インタビュー

2024.07.01

eスポーツ早慶戦や大学生VALORANT大会を主催 esports campus summitとは? 代表 出島太智さんに聞く 前編

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 2023年9月に立ち上がった大学eスポーツサークルでつくるコミュニティ「esports campus summit」、通称ecs。24年3月にはVALORANTの大学対抗戦「VALORANT Campus Summit」を開催し、イベントを主催するなど本格的な活動をはじめました。大学eスポーツにフォーカスした団体がいくつか立ち上がっている中で、何を目指しているのか。大学eスポーツを取り巻く状況なども含めて、同団体の代表で早稲田大学esportsサークルの元副幹事長でもある出島 太智さんに話を聞きました。(取材日:2024年5月14日)(取材/文:寺澤 克)

出島 太智さん

大学eスポーツにはロードマップがない 目標となる大会を学生自ら作っていきたい

──まず、esports campus summitとはどんな団体でしょうか。
 
出島さん(以下敬称略) 2023年9月に行った早稲田大学esportsサークルと慶應大学のeスポーツサークルTitanZzによる「eスポーツ早慶戦」に端を発する大学eスポーツサークルでつくるコミュニティです。大学eスポーツで僕たちが日々感じている課題を解決したいと思い、立ち上げました。今は全国17校のサークルが加盟しています。
 
──大学eスポーツの課題とはなんでしょうか。
 
出島 選手たちのモチベーションなどそういった部分と関わってくることなのですが、毎年決まった時期に開催される大会がないというのが一番の困りごとなんです。もっと正確に言えば、僕ら学生に情報として見えている大会が少ないのかもしれません。
 
 現在、さまざまな企業が学生でも参加できる大会を主催していますが、その多くが1~2カ月前からの募集になっていて突発的です。もちろん、金銭的事情やいろいろな理由で、告知から開催までが詰まるケースが多いのは重々承知しています。自分も以前は別の学生団体で、大会の主催や運営を担当していたこともありますから。ただ、こうなると日々の目標として意識するのは難しいですよね。

──確かにそれを目指して練習とは、なかなかなりませんね。

出島 そうなんです。大学のサークルや部活動って決まったロードマップがあるじゃないですか。4月に新入生歓迎活動の期間、5月に入部した1年生たちと合宿して親睦を深めて、9月頃の大会を目指して練習。そして11月には文化祭と、しっかりと先が見えているんです。
 
 eスポーツサークルだとなかなかそうはいかなくて、なんとなくの活動になる傾向が多いかと思います。 

──そこがeスポーツ早慶戦につながってきたのでしょうか。

出島 その通りです。まず、サークルとして目標が立てにくい、それを解消しようと開催したのが「eスポーツ早慶戦」です。VALORANTのイベントだったんですけど「まずはこれを毎年の風物詩的なイベントとしてやっていこう。そしてこれを目標にできたらサークル活動も上手くいくかもしれない」と、僕たちなりの仮説を立てて挑みました。

eスポーツ早慶戦の様子


 4月くらいから調整を重ねていたんですが、「代表チームを作ります」といったときに、参加したい選手たちだけじゃなくて、それを応援してくれるサークル部員も協力的になって、すごくコミュニティに活気が生まれたんですよね。それが早慶戦での成功体験となりました。やっぱり先に目標があると上手くいくんだなと。
 
 だったら、もう少しいろいろな大学を巻き込んでイベントができるんじゃないか。そこから生まれたのが「esports campus summit」です。

あくまでサークルでつくるコミュニティ 相互の情報交換・イベント運営で大学eスポーツシーンを発展させたい

──さまざまな大学を巻き込んだイベントをしたいとのことですが、具体的にはどんな活動を考えているんですか。

 出島 まず一つは、各サークルが定期的に目標にできるようなものをつくることです。だから今回のVALORANT Campus Summitのような大会を今年度末に開けるよう努力します。開催にあたっては、各サークルの部員がイベント運営の経験を積めるように、小さな大会やイベントを開いていこうと考えています。

 そして二つめは、各サークルの代表が集まってお互いの課題を解決していくための方策を考えていくことです。現時点では、新入生歓迎活動など、各サークルは忙しいので、情報共有という形にとどまっていますが、これから少しずつ、活動していこうと思っています。


──例えばどんな課題があるのでしょう。

出島 昨年から今年にかけて立ち上がったサークルもあって、代表を務めている人が一生懸命にまとめ上げているということがあるんです。これをどう組織化して人が入れ替わってもサークルを存続できるようにするかといった点ですね。それを「うちのサークルはこうしたよ」とか、みんなで情報を交換できればと思っています。

──運営体制について教えてください。

出島 先ほど話したeスポーツ早慶戦には、東京大学、明治大学、日本大学のサークルが運営のお手伝いや観戦に来てくれました。元々普段から懇意にしていたのですが、その場でいろいろ話をして、団体の目的などについても共感してもらえました。そして早慶の2校を含めて、この5サークルを中心に立ち上げました。

 ただ、「運営体制」というのは少しニュアンスが違いますね。ecsの理念の一つとして「強制しない」というのがあって、最低限マナーを守りつつ、協力し合うコミュニティという感じかな。いてくれるだけで僕たちは互いに情報共有できるわけで、それだけでも全然うれしいですから。運営という仰々しいところで言えば、サークル運営に余裕が出ている人たち、まあ僕のような人たちが中心に音頭を取っていくイメージかもしれないです。
 そしてecsが、というよりも東大なら東大、慶應なら慶應と、どこかのサークルのプラス要素が少しでも増えればOKというのも特徴かと思います。結果的に大学eスポーツが盛り上がれば良い、という大学eスポーツファーストの方針を掲げています。

 サークル同士がつながることで影響力が高まることもあると思うんですよね。例えば、企業から声がかかった時に、サークル単体だとあまり投資できないけど、複数のサークルで協力してイベントをやるとなったら、もっと協賛してくれるかもしれない。六大学とかいったらブランド力もあるし企業的に刺さるということもなくはないですからね。

 後半では、3月に開催したVALORANT Campus Summitの反響やecsの今後、大学eスポーツシーンの現状などについても話してもらいました。次回更新をお楽しみに!

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外部リンク

esports campus summit X公式アカウント
https://x.com/ecsummit000

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