大会レポート
2024.08.30
アケコンよりキーボードが多い!? スト6大会「全学格」レポート
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8月24日に近畿大学 esports Arenaにて大学生・高校生を対象とした『ストリートファイター6(スト6)』のオフライン大会「全日本eスポーツ学生選手権 格ゲーの部(全学格)」が開催されました。7月26日~8月7日までにエントリーした学生の中から、抽選で本戦参加資格を得た32人が近畿大学に集まりました。
同日、近畿大学ではオープンキャンパスを実施しており、各学部でさまざまなイベントを行っていましたが、全学格は情報学部のイベントとして開催していました。Rocket Knight、Victrix、忍ism、アローズ、近畿大学による共催、後援となっており、企業と大学が共同で開催している格好です。
同時にesports Arenaが入っている東大阪キャンパス 情報学部棟(E館)では、『スト6』の対戦会でお馴染みのFighters Crossoverが特別出展しており、大会の参加者以外でも気軽に『スト6』を楽しめる場が設けられていました。
全学格の出場者は抽選とのことだったので、そこまで強い選手が集まらないかも知れないと思っていましたが、いざ蓋を開けてみると、参加31人(1人当日不参加)は猛者揃い。ほとんどの選手がマスターランクで、MR(マスターのみで評価されるポイント。1500が基準)が1600はざらで、MR上位者のみが与えられる称号であるレジェンドを持っている人もちらほらいました。
ちょっと前までは、対戦格闘ゲームはゲーセン世代が中心となり、若者がプレーしないジャンルという認識が強かったのですが、高校生、大学生でこれほどやりこんだプレイヤーが揃っていることが驚きであるとともに、『スト6』が覇権タイトルのひとつであることを感じました。
基本的にJeSU公認のプロライセンスを保持している選手の参加は認められていませんが、先日、Saishunkan Sol 熊本のアカデミー選手として登録されたテイエム選手も名を連ねていました。彼も高校2年生ということで、将来が期待できる人材です。
全学格のレギュレーションは、BO3のシングルエリミネーションです。格ゲーの大会としてはかなり厳しいレギュレーションと言えます。トーナメントの組み合わせやキャラクターの相性、選手の勢いなどが反映されるレギュレーションなので、大番狂わせも出る、なにが起こっても不思議ではない状況と言えます。
また、参加者の多くはオフライン大会未経験であり、いつもと違う環境で、実力を発揮できない可能性もあります。さらに、実況はストリートファイターリーグやカプコンプロツアーなど数々のイベントで実況を担当しているふり~だ氏、解説はプロゲーミングチーム忍ismに所属するももち選手と藤村選手となれば、それだけで緊張するなと言う方が、無理があります。
オフラインならではの緊張感
大会は2試合同時に進行し、どちらかの試合が配信され、実況と解説が行われます。1回戦からレベルの高い戦いが繰り広げられ、実況解説陣も感嘆の声を上げていますが、それと同時に緊張からミスをする場面も少なくありませんでした。この辺りはやはりオフラインの緊張感なのでしょうか。
最たるものとして1回戦の最終試合として行われた、テイエム選手対karo選手戦。Saishunkan Sol 熊本のアカデミー選手であり、レジェンド豪鬼であるテイエム選手が優勢だと思われましたが、結果としてはkaro選手が勝利を収めました。テイエム選手はアカデミー選手になって初の大会となったこともあり、かなり気負っていたのかも知れません。
決勝戦は同志社大学の雄次郎【Yujiro】選手と福岡大学の紺外郎選手。決勝戦のみBO5で行われます。雄次郎【Yujiro】選手はJP使い。アップデートによりJPの能力が見直されたことにより、使用プレイヤーが少なくなってきたなか、JPを信じて使い続けています。
かたや紺外郎選手はマリーザ使い。この日の初戦で鳥ちゃん選手のキンバリーに苦しめられ、マノンを出しますが、基本的にはマリーザで戦ってきました。マリーザもJP同様、性能が見直されたキャラクターで、レアキャラと言えるレベルで使い手が少なくなっています。そういう意味では、レアキャラ同士の決勝戦となりました。
ここまでは参加した学生の実力が拮抗しており、2-1での決着が多かったのですが、JPとマリーザは相性もあり、3-0で雄次郎【Yujiro】選手が勝利しました。下馬評の高い選手が早々に敗退する場面も多々あり、波乱含みの大会でしたが、終わってみれば、雄次郎【Yujiro】選手はオープニングで解説陣に優勝候補の一角と言われていたので、見立て通りの結果になったとも言えます。
オープニングと言えば、藤村選手がオープニングで参加選手に対して、使用デバイスについての質問をしたとき、アーケードコントローラー(アケコン)を使用している人が2人だけだったことに驚愕していました。
4~5年前までは格ゲーと言えばアケコンを使用するのが当たり前のような風潮でしたが、今や大会に参加した31人中2人しか使用していません。打って変わって主流となっているのは、ゲームパッドとレバーレスコントローラー。どちらも同じくらいの使用率でした。さらに藤村選手を驚かせたのが、キーボードプレイヤー。今年2月に開催されたCAPCOM CUP Xでもキーボードを操作デバイスとして使用しているプレイヤーがいましたが、全学格にも3人のキーボードプレイヤーがいました。
よもやアケコンよりもキーボード使用者の方が多い事実に藤村選手とももち選手、そしてふり~ださんが動揺を隠せずにいたのは言うまでもありません。格ゲーが復権を果たしたのは、単純に人気が出て、認知が拡大しただけでなく、これまでの常識を覆すニューカマーの存在が大きいようです。
表彰式が終了した後は、Fighters Crossoverの会場でももち選手、藤村選手と手合わせができる交流会も実施していました。関西圏からの参加者が多かったのですが、九州や関東からの参加者もちらほら。シングルエリミネーションで、1回しか試合ができずに終わってしまうのはさすがに酷なのではないかと思いましたが、プロ選手との対戦ができたこと、選手同士での再戦や戦えなかった組み合わせでの対戦ができたことは、訪れた甲斐があったのではないでしょうか。
今大会はある意味、プレ大会のようなものだと言えます。来年以降も開催し、全学格が大学・高校eスポーツのイベントとして定着して欲しいところです。また、大学のオープンキャンパスでの開催となったことで、情報学部はもちろんのこと、ほかの学部を目当てに来ていた人たちも試合を見学したり、対戦会に参加していたりと、単体での開催よりも多くの人に見て貰えたようでした。もちろん、その逆もしかり。ほかの大学もオープンキャンパスでeスポーツイベントを開催してみるのも良いかも知れませんよ。(ライター・岡安 学)
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外部リンク
全日本eスポーツ学生選手権大会格ゲーの部
https://zengakukaku.jp/lp/
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