解説
2021.07.18
eスポーツにはどんな種目(ジャンル)がある? 主なゲームタイトルも紹介
- 大会/イベント
一口に「eスポーツ」と言っても、シューティング要素が強いゲームやパズル系のもの、スポーツやレース、カードゲームや戦略を争うゲームなど多種多様です。そこでこのコラムでは、eスポーツの種目(ジャンル)の概要を解説したうえで、代表的なゲームタイトルを紹介していきます。また、各タイトルのCERO(ゲームソフトの年齢別レーティング制度)についても記載し、高校生の年齢でもプレイ可能であるかどうかについても補足しています。
eスポーツで選ばれるゲームタイトルの条件
eスポーツの種目として扱われるには一定の条件があり、「ゲームであればなんでも良い」というわけではありません。たとえば、JeSU(日本eスポーツ連合)では以下の4点をeスポーツの条件としています。
・競技性があること
・3ヶ月以上の販売や運営の稼働実績があること
・一度きりでなく大会を継続運営する意思があること
・大会の興行性があること
FPS
FPSは「First Person Shooter(ファーストパーソン・シューター)」の略です。プレイヤーが操るキャラクターの全身が見えず、自分自身がゲーム内にいるような視点でプレイするので没入感が高いシューティングゲームです。精密な操作や反射神経はもちろん、即座の判断力やチームワーク力が問われることから、eスポーツの花形とも言えるでしょう。動体視力や反射神経は年齢が若いほど優れている傾向にあるため、高校生も十分に活躍できるジャンルです。
エーペックスレジェンズ(Apex Legends)
「Apex」「エペ」などと呼ばれ親しまれています。スピード感と細かいギミックを駆使してプレイするスタイル、愛嬌のあるキャラクターたちがファンを引き付けているタイトルです。賞金総額300万ドルの「Apex Legends Global Series」で好成績を残せばポイントを得ることができ、上位になればメジャーとして世界の強豪と戦うことができます。CERO:D(17才以上対象)
レインボーシックスシージ(Tom Clancy's Rainbow Six Siege)
略称は「R6S」、または「虹6」など。スピードや命中率が重要ですが、チーム戦なので戦略性も問われます。「レインボーシックスJapan Championship 2020」は同作の大会として国内最大規模の大会と言われています。この大会は高校生向けの部門はありませんが、高校生の参加も可能です。CERO:D(17才以上対象)
カウンターストライク:グローバルオフェンシブ(Counter-Strike: Global Offensive)
略称は「CS:GO」など。キャラクターの特殊スキルや救済措置がほとんどないことから、クロウト向けFPSとも言われています。ゲーム性がシンプルなだけに回数をこなすことが重要とされています。「宴」という国内リーグがあり、年齢を問わず参加できます。CERO:D(17才以上対象)
オーバーウォッチ(Overwatch)
略称は「OW」など。6人編成で役割分担しながら戦うタイトルで、迫力あるアクションが魅力の一つです。「オープンディビジョン」から始まるリーグで好成績を上げていけば、世界のトップクラスのゲーマーが集まる「オーバーウォッチリーグ」につなげることも可能です。CERO:C(15才以上対象)
ヴァロラント(VALORANT)
チームプレイの戦略性と、各キャラクターの特殊能力を活かすプレイが勝負を握ります。「RAGE VALORANT JAPAN TOURNAMENT」は日本最大級のヴァロラントの大会です。参加資格は17歳以上なので高校生も出場できますが、高校生に限定した大会はありません。CERO未レーティング(PEGI 16)
TPS
TPSは「Third Person Shooter(サードパーソン・シューター)」の略で、扱うキャラクターの身体が見えるシューティングゲームです。求められる能力にFPSと大きな違いはありませんが、やや戦略性の高い動きが求められるタイトルが多い傾向にあります。
フォートナイト(FORTNITE)
略称は「フォトナ」など。建物やトラップを作成できるクラフト要素が盛り込まれたTPSです。いろいろなモードがありますが、eスポーツ大会ではバトルロイヤル方式で戦うことが多いタイトルです。高校生向けの大規模なeスポーツ大会である「STAGE:0」の種目として扱われています。2019年の「FORTNITE World Cup」は、賞金総額が32憶円を超えていたという規模感でも知られています。CERO:C(15才以上対象)
プレイヤーアンノウンズバトルグラウンズ(PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS )
略称は「PUBG」など。バトルロイヤルシューティングゲームにおける代表的なタイトルです。「PUBG WEEKLY SERIES(PWS) 」は日本を含む東アジア地域の公式リーグで、世界でも戦えるPUBGプレイヤーを育てることを目標としています。CERO:D(17才以上対象)
