レビュー
2021.06.02
ドッジボールやろうぜ、俺ボールな! ドッジボールアクション「ノックアウトシティ」が生み出す新たな連携の快感
- レビュー
5月26日、バトルフィールドシリーズなどのシュータージャンルやスポーツゲームで知られる大手ゲームパブリッシャー、エレクトロニックアーツからドッジボールを題材とした対戦型アクションゲーム「ノックアウトシティ」がリリースされました。ただでさえ“ドッジボール”というだけで心の「男子小学生」がくすぐられるというのに、シューティングゲームとスポーツゲームの名作製造機でもあるEAが作るともなればやらないわけにはいきません。早速ダウンロードしてみたところ、マップ内にはファンキーなDJボイスが響き渡り、カートゥーン調のキャラクターがボールのみならず爆弾や人間までもを投げ合うカオスな空間が広がっていました。ただ、単なるパーティーゲームかと思えば、しっかりと光る競技性の一端も。本稿はそんなノックアウトシティのプレーレビューです。
フェイントや変化球の攻防 心理戦が生み出すほど良い緊張感
まず、基本的なルールの確認。ノックアウトシティのプレー人数は3対3です(モードによっては4対4や1対1もあります)。リアルのドッジボールと違うのは、コートの概念がないことと、ボールが一つではないこと。同作では、街中や工場現場といった広いマップが用意されており、各地の決められたスポットでボールがスポーンします。
当然、敵味方の複数人数がボールを持つこともありますし、内野や外野などのルールはありません。実際にプレーしてみた感覚としては、全体的なシステムはシューティングゲームに近い気がします。上達するには、しっかりと足音や立ち回りを意識する必要があるかもしれません。なお、一般的なゲームモードでは体力は2ポイント。2回ボールを当てられると、数秒後別地点でリスポーンします。
ドッジボール要素が強い部分は、やはり敵と対面したとき。ただボールを投げるだけでなく、フェイントを挟んだり、変化球で障害物の死角から投げたりと多彩なモーションがあります。ちなみに、照準などはなく、ボールを構えると自動でロックオンして投げたボールは敵を追尾してくれるので、エイム技術とかは必要ありません。気軽にどんどん投げていきましょう。
一方、投げられる側は、敵からロックオンされると画面の外枠が赤くなり、加えて画面外からボールが飛んできているときは飛来する方向にボールのエフェクトが表示されます。これらが見えたら警戒するように。敵から投げられたボールは当たる瞬間にボタンを押せばキャッチできるほか、回避ボタンで避けることもできます。
もし、タイミング良くキャッチできれば、数秒の間自分が投げるボールのスピードが上がります。この効果は、相手との投げ合いを繰り返すことで重複していき、3回ほど投げ合うと球速が目で追うことも困難な豪速球となります。
よくリアルのドッジボールでは、クラスのヒーロー同士でスーパーキャッチが連続し、体育館に歓声が響くことがありますが、ノックアウトシティではまさにそんな緊張感のある心理戦を体感できるわけです。構えて、投げて、ぶつける。基本はたったこれだけなんですが、倒したときの爽快感はたまりません。この感覚は、まさに授業が終わるたびに校庭へと急いだドッジボールのそれです。
流れるパス回しに必殺技 チーム連携で敵をぶっ飛ばせ
読者の中には、上記までを読んで同作が「個人戦に近い」という印象を抱かれるかもしれません。筆者もプレーをし始めて数時間はそう思っていたんですが、今となって振り返ると浅慮でした。ノックアウトシティ独自の面白さはチームワークにあります。
その代表ともいえるシステムが、プレイヤー自身がボールになる機能。字面だけ読んでみるとちょっと意味が分からないですが、このシステムが本当に面白い。同作では特定のボタンを押すとキャラクターが自ら丸まりボール状に変化するんですが、この状態で味方に触れると、味方は自分をボールとして投げられるようになるのです。
また、味方をボールとして持っているときに長時間構えていると、その味方に爆弾のようなエフェクトで発光し始めます。この状態で投げると味方は空高く飛び上がり、空爆することができます(スプラトゥーンのスーパーチャクチに似てます)。
アルティメットスローと呼ばれるこの技、爆風に巻き込まれると残り体力に関わらず1発でKO。複数に当てることができれば戦況をひっくり返せる必殺技です。これが楽しくて楽しくて、時にはチーム全員が同時にボールになったりするほど。リアルのドッジボールではやりたくないボール役ですが、ノックアウトシティでは率先してやりたくなる魅力でいっぱいです。
もう一つ特筆すべきはパス。アルティメットスローと比べると一見地味ですが、これが意外と重要なんです。同作では、味方からパスを受けるとその後の数秒、ボールの速度が上がります。これだけでメリットはかなり大きいですが、ボールを投げたばかりの味方に補充してあげたり、敵から死角になっている味方に投げてあげたり……。一本のパスで一人では対応できなかった状況に対して柔軟に臨むことができます。
空き時間に味方とパス回しをしているだけで連帯感も増すし、なんだか上級者になった気がします。ちなみに、既にボールを持っている味方にパスも可能。相手が持っているボールと自動で交換され、両者共にスピードアップの効果を受けます。筆者はこのパスの楽しさを実感してからこのゲームの見え方が一気に広がりました。
今となっては敵にボールを投げる回数よりも味方にボールを投げる回数が多くなる始末。敵を目前にしても味方に向けて放ってしまう体になってしまいました。しかし、自分が回したボールで味方がノックアウトを取る姿を見るとやっぱり楽しい。ボールを回すという簡単な行為がそのままチームの連携につながる感覚は、今までにない新しい経験でした。
無料期間は終了するも 無料版が新たに配信中
この他にも、特殊な効果を持つボールや各種対戦モード、キャラメイク機能など、ご紹介したい要素はたくさんあるんですが、きりがないのでいったんここは割愛。これらは、実際にプレーしてその目で見てみてください。友達とワイワイ楽しむパーティーゲームとしても、全国の猛者とガチで試合をするeスポーツとしても楽しむことができるゲームです。
現在、ノックアウトシティは、有料版と無料版をPC、PlayStation4、Xbox One、Nintendo Switchに配信しています(PSとXboxは後方互換も対応)。有料版が約2000円で、無料版がアカウントレベル25まで遊べます。もともと期間限定で完全無料で遊ぶことができた同作ですが、無料期間の終了と同時に新たなキャンペーンを打ち出した形です。気になった方は、まず無料版をダウンロードしてみてはいかがでしょうか。(BCN・銭 君毅)