大会レポート
2025.05.28
「スト6」だけでも6600人以上が参加! 熱気あふれた「EVO Japan 2025」レポート、選手目線やサルバトーレ・ガナッチ本人登場も
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5月9~11日に東京ビッグサイトで、対戦格闘ゲームの祭典である「EVO Japan 2025」(EVOJ)が開催されました。今回のEVOJは、1on1対戦の「ストリートファイター6(スト6)」「鉄拳8」「グランブルーファンタージーヴァーサス ライジング」「ギルティギア ストライヴ」「THE KING OF FIGHTERS XV(KOFXV)」、5on5対戦の「ストリートファイターIII 3rd ストライク」「バーチャファイター5 R.E.V.O」の計7タイトルがメインタイトルです。
また、飛び込みで「餓狼伝説 City of the Wolves」(餓狼CotW)の大会も開催されました。ちなみにいくつかのタイトルの上位入賞者はサウジアラビアで行われるeSports World CUP(EWC)への出場権が与えられます。「スト6」は2枠、「鉄拳8」は4枠、「餓狼CotW」は2枠でした。
(ライター・岡安学)

今回はDay3に行われた「スト6」のTop8と、EVOJ3日間の全体の様子をレポートしていきます。
まず、「スト6」のTop8ですが、ウイナーズサイドにももち選手、りゅうきち選手、あきら選手、MenaRD選手、ルーザーズサイドにLeShar選手、ひぐち選手、こばやん選手、NL選手が勝ちあがりました。
MenaRD選手は昨年のEVOJの覇者であり、連覇の可能性が残されています。ももち選手も2019年以来の2度目のEVOJ優勝がかかっています。
ウイナーズサイドの初戦はりゅうきち選手がももち選手を下し、MenaRD選手があきら選手を下し、ウイナーズファイナルに進出します。昨年のEVOJのウイナーズ初戦で戦った組み合わせです。
りゅうきち選手が一気にスターダムに乗った大会ではありますが、MenaRD選手という大きな壁にぶち当たった大会でもあります。そこから、SFLなど大きな舞台を経験し、実績と経験を積んだりゅうきち選手が、MenaRD選手にどれだけの戦いを見せるか注目です。
注目の一戦にMenaRD選手が選択したキャラクターはなんとザンギエフ。昨シーズンは海外の大会でザンギエフを出して好成績を残していましたが、先に行われたCAPCOM CUP11では、キャラ相性から出番がありませんでした。そんななか、ついにMenaRDザンギエフの登場となりました。りゅうきち選手が使うケンと相性が良いと言われており、初戦に勝利します。しかし、ここからりゅうきち選手がザンギエフの動きに対応し連勝。勝利に王手をかけます。あわやという場面でMenaRD選手はメインキャラのブランカにスイッチ。相性よりも練度をとる選択に出ます。この選択がバッチリハマり、連勝で逆転勝利を収めました。

対戦することになったりゅうきち選手
ルーザーズサイドでは、こばやん旋風が吹き荒れます。ひぐち選手、あきら選手を倒すと、続けてももち選手も撃破。こばやん選手は先ほどMenaRD選手が使用したザンギエフを使うプレイヤー。しかも、1キャラ専業なので、相手との相性によってキャラクター変更ができません。あきら選手のキャミィは相性が良いと言えましたが、ももち選手が使う舞は若干不利な相性で、途中から出してきたEDに関してはザンギエフが苦手とするキャラクターのトップクラスに位置しています。そんな状況を撥ね除け、ルーザーズファイナルに進出。ここでザンギエフと相性の良いケンとの対戦ですが、りゅうきち選手の逆択や差し返しが痛手となり、今度は相性の良さを活かしきれませんでした。

グランドファイナルは再び、MenaRD選手対りゅうきち選手。ここで1年越しのリベンジを果たしたいところです。今回、MenaRD選手は最初からブランカピックです。りゅうきち選手が1セット目を獲得し、反撃の狼煙をあげますが、このあとMenaRD選手が逆3タテを決め、EVOJ連覇となりました。EWCへの出場権はMenaRD選手とりゅうきち選手が獲得しました。

相性だけでは決まらない!
今大会で目立っていたのは、相性以上の結果が出ていたことです。先述したこばやん選手対ももち選手、りゅうきち選手対こばやん選手、MenaRD選手(ザンギエフ)戦以外に、Top16でもあきら選手対板橋ザンギエフ選手戦など、相性が悪いと言われる組み合わせでも不利側が勝利していたことです。
もちろん、相性通りに順当に勝つこともありますが、今回はいつもよりも相性以上の結果が出ていたと思います。これは、使用するキャラクターの練度の高さと苦手とするキャラクターの対策が実った結果と言えます。
こばやん選手やりゅうきち選手、あきら選手は使用キャラクターが1本で、その練度の高さはマルチキャラ使いの1キャラ当たりと比べれば、かける時間も練習の濃さも変わってきます。ストリートファイターリーグの存在により、マルチキャラ使いが求められる中、誰と当たるかわからないオープントーナメントでは、キャラ練度の高い方が有利と言えるのかも知れません。今回のEVOJの結果を見て、今後のセオリーとされる戦い方が変わってくる可能性はあるでしょう。

ルーザーズファイナルでは、有利と思われる
りゅうきち選手のケンに敗れて3位となった
あらたな試み
今回のEVOJはいくつか新たに変更された点がありました。そのひとつが参加費の一部が賞金に充てられたことです。「スト6」は6600人以上の参加者がり、個別タイトルの参加費が1000円だったので、660万円以上の参加費がありました。基本ベースが「KOFXV」の賞金額だとすると、「スト6」は139万5000円の賞金総額の上乗せがありました。参加人数が多いタイトルはそれだけ勝ち抜けることが難しく、試合数も多くなります。しかし、選手・観客のモチベーションにつながる賞金額が増えることは、歓迎すべきことでしょう。