スプラトゥーン2
略称は「スプラ」など。シューティング要素をベースに、様々なルールで競うことができるタイトルです。エリアに色を塗るという変わった発想や、ギアと呼ばれる衣服を変えて楽しむ独特の世界観が魅力です。大会として「スプラトゥーン甲子園」が行われており、年齢を問わないので多くのプレイヤーが参加しています。CERO:A(全年齢対象)
格闘対戦ゲーム
名称の通り格闘技などで相手を倒すことを目的とするジャンルです。反射神経はもちろん、状況に応じて出す技を判断する経験、コマンドの正確さなど、さまざまな能力が問われます。
ストリートファイターV
略称は「スト5」など。後述する鉄拳シリーズと並ぶ、日本発祥の人気格闘対戦ゲームタイトルです。プロゲーマーのみが出場する「ストリートファイターリーグ Pro-JP」が有名ですが、初心者向けの大会も開催されています。高校生に限定しているわけではありませんが、直近では「Beast Cup-Beginner-」というイベントが行われました。CERO:B(12才以上対象)
鉄拳7
多方向に動作できる3Dバトルの特徴を理解し、空間を活かした戦い方が要求されます。直近の11回目となる「MASTERCUP」では、過去最大の264チームがエントリーしています。CERO:C(15才以上対象)
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
略称は「スマブラ」など。任天堂のキャラクターが作品の枠を超えて戦うのが魅力のタイトルですが、任天堂以外の会社の有名ゲームキャラも参戦しています。相手を弾き飛ばして戦うので、大技やコンボを有効に使う技術が要求されます。公式オンライン大会としてが開催されており、大きな盛り上がりを見せています。CERO:A(全年齢対象)
スポーツ・レースゲーム
名称の通り、サッカーやバスケットボールなどのフィジカルスポーツや、車やバイク、飛行機などのレースを行うジャンルです。戦略や先読み、チームの場合は連携を求められるため、高校生と成人で有利不利はほとんどないと言っていいでしょう。
ロケットリーグ(Rocket League)
略称は「ロケリー」など。特殊な車を操作し、サッカーを行うゲームです。日本で最大級の高校生向け大会である「全国高校eスポーツ選手権」の種目として扱われています。ドリフトやドッジ、エアリアルなどを局面に応じて使い分ける正確動作性が求められるタイトルです。CERO:A(全年齢対象)
FIFAシリーズ
世界中の多くのプロサッカーリーグと提携しているので、非常にリアルな設定のサッカーゲームを楽しむことができます。ボールさばきをイメージしながらも、スピードを高めるスキルが要求されます。「FIFA eWorld Cup」は世界規模のeスポーツ大会ですし、日本でも「eJリーグ」が楽しまれています。CERO:A(全年齢対象)
ウイニングイレブン
略称は「ウイイレ」など。「eJリーグ ウイニングイレブン 2019シーズン」などのイベントは、ゲーム好きな人だけでなくサッカーファンにも視聴されていて、年々大規模化しています。細かい動きができるので、細かい操作をしながらもゲーム全体の流れを見るスキルが重要です。CERO:A(全年齢対象)
グランツーリスモSPORT
略称は「GT」、「GTS」など。リアルな車の挙動を追求していることで有名なレースゲームです。「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」は世界規模のeスポーツ大会で、国際自動車連盟が公認しています。日本では「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の種目として多くの人に親しまれています。CERO:A(全年齢対象)
パズルゲーム
「落ち物」と呼ばれるテトリスやぷよぷよなど他、パズル&ドラゴンズ なども含むジャンルです。頭の回転力が大事な要素ですが、スピードを競うことも多く、その場合瞬発力も併せて問われます。
ぷよぷよeスポーツ
ランダムに落ちてくる「ぷよ」を的確に処理するゲーム。できる限りミスを少なくする正確さ、連鎖を意識した積み方のための瞬間的な判断力が重要になります。「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」に採用されており、eスポーツとして人気が高いタイトルです。CERO:A(全年齢対象)
パズル&ドラゴンズ
RPGとパズルゲームを組み合わせたようなゲーム性で、現在のソーシャルゲームのブームのきっかけとなったタイトルです。eスポーツとしては主にパズル面(ドロップの操作など)が注目されがちですが、モンスターの構成・スキルの読み合いなども重要な要素となります。公式で様々なプロリーグを開催しているのも特徴です。CERO:A(全年齢対象)
RTS
RTSは「Real Time Strategy(リアルタイムストラテジー)」の略で、リアルタイムで戦略を競うジャンルです。そのタイトルの仕様把握能力や経験はもちろん、状況に合わせて展開を変える必要があるなど、まさに指揮官としての能力が問われます。
