大会レポート

2025.05.22

スマブラ最大級の熱狂! 「篝火13」で見たコミュニティの可能性、来場者数は3000人超え

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 「大乱闘スマッシュブラザーズSpecial」(スマブラSP)のコミュニティオフライン大会「篝火13」が5月4・5日に所沢くすのきホールで開催されました。

(ライター・岡安学)

篝火13の会場の様子
篝火13


 今回の篝火13は過去最高ランクの大会とされています。スマブラ大会の規模は、スマブラコミュニティが設けている世界ランキングをもとに、ランキング上位の参加者、一般参加者それぞれの人数で決まります。そのうえで今回は過去2番目にTOP50内からの参加者が多かったうえ、合計参加者数は2560人、観戦を含めた来場者数は3351人と、過去最大規模の大会でした。

会場の様子
Day2には参加者以外の観戦者も多く訪れていた


 筆者はスマブラのイベント取材が初めてでした。篝火以外にもウメブラなど老舗のコミュニティイベントはありますが、これまで縁がなく訪れる機会がありませんでした。今回、縁あって取材できたことは僥倖でした。

 篝火は"コミュニティ"であることを強調しており、メーカー公式でもチーム主催でもありません。任天堂から許諾は受けているものの、公式大会ではなくコミュニティ主催のイベントです。基本的には任天堂の「コミュニティ大会に関する規約」に則って開催し、その範疇外の部分は個別に申請して許諾を得ています。2500人を超えるオフラインイベントの運営費や会場費は参加費や観戦費で賄われており、利益を出すどころか赤字にならないことが目標という状況です。

グッズ販売の様子
篝火13の公式グッズも販売していた
会場の様子
会場前のホワイエでは、各サークルによるブースを展開していた

ブースの様子

ブースの様子

ブースの様子

ブースの様子


 コミュニティイベントというと規模やクオリティが公式大会に劣ると思われがちですが、参加者数や観戦者数は公式大会を上回り、規模は決して小さくありません。大会運営、クリエイティブ、配信など、すべての面でハイレベルなクオリティを誇ります。ほかのeスポーツタイトルのイベント運営に携わるほどのスキルを持ち、むしろこのレベルに達していない運営会社の方が多いのではないでしょうか。

会場の様子
会場の様子。
コミュニティイベントの域を超えた規模とクオリティで展開していた

会場の様子

会場の様子


 篝火はコミュニティらしく、さまざまなレギュレーションやルールを参加者で決めています。eスポーツのデファクトスタンダードよりも、篝火独自のスタンダードを貫いている印象です。参加者には納得感があり、運営にとっても説得力のある形となっています。

 レギュレーションの周知も丁寧に行われています。数日前から公式Xで海外選手との交流方法を説明し、ジャンケンの掛け声や試合前後の挨拶の仕方などを案内していました。観戦者向けには有名選手への話しかけ方なども指南していました。


 海外選手との交流を円滑にするため、参加者に配布されるプレートの裏には使用可能なステージが描かれています。対戦後に負けた側がステージを選び直す際、プレートのステージを指さすだけで選択を伝えられる優れたシステムです。言葉の壁を取り払う画期的なシステムです。

プレート裏面の写真
プレート裏面には選択可能なステージが描かれており、
指さすだけで相手に伝えられる。ルールのリンクもコードで記載
選手の写真
プレートでステージを確認し合う選手たち


 現在のスマブラSPのシーンでは日本人若手選手が強さを発揮しています。eスポーツアワードで知られる"あcola"選手が世界ランキング1位、FENNELのミーヤー選手が2位と、トップを日本の若手が占めています。らる選手やドラ右選手など、トップ20以内の実力者も健闘しました。トップ8の顔ぶれは以下の通りです。

あcola選手、ミーヤー選手、Tweek選手、らる選手、ドラ右選手、カルメロ選手、Wrath選手、Glutonny選手

会場の様子
Top8からは会場は完全に観戦モード


 大会はダブルエリミネーション方式で、ウイナーズサイドからはらる選手とあcola選手がファイナルに進出。らる選手があcola選手を3-1で下す大金星を挙げました。ルーザーズではミーヤー選手が順当に勝ち進み、ルーザーズセミファイナルでTweek選手を破り、ルーザーズファイナルで待ち構えるあcola選手と対戦。あcola選手が踏ん張り、ウイナーズファイナルの雪辱を果たす機会を得ました。

選手の写真
負けなしでグランドファイナルに進出したらる選手
選手の写真
ルーザーズファイナルでは、あcola選手対ミーヤー選手が対決


 グランドファイナルではあcola選手が2本先取。1本取り返された後、使用キャラクターをスティーブ/アレックスからホムラ/ヒカリに変更。あcola選手はもう一度負けられる状況だったため、敗北した場合はスティーブに戻すことも可能でしたが、そのまま勝利してリセットを達成しました。

 グランドファイナルリセットでは再びあcola選手がスティーブを選択。再び3-1で勝利し、優勝を決めました。らる選手は終始、コンボを完走できれば相手を倒しきることができるルイージを使用していました。コンボが始動すると、技が決まるたびに会場が沸き立つ様子は、格闘ゲーム界隈でよく見られる光景です。スマブラも格闘ゲームと同じような盛り上がりを見せることがわかりました。

選手の写真
優勝を決め、ガッツポーズを見せるあcola選手
選手の写真
篝火のトロフィーを抱えるあcola選手


 大会終了後の撤収作業もスムーズで、運営の熟練度が感じられました。イベントは設営や運営以上に、撤収の迅速さや的確さが経験やスキルを表すと言われます。篝火スタッフの高い経験値が垣間見られました。

 会場は駅前のビルでアクセスが良く、8階という高さは気になりましたが、1階と8階のみを結ぶ大型エレベーターが2基あり、輸送力は十分でした。ただし、トイレが男女各1箇所しかなく、3000人が使用するには難がありました。長蛇の列ができ、試合時間に間に合わないなどの問題が起きる可能性もありましたが、過去に何度も使用している会場ということで、杞憂かもしれません。

ゲーム機の写真
多くの選手が自前のNintendo Switchを持ち込んでいたことも、
大会の円滑な進行に貢献していた


 今大会は最高ランクの大会であり、好成績を残した選手には高ポイントが付与されます。大会のランクは参加する上位選手の数と総参加者数で決まるため、高いランクの大会で好成績を残せば、選手にも相応のポイントが還元される仕組みです。大会と選手が相互に価値を高め合う仕組みは、継続することでさらに価値を増していきます。eスポーツやゲームの競技シーンでは年間ツアーを行うタイトルもありますが、篝火のように年単位に縛られない仕組みはあまり類を見ません。

 現在の「スマブラSP」のランキングはLumiRankと呼ばれ、2023年から稼働しています。まだ実績は浅く、問題点を指摘する声もありますが、現状では良くできたシステムだと感じました。

 筆者にとって、これまで知らなかった篝火の取材は貴重な経験となりました。eスポーツへの理解も深まりました。今年の秋に篝火14の開催が発表されており、次回も是非取材したいと思います。

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外部リンク

篝火 KAGARIBI(大会の告知用アカウント)
https://x.com/kagaribi_smash

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