思います。生徒自身がゲームをつくるなどもできれば、さらに面白かったでしょう。
ゲーム開発の講座などは、ゲームが好きな人は最初からやる気十分かと思いますが、ゲームに興味がなかった人もプログラミングなどの裏側を知ることで、ゲーム自体に関心を持つよう変化するかもしれません。
テキストの内容はもちろん、生徒達の理解度に合わせてもう少し時間の余裕をもって教えていく必要もある、と気が付いたことは収穫でした。
── 初めてプロジェクトを実行したことで、改善点も見つけることができたということですね。
大浦 トライを重ねながら、ブラッシュアップしていきます。生徒の興味や関心が沸くスイッチはどこにあるかわかりませんから、通常の授業ではできないようなアプローチで、生徒の興味関心を引き出すことができればと思っています。
── 大巻さんにも、eスポーツがデジタル人材育成につながっていそうな手ごたえはあったのか、伺いたいです。
大巻 講座には、ゲームに興味はあっても、デバイスのことは知らない人も参加していました。そうした人も、PCはモニターの方ではないことや、PCをインターネットにつなぐ方法を知る機会にはなったと思います。
僕自身ゲームが好きで、学生の頃はよくゲームや周辺機器について調べていました。「1秒60フレームで表示っていうけど、フレームってなんだろう」、「パケロスってなんだろう」といったように、ゲームをきっかけにデジタル技術に興味を持って、富山県立大学の情報システム工学科に入りました。
なので、ゲームをプレーするために触るPCやゲーム機を通じて、デジタル技術に興味を持つということは、“ある”と思っています。
eスポーツ×地方創生
── 今回、短期間でも変化を感じられたということでしたが、さらに大きな変化を生むためには、継続が欠かせません。大浦さんは全国でeスポーツの教育的活用について啓発活動をしているとのことでしたが、他県などで参考になる事例はありますか。
大浦 地方創生とeスポーツ、教育を紐づけて進めているところがあります。例えば山口県では、地元企業の柳井グランドホテルさんが主導し、地域の学生に学びの場を提供しています。2023年には、山口県の公立高校で初めてeスポーツ部を立ち上げた県立 周防大島高校や、デジタル分野の全国大会で多数の受賞実績のある国立 大島商船高専、eスポーツ大会に出場している私立 聖光高等学校の3校が参加しました。
これまで同じ地域にいながら、公立/国立/私立高校ということもあり全く繋がりがなかった学校同士がeスポーツをきっかけに集まり、お互いの持っているeスポーツやプログラミングの知識を教え合うという交流が生まれたんです。楽しみながらコミュニケーション能力や技術を向上させることができるチャンスということで、周囲の高校から「輪に入らせてほしい」などの声があがっているそうです。
将来的には、ここで学んだ高校生が中心となって、今度は地元の小中学生にプログラミングを指導したり、高齢者にデジタル機器の使い方をレクチャーしたりする活動につなげる方針です。
そうした社会課題を解決する活動を続けていくことによって、自治体、商工会議所、地元企業など周囲の大人を巻き込み、地元の大学とも繋がっていき、この取り組みは継続して続けていくべきだという機運を生み出せれば、地元企業からの支援を受けながら自走し、地域のDX推進や新たなDX産業創出を目指すことが出来るのではないでしょうか。
実際に、柳井グランドホテルの取り組みでは、地元企業と地元の高校生がつながりを深めるイベントが開催されました。参加したのは、県内5企業と県内3校の高校です。
各企業はどのようにデジタル技術を使って社会問題を解決しているのか、などを織り交ぜながら企業紹介をしたうえで、今後どのようなスキルや知識を持った人材が求められるのかを高校生に伝えていました。
参加校を代表した国立 大島商船高専からは、地元の漁業関係者が抱える課題をデジタルの力で解決するというプランで全国のデジタルコンテスト大会で最優秀賞を受賞したこと。その後起業したことなどを伝え、既に学生と地元企業との連携によるDX産業創出の動きは始まっていることを企業にアピールしました。
最後は高校生・教員・社会人混成チームに分かれeスポーツ対抗戦を行い、高校生と地元企業との交流を図りました。企業は地元にデジタルスキルの高い高校生が既にいることに驚き、高校生は地元の企業について知る良い機会になったと、好評だったとのことです。
── 地元の企業を巻き込むことにより、大きなうねりになり始めているという事例ですね。しかし、さらに続けるには自走できる仕組みが必要になります。
大浦 今回のプロジェクトは富山県の事業として実行しましたが、いつまでも自治体の予算をあてにすることはできません。ですので、富山県内の企業の皆さんに協力いただき、少しずつ予算を出しあっていただきながら継続できるような仕組みが必要だと思います。
企業側も何かしらメリットや価値がなければ支援いただくことは難しいでしょうから、デジタル人材を育成したその先に、地元企業に就職したり、地元で新しい企業を立ち上げたりする若者が現れることで地域に還元するサイクルができれば、人材流出も抑えることができ地元活性化に繋がり、地域の皆さんにとってもメリットを感じて貰えるのではないでしょうか。
学生たちもサイクルが出来上がるまでただ学ぶだけでなく、デジタル人材育成に関わるテキストの作成や、後輩たちを指導するなど、学んだことをアウトプットすることで、アルバイトにもなります。
さらに、地元企業は単に支援するだけでなく輪の中に入って一緒に活動することによって学生とダイレクトに繋がることができます。eスポーツを接着剤として学生と企業が深くお互いを知り合うきっかけとなる訳です。すべての出発点は「お互いを知る」ということから始まると思います。
かなり長期的な話になるかもしれませんが、今やることで将来の富山県を作っていくことになると思いますので、引き続き私たちも応援をしていきたいですし、どのような形になっていくのか、楽しみにしたいと思っています。
“入り口”だけで終わるのはもったいない
今回のプロジェクトでは、eスポーツの教育的活用がデジタル人材育成の入り口になり得る、という可能性を垣間見ることができました。また、eスポーツに関する活動は、生徒自身がこれまで発見できていなかった才能を掘り起こす起爆剤にもなり得る、ということもわかりました。
“入り口”だけで終わらせず、デジタル人材育成に、ひいては既存産業の強化や新たな産業の創出につなげるには、こうした取り組みを継続させていくことが欠かせません。
教材や講座内容のブラッシュアップ、将来の人材不足を見据えて対策を検討する企業との連携、受講生を次の講師にする仕組みづくりなど課題は絶えませんが、今回のプロジェクトをヒントに、これから富山県がどのように展開していくのか、引き続き注目です。
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外部リンク
ZORGE
https://zorge.jp/
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