「スト6」の優勝賞金は175万円に
今回は東京ビッグサイト東ホール2-3を使用し、前回のGYM-EXよりもかなり広い会場になりました。それだけにスペースに余裕が状態で対戦ができ、通路も確保できていました。「スト6」の場合、Day1は8つのグループに分かれ、対戦時間を分割したことで会場に居る人数は少なめになっていましたが、Day2は勝ち負けに関わらず、多くの参加者が会場に押し寄せていたので、大混雑になっていました。とくにトーナメントが後半になるほど敗退者は増え、勝ち残った人が有名選手だらけになるので、必然的に観戦が増えてしまうので仕方ないと言えます。

それでも入りきらない程の観客が観戦していた
EVOJはオープントーナメントでプロゲーマーもストリーマーも海外選手も一般参加者もすべて平等に扱われます。そのため、選手同士でコミュニケーションを取りやすい環境にあると言えます。ただ、有名選手に群がってしまいがちで、その場が混雑してしまう弊害もあります。対策の一つとして、今年から会場内の撮影は禁止となっていたようです。
格ゲー界隈の選手はファン対応が良く、快く撮影やサインなどの対応をしてくれますが、さすがに大会運営に支障が出始めていたようなので、やむなく禁止にしたのでしょう。ファン側ももう少し配慮のある行動ができれば問題は減るのかもしれませんが、推しの選手を目の前にしてしまうと如何ともしがたくなるのも理解できます。
オープントーナメントはコミュニティの場でもあるので、ガチガチにルールで固めてしまうと窮屈になってしまうかと思いますが、野放しにもできない状況なので、何か対策を考えていく必要がありそうです。例えば、ミート&グリートのエリアを設け、時間で区切って対応するなど。

有名選手の試合には黒山の人だかりができていた

Zangief Bolado選手と一緒に写真を撮らせていただいた
前回のEVOJでは進行の遅れやマシントラブルなどが多発していましたが、今回はかなりスムーズに運営されていたように思えます。ひとつのプールで使用できるマシンは4台用意されており、最適な場所でのプレイもできていました。対戦時間までに現場に訪れなかった選手に対しても、開始までの猶予時間を過ぎた選手はきっちりと不戦敗扱いにし、滞りなく進行していたように思えます。
唯一、気になるところを挙げるとすれば、会場が異常に暑かった点です。空調は入っていたと思いますが、それでもかなりの熱気でした。会場が暑いとマシンの熱暴走も誘発してしまうので、もう少し空調の温度を下げるなどの対応があってもよかったかもしれません。
参加者目線のEVOJ
さて、ここからはちょっと個人的なことを。今回も参加者として「スト6」に参戦してきました。結果としては残念ながらプール抜けはできませんでしたが、戦績は3勝2敗と過去一の成績を収められました。まあ、1勝はDQだったので、実質2勝2敗ですが。ウイナーズサイド2勝し、あと1回勝てばプール抜けのところで敗退。ルーザーズでも1回勝って、次勝てばプール抜けとなるところで敗退。2回のチャンスを与えられながら活かしきれなかったのは不甲斐ないとしか言いようがありません。
また、今回もBYOCエリアを確保し、普段はオンラインでプレイしているコミュニティの人たちとオフ対戦を楽しみました。さらに、私が参加しているコミュニティのメンバーで津田塾大学の栗原教授にも参加していただきました。栗原教授はときど選手の動画配信「格ゲー研究室」にて、フィッツの法則を利用したインパクトボタンの開発をしており、界隈ではちょっとした話題になりました。その栗原式インパクトボタンを実際に試すことができるコーナーを作り、多くの人に試遊してもらいました。
体験コーナーはDay1とDay2の2日間でオープンしていたのですが、試遊してもらった人数は100名以上。すでに3Dプリンターで印刷したり、Webの3Dプリント代行を使ったりして、栗原式インパクトボタンを使っている人も居ました。多くの人は動画を見ただけで手に触れることはなかったので、オフラインイベントを利用して触って貰えたのは良い機会だったと言えます。

メイン種目ではなく、サイドトーナメントとしての扱いでもなかった「餓狼伝説City of the Wolves(餓狼CotW)」の大会もDay1で行われ盛り上がりました。上位2人となったXiaohai選手とフェンリっち選手にはEWCへの出場権が与えられました。TOP6の決勝からはメインステージで行われましたが、試合前に「餓狼CotW」のプレイキャラクターとしても登場し、ゲーム内に楽曲提供もしているサルバトーレ・ガナッチ氏が登場。キャラクター本人が登場するというまさかのサプライズに、会場は騒然となりました。

Akiさんがテリー・ボガードに扮して登場。
ガナッチ氏はサルバトーレ・ガナッチそのもの

蹴りを繰り出す技、グルーヴからのスクラッチも披露した
EVOJは「スト6」にとって、本家EVO、CAPCOM CUPと並ぶ、世界大会です。優勝者は世界チャンピオンとして賞賛されるわけですが、先述のとおり、EWC出場権を賭けた戦いでもあります。それだけにサウジアラビアからも取材陣が訪れ、EWCとEVOJの相乗効果をもたらせているようにも感じました。
最近のeスポーツイベントは招待制のものが多く、オープントーナメントでこれだけの規模のものは多くありません。EVOJはオープントーナメント大会のトップランナーとして、存在感を示し続けて欲しいところです。
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外部リンク
EVO Japan 2025
https://www.evojapan.gg/

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