レビュー
2022.04.28
その一瞬が勝負を分ける! ASRock「H670 PG Riptide」でゲームの勝率アップ
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- ゲーミングデバイス
オンラインゲームやeスポーツでは一瞬の判断、一瞬のキー/マウス入力の差が勝負を分けることがあります。しかしながら、いくら自分が正確かつ迅速に操作をおこなっても、機器側で遅延が生じてしまっては勝てるものも勝てません。今回は「ライトニングゲーミングポート」を備え、キーやマウスの入力遅延を最小に抑えられるというASRockのマザーボード「H670 PG Riptide」をレビューします。
Intel H670チップセット & LGA1700ソケットで第12世代Intel Coreプロセッサに対応
H670 PG Riptideには、その名が示すとおり、IntelのH670チップセットが搭載されています。これは1月に発売されたばかりのチップセットであり、Intelの最新世代CPUである第12世代Coreシリーズ「Alder Lake」をサポートしているのが特徴。最新世代のCPUをサポートしているということで、将来性が高いといえます。同時期に発表されたチップセットとしては上位にZ690があり、こちらはH670にはないintel KシリーズCPUでのPコア/Eコア/BCLKのオーバークロックに対応しています。
しかしながら、ASRockにはBFB(ベース周波数ブースト)と呼ばれる独自機能があり、非KシリーズCPUを使用した場合でも、KシリーズのCPUと同様の動作周波数を維持することができる点も大きな特徴です。(ただし、BFBはCPUクーラーの冷却性にあわせて性能を伸ばすことが出来るため、CPU温度に余裕がある場合はBFBを活用することでパフォーマンスアップが期待できます)まずはリーズナブルなH670チップセットマザーボードとCPUを選び、浮いたお金でストレージの拡張や上位のグラフィックスカードを購入することでよりゲームに最適な高性能パソコンを手に入れられるという考え方もあります。
また、CPUソケットは多くのCPUが対応しているLGA1700のため、最初は安いCPUから始め、徐々にアップグレードする楽しみも味わえるでしょう。
マウスとキーボードを別コントローラで処理する「ライトニングゲーミングポート」
H670チップセットを搭載したマザーボードは数多く発売されているが、そのなかでもH670 PG Riptideはゲームでの利用に適した仕様を備えているのが特徴です。特に面白いのが「ライトニングゲーミングポート」と呼ばれる機能。
USBは一般的に多数のポートがあり、その根元は1つのUSBインタフェースにつながっています。USBはさまざまな機器を手軽につなげられる便利なインタフェースなので、マウス、キーボード、ストレージ、ネットワークなど多くの機器をつなげがちだが、するとそれらの通信が1つのUSBインタフェースで渋滞し、処理の遅れが発生する可能性があります。
これに対してライトニングゲーミングポートでは、マウスとキーボードをつなげることを想定した専用ポートをそれぞれ1ポートずつ用意し、それらに専用USBインタフェースをそれぞれ用意している。いわば、マウスとキーボード専用の“高速道路”を備えているのです。
これにより多数の機器による通信の渋滞を避け、キーボードやマウスの入力遅延を最小限に抑えることができます。一瞬が勝負を分けるゲームにおいてこの機能は勝率を上げるのに貢献するはずです。このライトニングゲーミングポートの効果については後ほど検証します。
音でゲームプレーに貢献する「Nahimic Audio」
ゲームにおいて映像とともに重要なのが音声です。H670 PG Riptideは「Nahimic Audio」というゲームをより楽しめるオーディオ機能を搭載しています。
Nahimic Audioにはさまざまな機能があるが、たとえば音のなかに含まれている「声」を聞き取りやすくすることができます。これによりチームメイトとのボイスチャットがしやすくなり、より緊密なコミュニケーションを取ることが可能です。