クラッシュ・ロワイヤル
略称は「クラロワ」など。事前に編成したデッキからユニットを盤上に展開し、相手のタワーを破壊する数とスピードを競います。短い時間で自陣の守備と相手の城の攻略を同時に行うので、判断力も要求される特徴を持っています。日本全域で地区予選を行い、決勝大会を争う高校生向け大会、「STAGE:0」の種目として採用されています。CERO未レーティング
スタークラフト2(StarCraft II)
略称は「SC2」など。宇宙での戦いがテーマとなっているタイトルで、マップ上に自分側の施設やユニットを作りつつ、対戦相手の基地壊滅を行うため、並行して複数の作業を行う力が問われます。世界でも有名な「World Championship Series Global Finals Recap」でも熱い競技が繰り広げられています。CERO未レーティング
MOBA
MOBAは「Multiplayer Online Battle Arena(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)」の略です。戦略、攻略を中心とするのでRTSと共通性はありますが、チームで敵陣を攻略するので攻守のバランスや相手との駆け引き、チームワークが重視されます。
リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)
略称は「LoL」など。5対5の2つのチームに分かれて、相手のチームの本拠地の破壊を目標に展開を競い合います。キャラクターが持つ個性を活かして、チーム内で役割分担しつつ勝利を目指すゲーム性が特徴です。世界中のeスポーツ大会でプレイされているタイトルであり、日本の高校生向けの大会でも採用されています。「全国高校eスポーツ選手権」と「STAGE:0」は、文部科学省も後押しする大規模な大会です。CERO未レーティング(PEGI 12)
ドータ2(Dota 2)
5人でチームを組んで対戦するスタイルで、相手の本陣を先に破壊したほうが勝利となるルールです。速度よりも戦況判断が要求される特徴を持っています。世界では、賞金総額が30億円を超える規模の大会が開催されるほどの人気タイトルに成長しています。CERO未レーティング
デジタルカードゲーム(DCG)
ゲーム内のデジタルのカードを使って対戦するジャンルで、リアルのカードを使用するゲームは含みません。リアルでは実現できない、デジタルだからこそ可能なカード効果などで多くのユーザーを魅了しています。戦略性の高さだけでなく、その環境を理解し、メタゲームを読む能力も問われます。
レジェンド・オブ・ルーンテラ(Legends of Runeterra)
略称は「LoR」など。MOBAで最も有名なタイトルの一つであるリーグ・オブ・レジェンドの世界観を踏襲したデジタルカードゲームです。攻守に役立つスペルカードの存在もあって、戦略の多様さを活かすことが求められます。比較的新しいタイトルですが、公式大会として「シーズントーナメント」が開催され、世界の強豪が集っています。CERO未レーティング
ハースストーン(Hearthstone)
略称は「ハース」、「HS」など。シンプルなルールとテンポの良さで、多くのユーザーを抱えるタイトルです。対戦相手の手を読む経験値が求められ、意識を高めるほど実力をアップしていける特徴を持っています。「マスターズツアー」と呼ばれる世界大会が開催されており、年々規模の増大が見られます。CERO未レーティング
シャドウバース(Shadowverse)
略称は「シャドバ」など。親しみやすいルールと魅力的なイラストが特徴的で、国内ユーザーがメインとなっているタイトルです。展開が早く、逆転のリスクが常に隣り合わせの中でゲームが進むため、プレイしている側も観客側も楽しめます。「ES」、「JCG」、「RAGE」などで競技が行われていますし、世界レベルの大会も多数存在します。CERO未レーティング
TEPPEN
ゲーム会社カプコンの人気IPであるバイオハザードやモンスターハンター、ストリートファイターなどのキャラクターが登場するDCGです。カードゲームに多いターン制ではなくリアルタイムでバトルするので、コストとリソースの関係をにらみながらプレイする判断力が必要です。「TEPPEN WORLD CHAMPIONSHIP2020」が好評だったこともあり、2021年にも注目が集まっています。CERO未レーティング
まとめ
eスポーツの中にどんなジャンルがあるのかを解説し、各ジャンルの有名タイトルの概要を紹介しました。このほかにも、様々なタイトルがありますが、eスポーツをプレイする人には、現状手を出していないジャンルについて知識を深めることができたのではないかと思います。今回紹介したタイトルのなかで気になっているものがあれば、ぜひプレイしてみてください。
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