インタビュー
2024.11.19
「ゲームを思い切りやるためにもしっかり勉強すべき」平岩康佑さん 第一線で活躍中のeスポーツキャスターに聞く学生時代とキャリア
- インタビュー
今回は、ゲームキャスターとして活躍する平岩康佑さんへのインタビューをお届けします。
学生時代のこと、そしてeスポーツを頑張る学生たちへのメッセージなど、幅広くお話を伺いました。
(取材・文/小川翔太)
自身の学生時代について
──学生時代はどのように過ごしていたのでしょうか。
平岩さん(以下、敬称略) 僕は中学受験を経て中高一貫校に入学しましたが、大学2年生まではほとんど自主的に勉強したことがありませんでした。赤点を避ける、中学受験で失敗しないために勉強していた程度で、母親が厳しかったこともあり、ほぼ強制的にやらされていましたね。
中学時代は特に英語が苦手で、全国最低レベルの英語リテラシーでした。赤点を取ると英語合宿に行かされるのですが、それにも2年連続で参加しました(笑)。
──平岩さんにもそんな時期があったなんて、思いもしませんでした(笑)。
平岩 そうなんです。勉強をする代わりにずっとゲームに熱中していました。中学までゲームが禁止されていた反動で、中学受験が終わった後は体力が続く限りプレーしていました。
特に大学生の頃は「COD(Call of Duty)」などの海外ゲームにハマり、北米版のXboxを買って遊んでいました。
大学生になると、アメリカ留学を目指すようになり、初めて自主的に勉強に取り組みました。約90日間、毎日12時間英語を勉強し、編入試験で成果を出したことが自信につながりましたね。
この成功体験のおかげで、勉強のコツを掴むことができ、何事にも集中して取り組む力がついたと思います。
学生の頃やっておいて良かったこと
──学生時代にやっておいて良かったと思うことはありますか。
平岩 読書をしておいて本当に良かったと思います。高校生までは、あまり本を読むタイプではありませんでしたが、大学に入ってからはスティーブ・ジョブズの伝記や池上彰さんの本など、ビジネス書をよく読みました。
本から得られる情報は質が高く、量も多いので、非常におすすめです。読書のスタートは小説でもエッセイでも、なんでもいいと思います。読み進めていくうちに、違うジャンルの本に興味が湧いてきて、新しい世界が広がる瞬間がきっと見つかるはずです。
──何冊ぐらい読んでいましたか。
平岩 大学生の頃は月に約10冊ほど読んでいました。3時間ぐらい本を読んで、学食でご飯を食べて、また3時間本を読む、そんな生活を送っていました。
企業から内定をもらって、講義に行かなくてよい日でも、わざわざ本を読むために大学に行っていたほどです。
同時にゲームにもハマっていたので、夜間は家でFPSをプレーして、昼間は学校で本を読んでいました。ゲームがあるとどうしてもそちらに手が伸びてしまうので、勉強も家では絶対にしませんでした。
学生の頃やっておきたかったこと
──学生時代にもっとやっておけば良かったと思うことはありますか。
平岩 いま振り返ると、もう少し真面目に授業を受けておけば良かったと感じています。僕の大学の教授陣は素晴らしい経歴を持つ方々ばかりでしたので。
当時、一コマあたり5000円くらいの授業料を払っていたのに、講義中に寝たり、しゃべったりしていたのは、いま思えばもったいなかったです。
──大学での学部は何でしょうか。
平岩 法学部です。国際政治を学び、国連や地球温暖化など、国際協力について考える機会がありました。国際的な視点で戦争時の他国の反応や、国連の役割、地球温暖化の解決策について学びましたが、正直なところ、自分にはあまり合っていないと感じました。
その後、次第にビジネスに興味を持つようになり、アメリカでは経営学を専攻してビジネスに関する知識を深めることにしました。アメリカに留学してから意識が変わり、帰国後は授業をちゃんと受けるようになりましたが、ゼミを含めて、大学での学びは社会人になってからもとても役立っています。
eスポーツを頑張る学生にメッセージ
平岩 ゲームでトップを目指せるなら、勉強なんて余裕だと伝えたいですね。間違いなく、学校の勉強よりもゲームのほうが難しいです。例えば、LOLで最高ランクに到達したり、Apexでプレデターになるには、学校の勉強で上位に入るよりも、はるかに多くの努力が必要です。
しかし、ゲームを思い切り楽しむためには、親に反対されないくらい学業もちゃんとやるべきです。プロゲーマーでありながら学校の勉強もこなせる人はたくさんいます。
勉強には正解がありますが、ゲームには正解がないことが多いです。ゲーマーは柔軟な思考を持っているので、勉強もうまくこなせるはずです。
キャラクターのスキルやダメージを覚えられるのに、英単語が覚えられないなんてことはありません(笑)。同じ要領で考えれば、暗記も簡単にできるはずです。ゲームも勉強も、やっていることは本質的にはそれほど変わりません。親を黙らせるくらいの成績を取って、思う存分ゲームを楽しんでください。
将来、eスポーツ業界で仕事をしたいと考えているなら、学業や就職活動をおろそかにするべきではないと考えています。結局のところ、いまeスポーツ業界で活躍しているキャスターやストリーマー、チームオーナーなどの人たちは「ゲーム好き」かつ「仕事の経験が豊富」な人たちです。
もし、eスポーツ業界で働きたいなら「他の業界でも活躍できる」ぐらいのスキルを身につけたうえで、それでも「ゲームが好きだからこの業界にいる」という人材を目指すべきです。
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