また、「サウンドトラッカー」と呼ばれる機能を使うと、ゲーム内の音がどの方向から発生しているかを視覚的に表示してくれます。足音や銃声は敵や味方がどこにいるのかを示す重要な情報だが、サラウンドオーディオ環境を持っていないと方向まではわかりません。サウンドトラッカーを使えば特別なオーディオ環境を用意しなくても視覚での索敵が可能です。
ユーティリティーも充実
H670 PG RiptideにはASRockらしい便利なユーティリティーが充実しています。たとえば、マザーボードを制御するUEFIはマウスで操作できるグラフィカルなものとなっており、設定の確認や変更が用意。日本語表示に対応しているところもうれしい点です。
また、「APP Shop」と呼ばれるアプリを使えばこのマザーボードに必要なドライバなどのインストールおよびアップデートを一括しておこなえます。使いやすい環境が整っているため、マザーボード初心者でも安心です。
実際にApex Legendsをプレー
スペックとしては上記の通り16万円強の構成ですが、実力はどうなのか。早速、実際にキーボードとマウスをライトニングゲーミングポートに接続し、人気オンラインFPSのApex Legendsをプレーしてみました。
独立したコントローラで処理されているおかげか、プレー中にキーボードやマウスの反応が悪いと感じることはありませんでした。むしろ、反射的に動いた際や無意識にエイムを微調整している際などに、素直に操作が反映されていると感じます。特にエイムを安定しておこなうことができきたと思います。快適にプレーできるのはライトニングゲーミングポートのおかげかもしれません。この感覚が勘違いかどうか、検証してみます。
ASRock「H670 PG Riptide」の実力をベンチマークで確認
次にH670 PG Riptideの実力を各種ベンチマークプログラムで確認します。CPUはIntelの第12世代Coreシリーズから、Core i5-12400(6コア、12スレッド、最大周波数4.40GHz)を使用。H670 PG Riptideの独自オーバークロック機能は使用していません。RAMにはDDR4-3600(XMPは使わず動作は2666)を32GB搭載しています。Core i5-12400にはIntel UHD Graphics 730が内蔵されていますが、今回はゲーム用途ということでASRock Radeon RX 6600 XT Challenger D 8GB OCも用意しました。
CINEBENCH R23
まずはCPU性能を測定するCINEBENCH R23を実行してみます。スコアはマルチコアで10802ポイント、シングルコアで1700ポイントと、H670 PG RiptideはこのCPUのポテンシャルを余すことなく発揮しているといえます。
リーテールクーラーから、冷却性能の高い簡易水冷クーラーなどにアップグレードし、
BFB機能を活用してパフォーマンスアップも期待できます。
(BFBの設定方法はこちらの記事も参照:https://www.bcnretail.com/news/detail/20220406_273697.html)
GFXBench
次にGFXBenchでGPU性能をチェックしましょう。APIとしてVulkanを使い、内蔵GPUとRadeon RX 6600 XTの両方で実行した。モニターにはFull HD(1920 x 1080ピクセル)のものを接続しています。下のグラフおよび表の単位はフレームレート(fps)。
やはり内蔵GPUと外付けGPUの差は大きく、10倍以上の差が付きました。
ファイナルファンタジーXV ベンチマーク
最後により実ゲームに近いベンチマークとして、グラフィックに重きを置いているファイナルファンタジーXV ベンチマークをFull HD解像度で実行しました。こちらもやはり内蔵GPUと外付けGPUの差は大きいです。内蔵GPUの場合、軽量品質ですら1521ポイントと「動作困難」との判定でした。これに対し、RADEON RX 6600 XTの場合は標準品質で12455ポイント、高品質でも9253ポイントと、それぞれ「非常に快適」、「とても快適」との評価を得ることができました。
3Dゲームを楽しむなら外付けGPUを追加したほうが良さそうです。
ライトニングゲーミングポートの実力は?
