大会レポート
2024.11.08
コール飛び交い「チーム応援」の一つの形見えた 会場の両国国技館も魅力たっぷり Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier イベントレポート
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REDBULLが主催する「VALORANT」のオフラインイベント「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier(Red Bull HG Apac)」が10月19、20日に、両国国技館で開催されました。Red Bull HG Apacは、アジア太平洋地区で活躍するトップチームと日本予選を勝ち抜いたチームを招待して行われる大会です。
日本からはVCT Pacificで活躍するZETA DIVISION(ZETA)とDetonatioN FocusMe(DFM)、Red Bull HG Apacの日本予選を勝ち抜いたCREST GAMING Zst(CGZ)が、海外からは韓国のT1、タイのTALON、東南アジアのREX REGUM QEON(RRQ)が参戦しています。
前回の大会は、単体の大会ではなく、日本予選とEMEA予選を踏まえた「世界大会」にあたるものでした。今回は国際大会の予選となっており、Red Bull HG Apacの優勝チームは11月にドイツ ベルリンで開催される「Red Bull Home Ground World Final 2024」への出場権が与えられます。
取材・文/ライター・岡安 学
ZETAが韓国のオールスター集団「T1」に勝利するなど試合は白熱
DAY1は3チームずつのふたつのグループに分かれ、BO1(1勝勝ち抜け)グループリーグと勝ち抜いたチームの準決勝の1試合を実施。それぞれのグループで2位までに入ったチームが準決勝に進出します。準決勝からはトーナメントとなり、準決勝はBO3(2勝勝ち抜け)、決勝戦はBO5(3勝勝ち抜け)で行われます。
グループ1は、RRQ、DFM、TALON。グループ2はZETA、T1、CGZの3チームです。
グループ1は3チームとも1勝1敗となりましたが、ポイントにより1位がRRQ、2位がDFM、3位がTALONとなりました。グループ2は2勝したZETA DIVISIONが1位通過で、1勝1敗のT1が2位となりました。ZETAは、韓国のオールスター集団と言われるT1に勝利し、1位通過できたのはまさに快挙と言えます。
準決勝は、グループ1の1位とグループ2の2位が、グループ1の2位とグループ2の1位が対戦します。DAY1で行われる準決勝はRRQとT1の対戦です。2位通過だったT1が下剋上を果たし、グランドファイナル進出を決定します。
DAY2の初戦となる準決勝2試合目はZETAとDFMの日本チーム対決。幸先よく1本目に勝利したDFMでしたが、2本目をZETAに取り返されます。決着がつく3本目はDFMが先にマッチポイントを迎えますが勝ちきれません。徐々に差を詰めてきたZETAに同点に追いつかれ、オーバータイムに突入。再度マッチポイントを迎えるDFMでしたが、またもや追いつかれ、そこから逆にマッチポイントを奪われます。ZETAはそのチャンスを活かしきり、逆転で勝利をしました。
決勝戦の前には、ここまで敗退となった4チームからランダムで選出された選手の混合チームによるShow Matchが行われました。
決勝戦はZETA対T1。BO5の長丁場での対戦となります。ZETAはグループリーグでT1に勝利しているだけに、決勝戦も勝ちきってほしいところです。
しかし、いきなりHAVEN、ASCENTの2マップ連続で落としてしまい、後がなくなります。3マップ目のSUNSETでようやく一矢を報いるも、4マップ目のBINDで敗れてしまいました。これまでどの試合も大差がついての勝敗はほとんどなかったので、2マップ目の5-13、4マップ目の3-17は残念な結果でした。ACSENTはDFM戦でも負けており、HAVENもオーバータイムで逆転するぎりぎりの勝利でした。不得意なマップを克服するのが、ZETAの今後の課題といえるのではないでしょうか。これで、ドイツ行きを決めたのはT1になりました。
新生ZETAと新生DFMの両チームに期待が集まる
Red Bull HG Apacはさまざまな収穫があった大会だったと感じました。
一つは、新生ZETAと新生DFMが来季の活躍が期待できるチームとなっていたことです。
オフシーズンということもあり、どのチームも調整不足、練習不足の状態で、本調子でなかったことは明らかですが、それでも例年と違うものを感じました。結果はどうなるかわかりませんが、この期待感があるかどうかは応援する側にとってかなり大きなものなのではないでしょうか。特にDFMは新加入で競技シーンに復帰したArt選手の存在が大きく感じました。選手としてのスキルはもちろん、チームを牽引する選手として、十分な役割を果たしてくれそうです。
会場も魅力たっぷり スポンサーもなかなか見られない企業ばかり
二つ目は、両国国技館のeスポーツとの親和性をより実感できたことです。
会場に飲食を持ち込むことができ、長時間の観戦にもくつろいで観られる枡席、1階席、2階席ともにステージが見やすい設計と、さすが長年国技の相撲を観戦するために作られた競技場なだけあります。
客数もまだ余裕があるので、今後、さらに来場者が増えても対応できるキャパシティも持っています。両国駅は秋葉原から2駅と近く、両国国技館も両国駅から徒歩5分とかからないので、これまで行っているどのeスポーツイベントの会場よりもアクセスの良さが光ります。
あとは、両国国技館のカラーに合わせた数々の演出もRed Bull HGらしさと言えます。このあたりは、昨年も感じましたが、今回も訪れてみて、再確認したところです。Red Bull HGは、2回連続で、両国国技館で開催していますし、今後はeスポーツのイベントの聖地として確立していくのではないでしょうか。あと、Red Bullらしさと言えば、普段eスポーツ大会では見られないスポンサーが名を連ねていたことです。こちらもちょっと驚きでした。
ZETAとDFMのコールが飛び交う 「チーム応援」の形が見えた
三つ目は、ファンの存在です。
これまでは「VALORANT」のゲーム自体が好き、「VALORANT」の競技シーンが好き、特定の選手が好きと言った感じで、チームを応援する気配があまりしませんでした。
今回は、「チームを応援する」という形が少しだけ見えた気がします。DAY2の準決勝のZETA対DFM戦ではDFMがピンチに陥ると、ファンのひとりが立ち上がり、DFMコールを促し、応援席全員がコールをして選手を鼓舞していました。
そして、ZETA側もそれに呼応するようにZETAコールで受け答えしています。スポーツシーンでは当たり前の行動ですが、eスポーツではいままで見られなかった光景と言えます。
ようやくチームファン、箱推し感が出始めたような気がします。こうした状況になれたのも、今大会でZETAとDFMの応援席を用意し、チケットを販売したことも大きく関係しているでしょう。野球で言えばライト側がホーム、レフト側がビジターと応援席が分かれ、ひいきのチームを応援しやすい状況になっており、今大会でもそれが実現したわけです。
【終わりに】チーム推しが増えればさらに盛り上がる オフライン開催機会の増加にも期待
もちろん、会場に用意されたチームブースに選手が登場するファンミーティングが始まれば、どのチームにも並んで写真をとったり、サインをもらったりする人、いわゆるみんなだいすき、だれでもだいすきの状態の人もいます。それでも以前に比べるとチーム推しとして他のチームに目をくれない人も増えたと感じました。チーム推しが発生すると、熱狂度は格段にアップするので、この状況はかなり良い方向に向かっていると言えるでしょう。
ただ、これだけ熱狂的なファンが増えつつある状況で、オフライン大会が、VCJのプレイオフ以来となるのはちょっと残念です。オフライン開催を増やしたり、VCT Pacificの何試合かを日本で開催したりするような施策は必要なのではないでしょうか。
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外部リンク
Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier
https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-home-ground-apac-qualifier
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