さらに、H670 PG Riptideの独自機能である「ライトニングゲーミングポート」の実力を測定するため、「MouseTester v1.5 」というアプリを用いて入力信号の遅延を測定しました。
測定は以下の3ケース
- 通常ケース:マウスのみ通常のUSBポートに接続し左右に激しく動かす
- USBインタフェースがビジーになるケース:1のケースに加え、USB接続キーボードの多くのキーを押したままにし、かつDuet Display でiPad ProとUSB接続しWindowsのデュアルディスプレーとしてYouTube動画をフル画面で再生
- ライトニングゲーミングポートを使うケース:2のケースでUSBマウスの接続をライトニングゲーミングポートに変更
2番目のケースでは1つのUSBインタフェースに多数の通信が集まることによって遅延が増加し、3番目のケースでマウスが別インタフェースに接続されるため遅延が減るというのが想定される測定結果です。
マウスにはロジクールのゲーミングマウスであるG300s、キーボードにも同じくロジクールのゲーミングキーボードのG213を使い、マウスやキーボードがボトルネックにならないようにしました。
まず、1のケースでの測定結果がこちらです。
縦軸が遅延を表している。多くのケースで遅延が4ms以下に抑えられ、時々6msが見られる程度です。 これに対し、USBインタフェースがビジーになるケース2では以下のようになります。
1では4ms以下の遅延が大半でしたが、6msや8msの遅延が増えているのがわかります。これに対し、ライトニングゲーミングポートにマウスを接続した3のケースでは多くのケースで6ms以下に遅延を抑えることができました。
1のケースよりは遅延が大きいものの、2に比べればかなり抑えられており、ライトニングゲーミングポートの効果が高いことがわかります。
Intel製チップ搭載の有線LANは安定感抜群
ネットワークゲームでは通信遅延の少なさと通信が安定していることが求められるため、最後にH670 PG Riptideに搭載されているIntel製チップ搭載の有線LANについて安定性を試すテストをおこないました。
この測定では以下の3つのケースで比較しています。
- H670 PG Riptideに搭載されたIntel製チップ搭載有線LAN(1Gpbs接続)
- Realtek製チップを搭載した有線LAN(1Gbps接続)
- 1201Mbps接続のWi-Fi 6
測定には「みんなのネット回線速度」のサイトを利用し、Pingを0.5秒に1回送信してその応答が返ってくるまでの時間を測定しています。
まず、H670 PG Riptideに搭載されたIntel製チップで測定した結果がこちらです。
多くの場合5ms以下の遅延であり、かつ遅延が安定しており、非常に優秀な結果となっています。
次にRealtek製チップを利用した結果がこちら。
全体的に遅延がIntel製チップより大きく、大きなスパイクも発生しました。安定性に加えて遅延もIntel製チップのほうが優秀です。
3のWi-Fi 6については無線LANということもあり、全体的に遅延が大きめとなっています。やはりオンラインゲームをプレーするなら有線LANのほうが望ましいといえます。
ASRock「H670 PG Riptide」はコスパ抜群「勝つための」マザーボード
ASRock「H670 PG Riptide」はライトニングゲーミングポートを搭載し、マウスやキーボードの入力遅延をできるだけ抑えることができます。入力の一瞬の差が勝負を分けることもあるため、このマザーボードは「勝つための」マザーボードといえるでしょう。
また、安定性の高いIntel製チップ搭載有線LANや視覚的に音の位置を教えてくれるNahimic Audioなど快適にゲームをするのに適した機能が搭載されています。チップセットが第12世代Coreシリーズ「Alder Lake」に対応しているので長く楽しめるのもうれしいポイントです。
それでいてH670 PG Riptideは本記事執筆時点で1万8000円前後で購入することができ、非常にコストパフォーマンスが高い。限られた予算のなかでできるだけゲームを快適に楽しめ、かつ長く使えるマザーボードを探しているならH670 PG Riptideがおすすめです。(ライター・ハウザー)
提供:ASRock
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